■ くば小児科クリニック 院内報 2003年9月号


院内版感染症情報 〜2003年第36週(9/1-9/7)


        2003年 第22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36週
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  2  2
A群溶連菌咽頭炎  0  0  0  0  0  1  0  1  0  0  0  0  0  0  1
感染性胃腸炎      2  3  4  7  6 10  7  9  8  4  4  2  2  3  3
水痘              1  1  1  1  1  0  2  2  2  1  4  1  1  1  1
手足口病          0  1  2  5  1  3  2  3  2  6  3  2  2  2  3
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
突発性発疹        0  1  0  3  3  2  1  0  1  0  1  1  0  2  1
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  2  0  2  0  2  1  0  0  1
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  0  0  0  3  1  1  0  0  0  0  0  0  0  0
☆ 秋風と共に「秋の風邪」と喘息の季節になりました

 夏かぜの手足口病やウイルス性胃腸炎などの流行は残っていますが、ピークは過ぎました。今年はアデノウイルスによる咽頭結膜熱(俗にプール熱と呼ばれていますがプールと関係ないことが多いのでこの名前は使わないようにしています)が保育園などで流行しましたがそろそろ下火でしょう。
 9月に入って、咳が多くなるタイプの「普通の風邪」が目につくようになり、また、お盆過ぎから喘息の発作で受診する方が増えています。これからが本格的なシーズンですのでご注意下さい。夏に増えたダニが死んでホコリになる季節ですから、ダニ・ホコリ対策もお忘れなく。

<ワンポイント・メモ〜アデノウイルスとは>

 アデノという名は聞き慣れないかもしれませんが、1年中流行している風邪ウイルスの一種で、咽頭結膜熱や眼の所見が強くなる流行性角結膜炎は夏に流行りますが、胃腸炎、気管支炎・肺炎、咽頭・扁桃炎など多彩な症状で知られ、ウイルスのタイプによっては重症化することもあります。典型的な場合は「高熱が5日続く」経過をたどりますので、食欲や体力も落ちて心配になりますが、通院して合併症の有無を確認しながら看病していくことになります。ワクチンはありません。最近、迅速診断キットが開発されました。


● はしかゼロの青森県、はしかゼロの日本に

「またはしかの話か〜」という声が聞こえてきそうですが、世界中から麻疹ウイルスが根絶されるまでは言い続ける義務があるんです。

お子さんの健康を願うすべてのお父さん・お母さんへ

 はしか(麻疹)は子どもにとって重大な感染症です。日本ははしか対策の後進国でワクチンの接種率が80%前後と低迷し、各地で毎年のように流行が繰り返され、世界中から「はしかの輸出国」として非難されています。そして、はしかにかかった子の中には肺炎や脳炎で後遺症を残したり亡くなった子もいるのが現状なのです。昨年は青森県でも大きな流行となりました。

 はしかはワクチンの接種率を95%以上に維持できれば、流行を阻止することができます。皆さんの可愛いお子さんがはしかにかかることを防ぐだけでなく、まだ接種していない1歳前の赤ちゃんが流行の中で命を落とすのを防ぐことができるのです。そして、日本全国すべての地域で「はしかゼロプロジェクト」が実を結べば、欧米のように国内からはしかを排除することが可能なのです。

 私たち小児科医の有志は、そのために現場から声を上げて立ち上がりました(2003年4月はしかゼロ対策小児科医協議会設立)。青森県の取り組みはまだ端緒についたばかりで、すでに全国の動きから大きく遅れをとっています。私たちはあらゆる方面に働きかけて、子どもたちがどこに生まれても等しく健康に育つ権利を持っていることを訴えていき、はしかゼロの青森県を現実のものすべく取り組んでいくことを皆さんにお約束します。
 そして、皆さんにやっていただきたいことはただ一つ。1歳になったらできるだけ早く麻疹ワクチンを!

山の動く日来る(きたる)

 8月末の日本外来小児科学会(仙台)において、はしかゼロ対策小児科医協議会が開催され、全国の小児科医有志が「はしかゼロ」を実現するために話し合い、アピールを採択して決意を新たにしました。(全文はHPに

1歳半で接種率100%を目標に

 さて、問題はここから。これまでも健診の機会や院内報などで繰り返し「1歳になったら麻疹の予防接種を」と訴えてきたつもりでしたが、接種記録を調べなおしたところ、全接種者数に対して1歳半の時点で83%、2歳前でも91%しか接種していないことがわかりました。「接種率95%以上」というのは3歳で95%に達すれば良いのではなく、1歳以上の全ての子どもの接種率が95%以上になるためには、1歳を過ぎたらできるだけ早期にほとんどの子が接種を済ませてしまう必要があります。そのため、1歳6か月における接種率100%を目標にして98%を達成したいと思います。
 また、1歳以上の患者さんにも母子手帳の再確認などをお願いすることがあるかもしれませんが、その際にはご協力の程よろしくお願いいたします。

graph.png


● 風疹の予防接種特例期間は今月末まで!(15〜24歳)

 先月もお知らせした風疹ワクチンの特例期間が9月末までとなりました。該当の方はお忘れなく。そして、お知り合いの方にもぜひ声をかけてあげて下さい。現在の接種率のままでは、この年代は風疹の流行には無防備状態で、妊婦さん・赤ちゃんの悲劇が心配されます。特例期間の延長や有効な接種勧奨対策を働きかけているのですが、政治家は選挙のことで頭がいっぱいで、風疹対策など気にかけてはくれません。(延長には法律の改正が必要)

 これも先月号でお知らせしたように、インフルエンザの予約も受け付けており、来月接種開始の予定です。(別紙案内参照)


○ 9月28日八戸市健康まつり

 毎年開催している健康まつりで、今年も小児の健康相談を担当します(午前)。そして午後は八戸市医師会などの主催で救急医療に関するフォーラムが開催されますので、お時間がありましたらご参加下さい(無料)。


○ 9〜10月の休診日、急病診療所、各種教室の予定

 9〜10月は休診はなく暦通りの診療となります。急病診療所当番は9月3日 (水) 夜、15日 (祝) 昼、27日 (土) 夜の3回で、10月の当番は未定です。次回の赤ちゃん教室は9月20日 (土) 、ぜんそく教室は9月6日 (土) の第三回で今年度は終了となります。


○ 相談外来のおしらせ

「育児相談・子どもの心相談」(初回無料)、「禁煙外来」(ご家族だけでなく本人の喫煙についての相談も可)、いずれも水曜午後、土曜午後、平日夕方など時間をとって話せるときに相談可能です。(予約制)
 ここで紙面が尽きてしまいました。神経芽細胞腫のマススクリーニング、チャイルドシート、学校の禁煙化などは来月以降にお伝えします。


発行 2003年9月7日 通巻第90号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/


前号 次号 院内報トップ くば小児科ホームページ