■ くば小児科クリニック 院内報 2002年7月・8月合併号


院内版感染症情報 〜2002年第30週(7/22-7/28)


        2002年 第16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30週
インフルエンザ    1  0  8 20 32 12  3  1  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0
A群溶連菌咽頭炎  4  2  1  4  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
感染性胃腸炎     13  8  2  6  3  5  8  8  9  4  1  3  4  1  0
水痘              0  1  0  0  1  1  2  2  0  1  0  1  0  1  0
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0  1  0
伝染性紅斑        2  0  0  0  1  1  2  2  0  0  0  0  0  0  0
突発性発疹        2  0  1  1  2  1  1  0  0  1  1  0  0  0  0
百日咳様疾患      0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    3  1  0  0  1  0  2  2  0  1  3  2  6  0  3
麻疹              1  1  0  2  4  1  2  0  1  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  2  1  1  1  0  1  1  1  2  1  0  0  0  1
☆ 麻疹(はしか)の流行は終息へ、かわって夏かぜが流行中

 4月から続いていた麻疹の流行は、6月以来ゼロが続いていますので、麻疹注意報を解除します。しかし、日本で最悪の流行県となった今回のような流行を二度と繰り返さないために、そして、お子さんが麻疹で苦しまないために、「1歳過ぎたらすぐ予防接種」をこれまでにもまして強く訴えていきたいと思います。沖縄県では全県的に「はしかゼロプロジェクト」として取り組んでいるのですが、青森県ではそういった動きが鈍く焦りを感じています。

 いま流行っている主なタイプは、いわゆる「夏かぜ」です。その中には上記でウイルス性胃腸炎に分類される下痢や嘔吐などの腹部症状が主なものや、ヘルパンギーナや手足口病といった特徴的なものも含まれます。手足口病は今年は目立った流行がみられていませんが、例年7月から8月にかけて流行するので少し注意しておきましょう。

 夏かぜの一般的な注意としては、
・熱は最初高めになりますが、
・ほとんどの場合2日ほどで自然に下がります。
・39℃や40℃になったからといって特に慌てる必要はありません。
・水分補給はこまめに、食べ物は急がないでも大丈夫。
・熱性けいれんの合併症が比較的多いので、予防の坐薬を持っている子は早めに使っても構いません。
・ひどい頭痛と嘔吐が続くときには、ウイルス性の髄膜炎の可能性がありますので早めに受診するようにしてください。


● 「禁煙支援」をさらに推進していきます(詳細は後日)

 日本では毎年9万5千人もの人がタバコによる病気で亡くなっており、胎児や乳幼児を含む多くの方が受動喫煙の害にさらされています。そして、未成年や女性の喫煙率は増加しているのが現状です。WHOでは「タバコは除去可能な疾病の原因として最大のもの」「喫煙は流行病」と宣言していますが、財務省とタバコ会社はあらゆる手段で喫煙率(=タバコの売り上げ)が低下することを妨害しようとしています。国民がより健康になることを政府が妨げているのが、この国の真実です。

(1) 禁煙外来を開設します(保険外=自費) …近日中に

 時間や料金などは、院内に掲示したり院内報でもお知らせします。

 当面のところ、対象者は当院に通っているお子さんの家族(父母、祖父母、兄姉)とさせていただきます。CMでお馴染みのニコチンガムは、医師の処方なしに薬局で買えるようになりましたが、それだけで何の準備もなく禁煙しようとしてもやはり失敗することが多いのです。禁煙外来では、より効果の高いニコチン貼付薬による代替療法を中心に、生活・行動療法と正確な知識を得ること及び定期的なサポートの組み合わせにより、従来よりも楽にしかも確実に禁煙することができます。

 各種の調査でも、喫煙者の多くの方は「できればタバコをやめたい」と考えています。それなのに、簡単にやめられずに何度も失敗してしまうのは、ニコチン依存症(中毒)による離脱症状のためです(=それがタバコ会社の狙い!)。決して、意志が弱いからではありません。従来の「難行苦行」を伴う失敗率の高い禁煙法から、現在では苦しまないで禁煙の導入が可能になっているということをまず知って欲しいのです。

 真実に目覚めて貴重な一歩を踏み出そうとしている方の手助けをできればと思います。当院では、禁煙問題についての経験は十分とは言えませんが、現在、八戸市内に禁煙外来はなく、市内でも最も取り組みが進んでいる医療機関の一つだということは自信を持って言えます。

 お子さんと家族の将来のため、そしてご自身の健康のために、この機会に禁煙に踏み切ってみませんか。(→お問い合わせは当院受付まで)

 なお、タバコをやめたい人のための「禁煙教室」も開催したいと考えていますが、日時その他は未定です。

(2) 駐車場(車の中)も含めて、敷地内禁煙です …あらためて宣言!

(3) 市で禁煙希望者を募集(広報はちのへより)

 期間 9月〜12月
 場所 市庁別館2階会議室C
 <支援内容>
 ▽呼気中一酸化炭素濃度測定
 ▽尿中ニコチン濃度測定▽保健師による個別相談
 募集人員 40〜69歳までの禁煙したい人20人
 参加料 無料
 申し込み・問い合わせ 8月23日(金)までに健康増進課へ
 【TEL内線568】


● 健保法が与党3党(自公保)の強行採決で成立

 報道でもご存じの通り、健保本人3割負担や老人負担増などを骨子とする健保法が衆議院に続いて参議院でも与党3党の強行採決で成立してしまいました。世論調査では6割を超える反対の声があり、皆様にもご協力いただいて全国から2600万人もの署名が集まりましたが、反故にされてしまいました。皆様のご協力にはあらためて御礼申し上げます。

 6月の衆議院審議では、委員会採決をW杯日本戦に当ててみたり、本会議採決を鈴木宗男辞職決議案の日に当ててみるなど、喜劇とも言えるような国会運営をみせてくれましたが(その責任者は皆様ご存じですね)、国民生活に密着する実質増税とも言える法案に対して、マスコミも国民の関心もそらされたままだったのが現実ではないでしょうか。

 今回の改定により、医療費の国民負担が1兆5千億円増えるということが政府から示されていますが、全ての人に均等に増えるわけではなく、特に病弱者には保険料値上げと窓口負担増のダブルパンチとなります。介護保険料も同時に増額になる見込みです(自治体によって異なる)。一方で、政府は1兆円の減税を計画していますが、その主眼は、法人税や高所得者の最高税率を下げる一方、課税最低限を引き下げて所得の少ない人から広く徴収しようというものです。それぞれの施策についての根拠はある程度理解できても、この全体像を見渡せば、「ちょっとおかしいんじゃない?」という疑問が生じない方が不自然です。

 何度も繰り返しますが、これは国民が健康になるための法案ではありません。老人医療費の償還払い(一旦窓口で払った後に役所で返してもらう)などという非現実的かつ老人には過酷な制度が含まれていることも、ご存じない方が大半だと思います。今後も、継続して取り上げながら、問題点をお知らせしていきたいと思います。

 なお、3歳未満の乳幼児で自己負担のある方は、3割から2割負担に引き下げになります。この点は、小さなお子さんのいる家庭には朗報と言えます。しかし、市町村で無料になっている方も多いので、子どものいる家庭への援助よりも市町村への援助という意味合いが大きく、医療費全体には全く影響しない典型的な「飴とムチ」政策と言えます。(もともと子どもの医療費が占める割合は微々たるものなのです)


● ドライブの前に 〜 チャイルドシートの点検を!

 つい先日も、近隣の町でカーブを曲がりきれずにガードレールにぶつかって大破し、助手席でお母さんに抱っこされていた赤ちゃんが亡くなるという悲惨な事故が起きてしまいました。運転していたお父さんは軽い怪我、お母さんは足を骨折して重傷でしたが共に助かっています。

 この赤ちゃんも、チャイルドシートをして後部座席に固定されていれば助かった可能性が高いということを、偶然事故現場を通りかかって救助活動を行った歯科の先生がおっしゃっていました。

 自分だけが安全運転していても、事故はゼロにはならないのが現実です。夏休みで帰省したりドライブしたりする機会の多いこの季節、チャイルドシートはお子さんの人数分きちんと取り付けられているか、もう一度チェックしてみましょう。


● 「ゲーム脳」ってなんだ?

 報道によると、人間らしい感情や創造性をつかさどる大脳の「前頭前野」の活動が、テレビゲームをする時に目立って低下することが、小児〜若者の脳波測定実験で突き止められたそうです。それによると、毎日2〜7時間ゲームをする人は、前頭前野の活動を表すベータ波は常にゼロに近く、ゲームをしない時も活動レベルが回復しないことも分かり、これを「ゲーム脳」と名づけたということです。また、実験対象者に対する聞き取り調査で、「ゲーム脳」の人に、「キレやすい」「集中できない」「友達づきあいが苦手」という自覚が多いことも判明しました。

 大脳の前頭前野は最前部の額のあたりに位置し、人間の個性を決める場所といわれ、本能をつかさどる視床下部や古い皮質などの働きを抑制する機能があります。前頭前野が未発達だったり損傷を受けると、行動が子供っぽくなったり、感情のコントロールができなくなるのです。

 この結果は、多くの人が「そうであっても不思議ではないな」と感じていることを、実際に脳波の結果で初めて目に見える形で証明しており、かなり説得力のあるショッキングなデータと言えます。

 さて、お宅ではどうなさいますか?
      (「ゲーム脳の恐怖」森 昭雄、生活人新書、NHK出版)


● あおい森をまもる、「アイドリング・ストップ」宣言

 3月号でもお知らせした青森県のホームページから応募して、ブルーナのステッカーとチラシが送られてきました(ついでに扇子も)。

 というわけで、それまで実は未体験だったのですが、ものは試しで始めてみたアイドリング・ストップ。やってみたら目からウロコ状態。チラシには「アイドリング・ストップの効果は ◎地球温暖化の防止 ◎大気汚染の防止 ◎燃料の節約 きれいな地球を子どもたちに引き継ぐために、アイドリング・ストップをしてみませんか」と書かれていますが、大半の人は「面倒くさい」「自分の車だけやっても変わらないでしょ」「うちはそれほど運転しないし」などと感じているのではないでしょうか。

 私も似たような気持ちだったのですが、実際にやってみると、直接の効果よりも、まず信号待ちのときの静かさと快適さに驚き、普段いかに騒音に慣らされているのかと感じました。それだけでなく、様々な意識の変化をもたらすことに気づきました。アイドリング・ストップという一歩を踏み出すことにより、急発進急停車はせずに2つ先の信号をみて安全運転をするようになったし(それまでもしていたつもりでしたが)、クーラーの使用を最小限にしたり、その他にもそれまで気づかなかったことが見えてきたように思います(思いこみもだいぶありそうですが…)。やってみて損はありませんので、皆さんもお試しあれ。

 そんなわけで、当院も「アイドリング・ストップ」宣言をした事業所として登録申請中です。
 http://www.pref.aomori.jp/kankyo/stop/


● 奈良美智展 弘前(ナラヒロ)Project P に参加!

 当地の地元新聞では紹介されていないのでご存じないかもしれませんが、8月〜9月に「目つきの悪い女の子」の絵で若者に人気があるアーティスト・奈良美智さんの地元弘前で個展が開催されます。

 街中にある古い倉庫を使って、多数の若者がボランティアとして準備をすすめているなど、県内の新しい動きとして非常に注目を集めていますが、当院では、ポスターを全国各地に貼る「Project P」に応募して採用され、入り口に掲示しています(…でも、小さな子にはポスターの女の子がコワイかもしれません)。

 掲示の様子をメールで送り返して、公式ホームページにも掲載されました。モデルになってくれた子たちに感謝。そして、もし興味があったら夏休みには弘前に行ってみませんか。
 http://narahiro.cside.com/


● ついでに、こんなページものぞいてみようかな…

・ペシャワール会(中村哲医師) …7月の講演会は素晴らしかった!
 http://www1m.mesh.ne.jp/~peshawar/
・メルマガあおもり(青森県) …8月配信開始
 http://www.mail-aomori.net/
・はちのへJP〜八戸ポータルサイト
 http://www.hachinohe.jp/
・混乱を招く3つの八戸ラーメンの謎を紐解く…
 http://www.kuba.gr.jp/omake/raumen.html


● 第2回・第3回 ぜんそく教室 のお知らせ

第2回 8月10日(土) 15:00〜16:00 (14:30〜ビデオ)
 「喘息児の日常生活」 家庭での環境 日常生活
 学校・行事 体をきたえる 復習
第3回 9月7日(土) 15:00〜16:00 (14:30〜ビデオ)
 「喘息のセルフ・ケア」 セルフ・ケア 自宅での吸入療法
 ピークフローのモニタリング 喘息日記 総復習
会場 2階ホール

 真夏は比較的落ち着いていることが多い季節ですが、お盆過ぎて涼しい風が吹きはじめると喘息の発作も散見される季節に入ります。

 第1回のぜんそく教室はちょっと詰め込みで薬の治療をはじめとした基礎的なことを一通りお話ししました。第2回は環境対策を中心に、日常生活や学校生活などについてまとめてみたいと思います。喘息の治療は薬だけではありません。発作をおこしてからあわてないように、発作のないときに貯金をためていくつもりで一緒に勉強していきましょう。

 第3回のぜんそく教室は、前の2回を受けられた方を主な対象にしたいと思いますが、もちろんはじめての方でも構いません。喘息は一直線に治るということはなく、どうしても症状の波が出てきます。毎日の生活の中でこんな時どうしたらいいのか自宅で判断して対処してもらい、良好なコントロールに結びつけていくためのいろいろな手段をご紹介します。そのうちのいくつかは既に始めている人も多いかと思いますが、その場合は知識の確認になります。少し年長の子向けかもしれませんが,小さなお子さんの家庭でも参考にしていただければと思います。いずれも、前回の復習からはじめますので,1回だけの参加も可能です。

 なお,今年のぜんそく教室はいずれも1回ずつの設定になっておりますが,希望者や時間の都合がつかない方が多い場合は追加も考慮しますのでお申し出下さい.スペースの関係で人数に制限がありますので,予約確認の上ご出席下さい.


● 待合室の新しい本・絵本

「ともだちがほしかったこいぬ」(奈良美智)
「落語絵本 じゅげむ」(川端 誠)
「市長のひとりごと」(清水聖義・群馬県太田市長)

…待合室の本は、いずれも貸し出し可能ですのでご利用下さい。


○ 8月の休診日、急病診療所、各種教室の予定

 8月は例年と同様に、お盆休み(13日午後〜15日)と学会出張のための休診(24日午後と31日)がありますのでご注意下さい。この時期は1年で最も患者数が少ない時期なので、毎年学会に出席して勉強させてもらっています。その分休診が多くなりますが、日進月歩の医学から取り残されずに良い診療を行っていくためには必要なものですので、ご了承下さい。急病診療所の当番は8月13日(火)夜と25日(日)昼です。次回の赤ちゃん教室は9月21日(土)、喘息教室は8/10と9/7の予定です。


発行 2002年8月6日 通巻第76・77号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/


前号 次号 院内報トップ くば小児科ホームページ