■ くば小児科クリニック 院内報 2004年9月号


院内版感染症情報 〜2004年第36週(8/30〜9/5)


        2004年 第20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  1  2  3  2  1  0  0  0  0  0  1  0  2  0
A群溶連菌咽頭炎  1  0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  1  0  5  0  0  0
感染性胃腸炎      4  3  2  5  4  2  8  5  8  6  1  2  9  1  4  2  6
水痘              0  2  1  2  1  2  2  3  1  0  0  1  1  0  0  1  0
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
伝染性紅斑        1  0  0  0  1  0  0  0  0  2  0  0  0  0  0  0  0
突発性発疹        2  1  1  1  2  0  0  0  0  0  1  0  2  1  2  0  2
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  1  1  1  0  1  0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  0  0  0  2  0  1  2  1  0  0  0  0  0  1  1  0

☆ 秋風とともに、秋の風邪と喘息が増加傾向

 今年の夏かぜは例年のような手足口病やヘルパンギーナなどがほとんどみられず、咽頭結膜熱(アデノウイルス)も下火になってきたようです。ウイルス性胃腸炎と熱だけの夏かぜはまだ多めで経過していますが、9月に入って例年通り咳や鼻汁をともなう普通のタイプの風邪と、喘息の発作が増えてきているようです。これからが、本格的な喘息シーズンになります。


★ インフルエンザの予防接種がはじまります(10月中旬より)

 あの暑かった夏の日々もアッと言う間に過ぎ去り、秋風が吹き始めと思ったたら、もう冬のインフルエンザの準備の話をしなくてはいけません。12月までに接種を終わらせるように早めのお申込みを。 →詳細は別紙案内


● 肥満と糖尿病のお話し(死のカルテット)

※9/26 八戸市健康まつり「市民フォーラム」開催(公会堂)

「約1,620万人」

 これは、平成14年の調査で糖尿病が強く疑われる人(約740万人)と糖尿病の可能性を否定できない人(約880万人)を合わせた推計人数です。平成9年と比べると1.2倍も増加していて、日本の人口の13.5%もの人が糖尿病またはその予備軍だという驚異的な数字です。

「10人中3人」

 こちらは30歳から69歳の男性における肥満者(BMI≧25)の割合です。これも20年前に比べると1.5倍に増加しています。肥満糖尿病、高血圧、高脂血症といった合併症を伴うことが多く、死亡率が格段に高くなるため、この4つを「死のカルテット」と呼んだりします。欧米では、肥満とタバコが医療費を増やして平均寿命を押し下げている大きな要因であり、日本でも近いうちに平均寿命が短縮へと転ずるのではないかと予測されています。

 青森県でも、健康寿命延伸を目的に「健康寿命アップ計画推進委員会」が組織され、「自殺」「肥満」「喫煙」の3点が重点対策に掲げられました。

 肥満の問題は単純に「太っている痩せている」「何キロ増えた減った」ということではなく、一生涯にわたる食事・運動などの生活習慣の基礎を子どものうちに確立させることにあり、既にそこからはみ出してきている場合は、家族全員で生活習慣を新たに構築し、元のレールに戻れるような道筋をつけてあげることが必要です。大人が変わらなければ子どもも変わらないし、大人の肥満が増えれば子どもの肥満はもっと増えるのが現実なのです。

 ※BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)の二乗
  BMIが18.5未満は痩せ、18.5〜25は標準、25以上は肥満と判定されます。
 このうち、BMI=22が最も死亡率が低いので、その体重(身長の二乗×22)
 を「標準体重」としています。ただし、この基準は大人のもので、小児の
 場合は年齢別性別標準体重を用いて肥満度を計算しています。


● 麻疹・風疹(MR)ワクチンの2回接種を待望する

 厚生労働省が、麻疹と風疹の予防接種を現在の1回接種から2回接種に変更する方向で検討することを決め、来年の通常国会に予防接種法の改正案を提出することにしたということが報道されていました。

 これまで何度もお伝えしたような、低迷する接種率(麻疹8割、風疹7割程度)と繰り返される流行、そして昨年来の先天性風疹症候群の多発(今年は過去最多の5名)などに対する根本的な対策として、認可申請中のMR(麻疹+風疹)ワクチンを2回接種する方法で実施するつもりのようです。

 この方式であれば、最近問題になっている予防接種をしたのに抗体が低下して年長児や大人になってから感染してしまうケースを防ぐことができ、しかも接種回数は現行と同じ2回で済むというメリットがあります。実際に、アメリカでもMMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ)の1回接種では流行を抑えることができず、1989年から就学前の2回接種を事実上義務づけた(接種していないと就学できない)ことにより、現在では自然の流行をほぼゼロに抑えきることに成功しました。

 日本でも麻疹ゼロにむけて諸外国と同じ2回接種法が待望されてきましたが、現在の1回接種ですら接種率が上がっていない実態に対し、接種率を上げることが優先されてきたのです。

 一般に、混合ワクチンのリスクは元々のワクチンのリスクと同じで、副作用が増すということはありません(日本のMMRはおたふくかぜワクチンの製造品質管理に問題があったようです)。現在でも、海外渡航時など緊急時には複数のワクチンを同じ日に接種することは認められています。

 また、現在妊娠可能な年齢に達している「風疹予防接種率が低い世代」の接種率を上げることは困難なので、できるだけ早期にMR2回接種を導入して、麻疹と一緒に風疹の流行をゼロにして、そのまま根絶してしまう戦略の方が理にかなっています。一刻も早い導入が期待されるところです。

 なお、厚労省では20〜30代で推計530万人が風疹に感染する恐れがあるとして、特に10〜40代の女性、妊婦の夫や子どもの接種を促しています。


○ 9〜10月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 9月〜10月の臨時休診はありません。急病診療所当番は9月5日(日)昼、19日(日) 夜、29日(水)夜の3回で、10月の予定は未定です。赤ちゃん教室は9月18日(土) 、その次は11月20日(土)で、ぜんそく教室は9月4日(土) が今年度の最終回になります。「育児相談・子どもの心相談」、「禁煙外来・卒煙外来」は、いずれも診療時間以外に水曜午後、土曜午後、平日夕方などにも相談可能です(初回のみ無料で予約制)。

○ 道路の下水道工事でご迷惑をおかけしております

 本道の工事は近日中に終わる予定ですが、私道の工事が残っています。


発行 2004年9月10日 通巻第102号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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☆ 当院は「敷地内禁煙」です


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