■ くば小児科クリニック 院内報 2001年8月号


院内版感染症情報 〜2001年第33週(8/13-8/19)


	 2001年 第19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33
インフルエンザ    0  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  0  0  0  2  0  0  1  0  0  0
A群溶連菌咽頭炎  1  0  1  2  0  1  1  2  0  0  0  0  0  0  0
感染性胃腸炎     10 22 23  4  7  7 14  3  5  4  4  2  4  8  2
水痘              5  5  2  6  6  8  2  3  3  3  2  1  2  1  0
手足口病          0  1  1  3  4  1  2  2  3  1  4  0  3  1  0
伝染性紅斑        1  0  1  2  1  1  1  0  3  2  0  0  2  0  0
突発性発疹        2  3  2  2  2  1  4  2  1  2  2  1  3  2  1
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  2  2  0  7  2
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  2  1  1  2  0  0  0  0  1  0  0  1  1  2
 7月から8月にかけて流行っているのは「夏かぜ」です。一番多くみられるのは、発熱だけで咳や鼻水がほとんどないタイプで、最初の2日くらいは比較的高い熱が出ます。「熱が高いから重症だというわけではない」といつも言ってますが、これがその典型です。ヘルパンギーナというノドにプツプツができるタイプも8月にかけて増えていましたが、例年秋風と共に去っていきます。手足口病や、この統計には出てこない「発疹の出るタイプの夏かぜ」も散見されていますが、あまり多くありません。いずれのタイプも、最初の数日をちゃんと水分や軟らかいものをとらせながら過ごすことができれば、自然に治ってくれます。

 これも7月号に書きましたが、吐いたり下痢したりする胃腸炎も少しずつみられています。食中毒を思わせるような患者さんはいらしてませんが、時期的にまだ注意が必要です。

 その他にはさほど目立った動きはありません。麻疹の患者さんも幸い一人だけでその後2か月以上0が続いています。例年この時期が一番患者数が少なくなり、9月に入ると喘息や一般的な風邪が増えてきます。


● 「BCGの跡が腫れてジクジクしているのですが…」

 毎年この時期になると「赤く腫れてウミをもっている」と心配して受診される方が何人かいます。BCGは皮膚でゆっくり反応するので、接種後1か月から2か月にかけて一番反応が大きくなり、赤く腫れたり針跡がカサブタになったりするのは、免疫がついてきている証拠で心配いりません。消毒したり絆創膏を貼ったりする必要はなく、ゴシゴシこすらなければ石けんで洗っても構いません。時として脇の下のリンパ節が腫れて大きくなることありますが、ほとんどは数か月で小さくなります。


● 予防接種情報

(1) 二種混合がはじまっています

 小学校6年生の二種混合は季節限定となっており、毎年改善要望を出しているのですが変わりません。八戸の子は10月31日まで、階上の子は9月30日まで(中学生の風疹も)となっておりますのでお忘れなく。

(2) インフルエンザ2001-2002

 今年も年末にかけてインフルエンザの予防接種を施行します。9月から予約を受け付けて、接種が始まるのは10月後半からの見込みです。

 「秋に成立する高齢者の定期接種化による公費負担を考慮した需要予測では、最大989万本から最小790万本と予測された。昨年の使用本数が625万本であり、1.3〜1.6倍の使用量が見込まれる」との情報もあり、高齢者の動向によってワクチンの需給が決まってくるようですが、当院では昨年と同じ本数を確保できる見込みです。


● しつけをめぐる諸問題(その2)

 予定をちょっと変更して『子育ての大誤解』(ハリス)という本を紹介します。興味のある方はホームページに掲載した「しつけをめぐる諸問題」というページもご覧下さい。

 で、問題は「良い子育て」をすれば子どもは「良い子」に育つのかという点です。例えば、今までの研究から、次のような相関関係が認められていました。(その1)親が自分自身の生活をきちんと管理し、他人ともうまくやっていける家庭の子どもは、同じように自分の生活をきちんと管理し、他人ともうまくやっていける傾向にある。逆に親が自分自身の生活や家庭や人間関係に問題をかかえていれば、その子どもも同じような問題をかかえる傾向にある。(その2)愛情を注がれ大事に育てられた子どもは、いいかげんに育てられた子どもよりも自分自身の生活管理も人間関係もうまくやっていける。

 しかし、(1) は明朗で才気のある親の子どもは総じて明朗で才気のある子どもになるということを述べているに過ぎず、子どもの育ち方に親が遺伝子以外の影響を及ぼしているとは言えません。

 一方、子どもの側から親に影響を及ぼすことも知られています。(2) は「抱きしめられることの多い子はやさしい子になり,殴られることの多い子は難しい子になりやすい」ということですが、これを逆に読んで「やさしい子は抱きしめられるようになり、難しい子は殴られやすい」と説明しても矛盾はなく、どちらが正しいのかわかりません。よって(1) (2) はともに証明された事実とは言えないと述べています。

 さらに同書において、親は子どもの家庭外での行動に対して長期的影響力は持たず、遺伝子以外で重要なものは子どもの仲間集団であるとの結論を得て子育て神話を否定しています。この結論は子育てにおける親の役割の重要性を否定するものではありませんが、多くの人が暗黙の了解事項と考えていることをくつがえす画期的な説と言えるでしょう。


● 八戸市長選の公開討論会 http://homepage1.nifty.com/ykuba/

 小児科からちょっと離れますが、新聞等で報道されたように、10月8日 (祝) に公開討論会が開催されます。これは特定の候補を応援する政治的な動きではなく、公正中立な立場から、まちづくり活動の一つとして市民の有志が集まって開催にこぎつけたもので、私も発起人に名を連ねています。21世紀に入って八戸も色々な意味で変わろうとしています。ふだん政治や社会的な問題に関心が薄い方にも、この機会に自分たちや子どもたちの将来を一緒に考えていただけたらと希望します。当院にもチラシや入場整理券をおくようにしますので、ご自由にお持ち下さい。


○ 8〜9月の休診日、急病診療所、各種教室の予定

 8月25日(土)が学会のため午後休診。9月7日 (金) 午後と8日 (土) も学会で宇部市に行きますので休診になります。急病診療所は4日 (火) 夜、15日 (祝) 夜、28日 (金) 夜の3回。喘息教室の3回目は9月1日 (土)、赤ちゃん教室は9月22日 (土) です。


発行 2001年8月22日 通巻第65号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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