■ くば小児科クリニック 院内報 2004年7月号


院内版感染症情報 〜2004年第28週(7/5〜7/11)


        2004年 第12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  2  3  2  1  0
A群溶連菌咽頭炎  3  1  4  2  3  3  2  1  1  0  0  0  1  0  0  0  0
感染性胃腸炎      9 12 10  4 13  6  4  5  4  3  2  5  4  2  8  5  8
水痘              2  2  1  2  1  0  0  2  0  2  1  2  1  2  2  3  1
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  1  0  0  0  0
突発性発疹        0  0  0  0  1  1  0  2  2  1  1  1  2  0  0  0  0
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  1  0  0  0  0  1  1  1  0  1  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    4  1  0  3  1  1  2  0  0  0  0  0  2  0  1  2  1

☆ アデノウイルスが流行し、手足口病やヘルパンギーナは目立たず

 5月から6月にかけて、アデノウイルス感染症(下記参照)が流行しました。ウイルス性の比較的強い感染症で、抗生物質は効かず抗ウイルス薬もないので、気管支炎などに進展し入院が必要な子も何人かいました。7月に入って下火になってきたようですが、この時期は例年見られる手足口病やヘルパンギーナなどを含めて、高い熱が出る夏かぜが多い時期です。いずれの場合でも、薬は二の次で自然の治癒力が大切になりますので、水分補給と食べやすいもので最低限の栄養を補給し、回復力を高めるようにしましょう。

@ 「プール熱」と呼ばない理由(わけ)

 以下に咽頭結膜熱についての厚労省の注意呼びかけ文を引用してみます。

 咽頭結膜熱は、発熱(38度〜39度)、咽頭炎(のどの痛み)、眼症状(目の炎症・結膜炎)を主な症状とする小児の急性ウイルス性感染症です。アデノウイルスと呼ばれるウイルスがその原因となります。プールを介して流行することも多く、プール熱と呼ばれることもあります。
 通常夏期に地域全体で流行し、6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月にピークとなります。
 予防には、以下のことに気を付けましょう。(1) 流行時には、流水と石けんによる手洗い、うがいを励行する。(2) 感染者との密接な接触をさける(タオルなどは別に使う)。(3) プールからあがった時は、シャワーを浴び、目をしっかり洗い、うがいをする。 <引用おわり>

 しかし、小児科医で「プール熱」という言葉を好んで用いる人はほとんどいません。上記の文には「プールを介して流行することも多く」と書かれていますが、実際には消毒剤の入ったプールにおいて集団感染したなどという例はきいたことがなく、保育園などで糞便、咳や鼻汁、眼脂などを介して日常生活の中で一人ずつ感染している場合がほとんどであり、プール熱という言葉はわかりやすいようで実は非常に誤解されやすい俗名なのです。


● 赤ちゃんの先天性風疹症候群が全国で5例も

 風疹については2か月前にも書きましたが、予防接種制度改正の移行期間にあたって接種率の非常に低い世代が妊娠可能な年齢になり、地域的な小さな流行が全国でみられ始めていることから、先天性風疹症候群(CRS)や妊娠中絶の多発が懸念されていました。そして…

 CRSは例年全国で1例前後の報告数だったものが、今年はすでに5例も報告されています。いずれも昨年流行のあった岡山と東京からの報告ですが、今年は北関東や九州などで流行が目立っており、風疹の患者数は5月末までですでに2524人と、昨年1年間の総数(2795人)に迫る勢いを見せています(定点報告数)。この様子だと、来年にかけてCRSの赤ちゃんが更に増加するのではないかと懸念されています。対策は、予防接種しかありません。


● ご存じでしたか〜青森県の乳幼児医療費助成制度の実態

 皆さんが利用している乳幼児医療費助成制度(外来は3歳まで、入院は就学前まで)は、全国の自治体でも様々な形で実施されていますが、最近の調査によると、(1) 外来の医療費を就学前まで助成する市町村数がゼロの県は青森県と長崎県の2県しかなく、全市町村で就学前まで助成している8都県の中に東北から秋田、山形、福島の3県が入っていることがわかりました。

 (2) もう一つの問題は、八戸市では窓口負担がゼロで医療機関から市に請求する仕組みになっているのに対し、その他の町村ではいったん医療機関でお金を払ってから町村に請求して還付される「償還制度」になっていることです。八戸地域の市町村合併によってこの点は解消されるはずだったのですが、空中分解してしまい今後の見通しも不透明になってしまいました。

 (3) さらに、保護者の所得によって受給資格に制限があるため、ボーダーライン前後での大きな不公平が生じています。乳幼児の医療費負担は2002年に3割から2割に引き下げられて、自治体の負担は軽くなったはずですが、その分は市町村財政の穴埋めでどこかに消えてしまい、子どもの医療費助成拡大には結びつかなかったのです。


● 八戸市いのちをはぐくむ教育アドバイザー事業とは?

 今年度から、標題のような事業に参加することになり、市内4つの中学校で思春期のからだと心、禁煙などの講演を行うことになりました。主に水曜午後を使う予定ですので、診療には影響しないようにしますが、事前に予定表などでお知らせしたいと思います。「アドバイザー事業ってなに?」という疑問については、新聞記事を引用させていただきますので参考にしてください。(5月29日 デーリー東北より)

 中学生に命と性について専門的指導を行う「八戸市いのちをはぐくむ教育アドバイザー事業」で、八戸市教育委員会は27日、アドバイザーを務める医師六人に委嘱状を交付した。
 県医師会が2000年度に八戸、青森、弘前の三市の医師会に「中学生に対する性教育モデル事業」を委託。同事業を通じて八戸市では、全国的に十代の売春や性感染症、人工妊娠中絶などが増え、性に関する健康問題が深刻化している現状を踏まえ、02年度から独自事業として立ち上げ取り組んでいる。  市医師会の推薦を受けた医師が、市内の全中学校22校で命と性に関する講演や新生児の沐浴実習などを実施して適切に指導。また、教師に対しても指導のアドバイスを行う。
 市教育長室で行われた交付式では、菊池武教育長が一人一人に委嘱状を手渡した後、「今ある命と未来の命を大切にする教育が重要となっている」と話し、生徒の健全育成に協力を求めた。
 アドバイザーの一人で苫米地レディースクリニックの苫米地怜院長は「沐浴実習を体験した生徒は、命と性にきちんと向き合うようになっている」と話している。
 委嘱を受けたアドバイザーと担当校は次の通り。(敬称略)
 ▽縄田與幸(長者、小中野、是川、三条)▽片桐清一(市川、白銀、白銀南、八戸東、美保野)▽苫米地怜(下長、北稜、大館)▽後藤高志(八戸三、鮫、湊、豊崎)▽久芳康朗(八戸一、八戸二、南浜、明治)▽向井田理佳(根城、江陽)


● 第2回ぜんそく教室「ぜんそく児の日常生活」

  日時 8月7日(土) 15:00〜16:00 (14:30〜ビデオ)
  内容 家庭での環境 日常生活・学校・行事 体をきたえる
     喘息のセルフ・ケア 前回の復習
  会場 当院2階ホール

 真夏は比較的落ち着いていることが多い季節ですが、お盆過ぎて涼しい風が吹きはじめると喘息の発作も散見される季節に入ります。
 第1回のぜんそく教室はちょっと詰め込みでしたが、薬の治療をはじめとした基礎的なことを一通りお話ししました。第2回は環境対策を中心に、日常生活や学校生活などについてまとめてみたいと思います。喘息の治療は薬だけではありません。発作をおこしてからあわてないように、発作のないときにコツコツと貯金をためていくつもりで一緒に勉強していきましょう。第1回の簡単な復習からはじめますので、前回出席できなかった方も是非参加してみてください。


○ 7〜8月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 7月は暦通りの診療で臨時休診はありません。8月は13日(金)・14日(土) がお盆休みで、15日とあわせて3連休になりますのでご注意下さい。急病診療所当番は7月18日(日) 昼、31日(土) 夜の2回です。次回の赤ちゃん教室は7月17日(土) 午後3時から、ぜんそく教室は8月7日(土) です。「育児相談・子どもの心相談」、「禁煙外来・卒煙外来」(別紙参照)は、いずれも診療時間以外に水曜午後、土曜午後、平日夕方など時間をとって話せるときにも相談可能です(初回のみ無料で予約制)。


発行 2004年7月15日 通巻第100号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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当院は「敷地内禁煙」です


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