■ くば小児科クリニック 院内報 2004年8月号
● 院内版感染症情報 〜2004年第33週(8/9〜8/15)
2004年 第17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 インフルエンザ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 咽頭結膜熱 0 0 0 0 0 0 1 2 3 2 1 0 0 0 0 0 1 A群溶連菌咽頭炎 3 2 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 5 感染性胃腸炎 6 4 5 4 3 2 5 4 2 8 5 8 6 1 2 9 1 水痘 0 0 2 0 2 1 2 1 2 2 3 1 0 0 1 1 0 手足口病 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 伝染性紅斑 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 0 突発性発疹 1 0 2 2 1 1 1 2 0 0 0 0 0 1 0 2 1 風疹 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ヘルパンギーナ 0 0 0 0 1 1 1 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 麻疹 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 流行性耳下腺炎 1 2 0 0 0 0 0 2 0 1 2 1 0 0 0 0 0☆ 夏かぜのウイルス性胃腸炎が流行中
● “熱さまし用ジェル状冷却シート”窒息事故からの警告!
私たちが子どもの頃はもちろん、小児科医になったばかりの頃にもこんなモノはありませんでした。誰が考えて売り出したのかわかりませんが、多くの小児科医はこのシートに対して否定的か「ほとんど意味ないけど気休めにはいいか」程度の現状追認派なのです。では、何が問題なのか。
その第一は、代表的な商品名『熱さまシート』に「熱さまし」という言葉が入っていて、いかにも「熱を下げる」効果があるかのように思わせている点です。実際には体温を下げる効果はなく、そのような「効能」も説明書きのどこにも書かれていないはずです。JARO に訴えてもいいのではないかと思っていますが、“熱さまし用ジェル状冷却シート”という一般名も、「熱さまし用」と「冷却」という二重の意味で誤りと言えます。
ただし、使ってみるとわかるとおり「ヒンヤリとした感じ」が続くので、本人が気持ちよく過ごすためであれば使うのは構わないか、という「否定的現状追認派」で今まで指導してきました。
その場合でも、オデコは汗をかいて熱を外に出すための大切な部分なので、密着したシートを長く貼ることは汗による熱交換を阻害することになるのではないかと懸念はしてきました。
そして、今回「窒息」という重大事故が1件発生し、国民生活センター(http://www.kokusen.go.jp/)から警告が発せられました。
それに対する日本小児科医会のコメントを引用すると、『熱さまし用ジェル状冷却シートによる事故が報告されました。生後4ヶ月のお子さんに使用中冷却シートがはがれ、口と鼻を塞がれ窒息状態となり、救命されたものの低酸素性虚血性脳症による重度な障害が残る可能性が極めて高いということです。同様な事故が起こる可能性は十分考えられますので、使用には十分な注意が必要です。<注意点> 口や鼻に貼り付かないように注意すること/観察が十分できない場合は、貼ったままにしないこと/できるだけ貼り直しをしないこと』という中途半端なものです。
ここで事故防止の大原則をもう一度確認しておきましょう。それは、
1)「○○に注意しましょう」では事故はなくならない
2)一つの重大事故のかげに、多くのニアミス事故が発生している
ということです。もう一つ、事故防止を考える際に大事なのは、
3)それは本当に必要なモノなのか、必要ないものか、替わりのモノや手段が存在するのか
ということです。この点で、タバコ、歩行器、クーファンなどは存在する必要がなく、自動車は危険だが必要性が高く代替手段に乏しいため、チャイルドシートの確実な装着などが求められることになります。少し話がそれますが、原発・核燃施設なども必要性、危険性、代替手段の3つが主な論点となります。決して「経済性優先」であってはならないのですが、再処理では「試算隠し」の中で経済性でも優位性がないことが明らかになっています。
数か月前に問題になった大型回転扉も、経済性・効率性の観点からの必要性のみであり、子どもの利便と安全面での必要性はないと判断できます。
今回の“熱さまし用ジェル状冷却シート”も、必要性がなく、代替手段(氷枕など)があり、重大な事故がおきている点から、結論としては、
“熱さまし用冷却シート”を使ってはいけない。
● 第3回ぜんそく教室「喘息のセルフケア」
日時 9月4日(土) 15:00〜16:00 (14:30〜ビデオ)
内容 喘息のセルフ・ケア 自宅での吸入療法
ピークフローのモニタリング 喘息日記 復習
会場 当院2階ホール
お盆も過ぎて秋風が吹き始め,喘息の子には一番乗り越えなくてはいけない季節がやって来ようとしています.
第3回のぜんそく教室は,主に前2回を受けられた方を対象にしたいと思いますが,もちろんはじめての方でも構いません.喘息は一直線に治るということはなく,どうしても症状の波が出てきます.毎日の生活の中でこんな時どうしたらいいのか自宅で判断して対処してもらい,良好なコントロールに結びつけていく,そのためのいろいろな手段をご紹介します.そのうちのいくつかは既に始めている人も多いかと思いますが,その場合は知識の再確認になります.どちらかというと年長児向けかもしれませんが,小さなお子さんの家庭でも参考にしていただければと思います。
○ 8〜9月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定
8月は13日(金)・14日(土) がお盆休みです。28日(土) は午後1時半までになります。9月の臨時休診はありません。急病診療所当番は8月8日(日) 昼、22日(日) 昼の2回で、9月の予定は未定です。次回の赤ちゃん教室は9月18日(土) 、ぜんそく教室は9月4日(土) です。「育児相談・子どもの心相談」、「禁煙外来・卒煙外来」は、いずれも診療時間以外に水曜午後、土曜午後、平日夕方などにも相談可能です(初回のみ無料で予約制)。
発行 2004年8月15日 通巻第101号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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