■ くば小児科クリニック 院内報 2004年6月号


院内版感染症情報 〜2004年第24週(6/7-6/13)


        2004年 第08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
インフルエンザ    4  6  2  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  2
A群溶連菌咽頭炎  3  5  1  3  3  1  4  2  3  3  2  1  1  0  0  0  1
感染性胃腸炎     17 18 16 11  9 12 10  4 13  6  4  5  4  3  2  5  4
水痘              2  2  1  2  2  2  1  2  1  0  0  2  0  2  1  2  1
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  1
突発性発疹        0  3  2  0  0  0  0  0  1  1  0  2  2  1  1  1  2
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0  1  1  1  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    1  1  1  1  4  1  0  3  1  1  2  0  0  0  0  0  2

☆ アデノウイルスが今年も流行のきざし

 4月から5月にかけて多くなってきた、咳、鼻汁、熱といった一般的な症状の風邪(いくつかの種類のウイルス)の中に、咳がひどくなって気管支炎に進展している子が増えています。毎年この時期は夏かぜのウイルスが流行しますが、手足口病やヘルパンギーナはほとんど増えていないのに対して、アデノウイルスによる感染症が昨年に引き続いて流行のきざしをみせています。アデノは、典型的な場合は強い結膜炎とノドから来る発熱が続く咽頭結膜熱(プール熱)と診断しますが、その他にも胃腸炎や気管支炎など多彩な症状を示します。感染性は強く、高い熱が約5日間続くこともあります。プール熱といっても、プールだけで感染するわけでなく、保育園などで目ヤニや咳、鼻ミズなどを通じて感染します。主要症状が消退した後2日を経過するまでは出席停止になります。感染予防には手洗いが最も大切です。


● 第1回ぜんそく教室のお知らせ

 日時 6月26日(土)15:00〜16:00 (14:30〜ビデオ)
 内容 第1回 喘息の基礎知識
    気管支喘息とは? 喘息の症状 治療の目標
    発作のときの対処 治療につかう薬の知識
    発作のないときの管理
 会場 当院2階ホール

 今年もぜんそく教室を開催いたします.(ご案内が遅くなりました)
 喘息の治療のためには,患者さんやご家族が病気のことを知り,薬のことを知り,対処法を理解した上で長期にわたって取り組んでいくことが必要になります.一般の喘息患者さん向けに全2回,更に必要な方むけに1回を予定しております.内容は昨年までとほぼ同じですので,参加できなかった回がある方はその回だけ参加していただいても結構です.今年はそれぞれ1回ずつ開催の予定ですが,参加希望の方や都合の悪い方が多い場合には追加を考えたいと思います.なお,できれば予約確認の上ご出席下さい.

  今後の予定
 第2回 喘息児の日常生活(一般コース) -- 7月
 第3回 セルフ・ケア(応用コース)   -- 9月


● 結核予防法が改正されました

 結核の健診と予防については以前から何度かお伝えしていましたが、1)昨年春から始まった学校におけるツ反・BCGの廃止と新たな問診法によるチェック、2)今国会で成立した結核予防法により、2005年4月から乳児のツベルクリン反応が廃止になり、生後3か月以降できるだけ早い時期にBCGを直接接種することになります。今年度は従来通り、ツ反を施行してから陰性者に接種することになりますので、念のためおことわりしておきます。


● 蒸し暑い季節のスキンケア

 これからの季節、八戸の短い夏でも蒸し暑い日が増えてきます(昨年のような冷夏にはならない…はず)。ほぼ毎年同じようなことを書いていますが、夏場のお肌のトラブルの原因は汗や汚れ、汗ばんだ肌着、日焼けなどあり、冬場に悪化する場合は乾燥が原因という原則を覚えておいて下さい。

 スキンケアの基本は、きれいにすること。石けんでよく洗って下さい。暑くて汗をかいた日には、場合によっては1日2回シャワーしたり、肌着をこまめに取り替えてあげましょう。寝つくまでの短時間のクーラーは適宜判断して使用しても構いません。掻き潰すと細菌感染をおこして「とびひ」になり治療が必要になることもあります。子どもは汗っかきで熱の産生も多いので、大人よりも少し薄着にして、日中暑い時間の長時間の外出は避け、時間や目的によっては紫外線よけのクリームを使い分けるといいでしょう。


● 田子二戸県境産廃を視察して…

 詳しくは報告できませんが、4月に田子産廃を視察する機会がありました。眺めの良い峠の上の、のどかな牧場の隣りに広がる一見するとただの荒野かと思うような現場。しかし、広大な敷地内全てが廃棄物の上に土をかぶせたものであり、深いところで10m以上もの産廃が足下に埋まっているのだという。そして、強烈な異臭がを放つ青緑色の汚水は、この春やっと仮設の浄化施設が稼働するまで何年も放置されてきたという事実。

 ゴミや産廃問題、環境問題、企業と経済活動といったレベルだけでなく、人間のすることって何だろう、行政や政治は人を幸せにしないのか、食と安全、スローライフ・スローフード、子どもの心と身体性、自然との関わり、メディアの問題などなど際限なく疑問と連想が広がっていった1日でした。


○ 6月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 6月も暦通りの診療で臨時休診はありません。急病診療所当番は6月6日(日) 昼、19日(土) 夜、30日(水) 夜の3回です。次回の赤ちゃん教室は7月17日(土) 午後3時からです。「育児相談・子どもの心相談」、「禁煙外来」(別紙参照)は、いずれも診療時間内以外に水曜午後、土曜午後、平日夕方など時間をとって話せるときにも相談可能です(初回のみ無料で予約制)。


★ 100万人のキャンドルナイト 6月19〜21日夏至。夜8時から10時

 でんきを消して、スローな夜を。
 Turn off the light. Take it slow.
 夏至の1日だけでも参加してみませんか?
 http://www.candle-night.org/


発行 2004年6月16日 通巻第99号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/
当院は「敷地内禁煙」です


<付録>

■ 『東京原発』県内初公開(6/12〜6/25) ※チケットあります

 完成してから公開するまで2年もかかったという問題作が、県内では八戸だけで上映されることになりました。以下は公式サイト掲載されている推薦文の一部です。
 しりあがり寿さん「オモシロサとコワサが エンターテイメントと社会への警告が 核融合したスゴイ映画」、田原総一朗さん「“原発”という重くて深刻な題材に真っ向から挑戦しながら、驚くべき大型エンターテイメント映画に仕上げられている。強烈な毒と笑いに圧倒されながら、若い才能が、確実に新しい映画の時代を切り開いていると実感せずにはいられなかった」
 映画についての詳細や上映時間などは下記のホームページをご覧下さい。当院でもチケットを扱っております(当日1700円のところ1200円)。
  『東京原発』公式サイト http://www.genpatsu.bsr.jp/
  八戸フォーラム     http://www.cinegon.jp/forum/

◎ 天鐘(2004/06/09掲載)
 映画『東京原発』。原発推進派の都知事が「東京に原発を誘致する」と言い出して都庁はパニックとなる。さらにプルトニウム燃料を積んだ輸送トレーラーが奪われて…▼映画のPR文には「あまりに過激な内容で公開が危ぶまれていた衝撃の問題作」とある。原発から撤退する先進国が相次ぐ中で、原発建設の方針を変えないわが日本。ブラックユーモアの効いた娯楽作にして、社会派映画に仕上がった▼撮影は都庁舎を使って行われた。都や知事を揶揄する部分があるにもかかわらず映画好きの石原慎太郎知事が支援。自民党の舛添要一議員も「エネルギー政策について国民がもっと真剣に考えるべきことを訴えている。原発議論のいい材料だ」(同映画の公式HP)と評価する▼さて、核燃施設を抱える青森県民の意識はどうだろう。原発関連施設はこうあるべし、といった関心や意識を持っているか。「国が決めた政策だから」と無自覚に受け入れたりあきらめたり、無関心になっていないか▼市民団体の代表・山内雅一さん(52)は言う。「賛成とか反対と叫ぶ前に、原発や核燃施設は県民の身近な問題であることを知ってほしい。子や孫の将来にかかわる重大事なのだから」▼八戸市内の映画館で十二日から上映の『東京原発』に併せ、同じビル内で山内さんたちは二つの催事を企画した。写真家・島田恵さんの作品展「六ケ所村 核の遺産と人々」、環境保護団体代表のアイリーン・美緒子・スミスさんによる講演「原発って何?」。入場無料。


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