■ くば小児科クリニック 院内報 2004年10月号


院内版感染症情報 〜2004年第41週(10/4〜10/11)


    2004年 第25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        3  2  1  0  0  0  0  0  1  0  2  0  0  0  0  0  0
A群溶連菌咽頭炎  0  0  0  0  0  0  1  0  5  0  0  0  0  3  0  0  0
感染性胃腸炎      2  8  5  8  6  1  2  9  1  4  2  6  6  3  5  4  7
水痘              2  2  3  1  0  0  1  1  0  0  1  0  1  1  1  0  3
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  2  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
突発性発疹        0  0  0  0  0  1  0  2  1  2  0  2  1  0  0  0  2
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    1  0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  1  2  1  0  0  0  0  0  1  1  0  0  1  0  0  0

 10月初旬の時点で、先月から増えていた「咳がひどくなる風邪」が更に増加傾向で、今がピークの喘息発作、そしてこれから寒くなって本格化するウイルス性胃腸炎(嘔吐と下痢)も少しずつ増え始めています。溶連菌感染症水ぼうそうもこの時期に例年増えてきます。

★ インフルエンザの予防接種がはじまっています

 アメリカでワクチンが極端に不足しているとの情報や、日本でも予約だけで昨年を上回っている地域があるとの報道もありましたが、全体としては足りる見込みのようです(駆け込み需要が増えなければ)。なお、すでに大阪で局地的なインフルエンザの流行があったとの情報も入っています。八戸では例年年明け以降がメインですが、12月頃には第1号が出る見込みですので、予防接種をする場合には年内を目標にしましょう。→詳細は別紙参照


● 乳幼児のBCG続報 - 来年2〜3月の救済接種をお忘れなく

 6月号でお伝えした「結核予防法」の改正により、来年4月から、現行のツベルクリン反応を省略して、BCGを直接接種する方式に変更になります。それに伴い、現在の集団接種(八戸市は7〜9月)から、医療機関における個別接種に変更になる予定です(階上町は変更なし)。市の予算措置を伴う関係で本決まりではありませんが、その方向で詰めているところです。

 また、接種年齢も現在の生後3か月〜48か月から、生後3〜6か月に変更になり、重症化する乳児の結核性髄膜炎などを予防するために、できるだけ早期に接種することが強く推奨されることになります。

 ところが、今年の6月以降に生まれた赤ちゃんだけでなく、それより大きくても接種の機会を逃した子が受けられなくなってしまうため、来年の2月〜3月に救済措置として現在の方式でツ反・BCGの集団接種が行われることになりました。その時には広報等でもお知らせが来ると思いますが、BCGを受けていない方は忘れずに予定に入れておくようにしましょう。この機会を逃すと無料の定期接種では受けられなくなります。


● もし混合診療が導入されたらどんなことになるのか?

 以前から何度もこの院内報で現政権が進めている「医療改革」なるものの実態についてお知らせして警笛を鳴らしてきましたが、いよいよ最終局面に追いつめられてきました。本来であれば昨年来の衆参の国政選挙で審判を受けるべきところが、医療問題は年金の陰に隠されて争点にならず、選挙結果も「負けたはずのカラスがより一層強くなった」という摩訶不思議な結果に終わっています。

 また、医師会や歯科医師会は政治献金問題で「国民の敵・悪玉」となり、本来医療を守るために連携すべき国民と医療者が解離してしまい、支持を得られにくい最悪の状況になっています。私たちは、医師会の政治資金のあり方などを改めるべきと内部から声をあげてきて、透明性も高くなり国民の理解を得られるような態勢になってきましたが、マスコミでは頭から「利権団体」と決めつけられて国民に声が届かない状況にあります。

 そして、選挙後すぐに小泉首相は医療への「混合診療の導入」を強く指示しました。混合診療の推進論者は、格安のパックツアーにオプショナルツアーを追加するようなもので、現在のやり方(全て割高の料金=保険外診療)よりも混合(パック+オプション=保険+自費診療)の方が良いじゃないか、と言います。

 しかし、医療にはこんなたとえがあてはまらないことは、誰にでもわかることです。料理であれば高級レストランではなく大衆食堂でも美味しくてお腹いっぱいになることはできますが、もし皆さんの家族が命に関わるような病気にかかったときに、ここから先は「松・竹・梅」の治療コースがあり金額の順に助かる可能性が高くなります、と言われてお金がないから梅を選ぶということはあり得ません。これが大げさではないことは、実際に世界で唯一医療に市場経済がとりいれられているアメリカにおいて証明されています。TVドラマの“ER”やBSなどでも放映された“ジョンQ”という映画をご覧になった方は、ご存じだと思います。

 政府は、医療の質を高めて医療費を抑制するためだと言いますが、この「人体実験」が失敗して医療の質は低下したが医療費は高騰したというのでは目も当てられません。実際に、アメリカの医療費は世界一高く、4000万人もの人が保険に加入できず「具合が悪くても我慢している」のです。

 日本医師会は国民皆保険制度を守るために国民各界各層の団体に幅広く呼びかけ、国民医療推進協議会を結成しました。以前にも署名をお願いしたことがありましたが、今回は世界に誇るべき日本の医療保険を骨抜きにされるかどうかの正念場であり、何としても国民の皆さんの力が必要です。

「人の命は平等です。生命と個人の尊厳を守るべき医療の世界に、経済的な弱肉強食(市場原理)の論理を持ち込むことは極めて危険であります。裕福な一部の人のみが優遇され、弱者を切り捨てる政策は容認できません。誰でも、いつでも、どこでも安心して平等に医療を受けられる国民皆保険制度を守るために、いまこそ国民が結束する必要があります」(日医会長植松治雄)
 大変お手数ですが、署名にご協力の程、よろしくお願いいたします。


○ 10〜11月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 10月〜11月の休診はありませんが、11月6日(土)は学会のため午後2時30分までになります。急病診療所当番は10月11日(日)昼、24日(日) 昼の2回で、11月の予定は未定です。次回の赤ちゃん教室は11月20日(土)で、「育児相談・子どもの心相談」、「禁煙・卒煙外来」は、いずれも診療時間以外に水曜午後、土曜午後、平日夕方などにも相談可能です(初回のみ無料で予約制)。下水道工事は終わったと思ったら舗装が滅茶苦茶なためやり直し工事になります。迷惑なだけでなく税金の無駄遣いではないでしょうか。


発行 2004年10月15日 通巻第103号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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