■ くば小児科クリニック 院内報 2001年7月号


院内版感染症情報 〜2001年第29週(7/16-7/22)


        2001年 第15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29週
インフルエンザ    3 11  2  1  0  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  2  0  0
A群溶連菌咽頭炎  3  0  0  3  1  0  1  2  0  1  1  2  0  0  0
感染性胃腸炎     10 19 22  3 10 22 23  4  7  7 14  3  5  4  4
水痘              4  3  5  2  5  5  2  6  6  8  2  3  3  3  2
手足口病          0  4  0  0  0  1  1  3  4  1  2  2  3  1  4
伝染性紅斑        2  0  0  0  1  0  1  2  1  1  1  0  3  2  0
突発性発疹        2  3  2  1  2  3  2  2  2  1  4  2  1  2  2
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  2
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  0  2  1  0  2  1  1  2  0  0  0  0  1  0
 7月に入って流行ってきたのは、発熱が主で咳やハナはひどくならないタイプの夏かぜで、その中にはノドに発疹ができるヘルパンギーナも散見されています。手足口病は、全国的には増加してきているようですが当院では微増といったところで、今年は大きな流行にはならない見込みです。いずれのタイプも、基本的には高い熱が出ても水分をとらせながら自然経過をみて下がってくるのを待って大丈夫なのですが、変わった様子があるときは受診してください。

 6月号でお知らせした麻疹(はしか)の患者さんは、当院にも1名ですが来院されています。この子は実は予防接種を受けていたのですが、小6になって免疫が弱くなって感染したものと思われます。幸い軽い経過ですみましたが、今後の流行状況に注意が必要でしょう。この場合のように、年長児での流行がみられることが今の日本の一つの感染パターンなのです。アメリカなどでは、麻疹(MMR)ワクチンを2回接種する方式がとられており、日本でも2回接種の導入が望まれています。

 水ぼうそうと伝染性紅斑(リンゴ病)はまだ多めのレベルで流行が続いています。咳がひどくなるタイプの風邪は5月がピークだったようですが、まだ少しみられています。熱と下痢などが主で他の症状に乏しい夏かぜタイプも目につくようになりました。


● 小泉医療改革に白紙委任状を与えてしまって大丈夫?

 小泉「構造改革」議論が選挙の争点となっていますが、伝えられてくるニュースやTVをみて感じるのは、全ての改革を同列に論じるべきではないだろうということです。まして、靖国神社参拝や教科書問題などは、構造改革(その中身は主に財政再建ですね)とは全く関係がないと思います。どうも気になるのは、この小泉人気に乗じて、私たちの生活に重大な影響を及ぼす医療や社会保障の問題が「経済問題」として論じられていることです。

 医療構造改革といえば新しく出てきたものと思われるかもしれませんが、実は1997年に橋本内閣で小泉さんが厚生大臣の時に出されてきたプランが実行に移されようとしているということなのです。でも、思い出してほしいのは、その橋本内閣の時に消費税増税と医療費「自己負担増」(医療費増ではありません)といった政策をとったときに、日本経済は壊滅的な状況になりましたが、その時よりももっと厳しいことを景気の悪い時に短期間でやろうとしているようにみえます。

 その内容については別紙ビラを短期間お配りしますが、私の考える基本的立場は与野党で議論されているいずれでもなく、社会保障は改革を進めながらも基本的な保障はしっかりと行い、国民に将来に対する安心感を与えながら社会の構造改革を押し進めるべきという、誰もが感じている「第三の道」です。構造改革も社会保障も同時に国民に痛みを与えるのではどこにも救いがないではありませんか。しかも、その元をたどれば、バブルという金融・行政・政治の失敗と景気対策という名の借金漬け政策であり、国民がそのツケを負わされるという構図のようです。

 もちろん、医療も情報公開などをはじめ変わっていかなくてはいけないのはこの院内報でも何度も書いたとおりで、実際にここ数年でかなりのスピードで変化してきています。

 若い人もお年寄りも、お金持ちもそうでない人も、いつかは病気になりいつかは亡くなるのです。何も医療機関の利益を守るためにこんな事を書いているのではありません。医療改革を進めてその結果としてどのような医療を受けることになるのか、国民に知らされているとはとても思えないからです。既に先行して医療改革を行った米独仏では、その失敗から見直しが論議されているときに、日本は周回遅れで同じ徹を踏もうとしているように思われます。

 参院選の候補者に対する調査では、「特殊法人改革」は賛成が87%(反対2%)であったのに対し、「高齢者医療費抑制」は反対が54%で賛成(23%)の2倍以上に上っており、医療問題は小泉改革の焦点に浮上してきています。


● しつけと体罰(その1)

 子どもが言うことをきかないときに、ついカッとなって子どもに手を出してしまったことがある人は多いのではないでしょうか。最近では、体罰と虐待について報道などで目にする機会が増えており、自分のしたことが虐待の始まりではないかと悩む親も少なくないようです。

 ある調査によると、94%のアメリカの家庭において、3歳児は何らかのかたちでの体罰を受けており、12歳でも約半数が体罰を受けています。日本小児保健協会が2000年に全国の1歳から7歳未満の幼児の保護者を対象に行った調査によると、「子どもを虐待しているのではないか」と思う母親は18%に上り、うち80%が「感情的な言葉」、49%が「たたくなどの暴力」と答えたほか「しつけのし過ぎ」(17%)「食事制限や放置」(0.4%)なども挙げられています。

 今月号に全て掲載できないので、結論から先に書きます。

 アメリカ小児科学会は1998年に「効果的なしつけに関するガイダンス」を発表しており、しつけのシステムには、1)より良い親子関係の構築を支援すること、2)望ましい行動を認めて支援していくための手段、3)望ましくない振る舞いを減らしたり止めさせたりするための方法の3つの重要な要素があり,それぞれが適切に機能することがしつけが効果的であるためには必要であるとしています。

 このうち、体罰の効果には限度がある上により強い悪影響を生じる場合があり、他の手段でしつけを行えるように親に対して援助を行っていくことを提言しています。が,本論は続き(次号)に….


○ 7〜8月の休診日、急病診療所、各種教室の予定

 7月は休診日・休診時間はありません。8月は13・14日がお盆休み、25日(土)が学会のため午後休診になります。喘息教室の3回目は9月1日 (土)、次回の赤ちゃん教室は9月22日 (土) です。


発行 2001年7月21日 通巻第64号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
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