■ くば小児科クリニック 院内報 2001年2月号


● 春を告げる祭り「えんぶり」

 一年で一番寒いこの季節に八戸では春を呼ぶ豊年祭「えんぶり」が開催されます。それが終わっても寒さはまだまだ厳しいものの、冬場の風邪もピークを過ぎ、春の足音が聞こえてくるような気持ちになります。えんぶり自体は旧正月の行事ですが、この時期に開かれるのは絶妙のタイミングなのかもしれません。しかし、演じる方も見る方も寒さで大変ですね。

 19日 (月) の14時30分頃には当院にも妙杁組が門付けに来る予定になっておりますので、ご近所の方は一緒にご覧下さい。なお、同日午前の青潮小学校えんぶり鑑賞会では、昨年から活動をはじめた青潮子どもえんぶり組が妙杁組と一緒に出演する予定になっております。まだ未熟ではありますが、地域の子どもたちの晴れ舞台をこの機会にご覧下さい。

恵比寿さん大黒さんイラスト


院内版感染症情報 〜2001年第06週(2/4-2/10)


        2000年 第44 45 46 47 48 49 50 51 52 01 02 03 04 05 06週
感染性胃腸炎     12 15 37 30 41 16 21 17 16  5 10 19 34 21 23
水痘              3  6  0  9  5  2  5  5  5  3  4  7  6  6  8
突発性発疹        1  3  2  2  3  5  0  1  4  1  0  2  1  3  5
インフルエンザ    0  0  0  0  0  2  4  2  3  1  6  9  6  5  2
溶連菌感染症      1  0  2  1  0  2  1  1  0  0  2  0  0  1  2
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  2  0  0  1
流行性耳下腺炎    0  0  0  1  1  0  0  0  0  1  0  0  0  2  0
ウイルス性発疹症  1  0  0  0  1  0  1  0  0  0  0  1  0  1  0
手足口病          2  3  2  2  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0
ヘルパンギーナ    1  0  2  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
◎最近4シーズンのインフルエンザ患者数の比較(当院)

        第49 50 51 52 01 02 03 04  05  06 07 08 09週
1997-1998* 0  0  0  0  0  0  5 42 146 131 53 20  0
1998-1999  0  0  0  0  0 22 37 41  52  28 15 12 20
1999-2000  0  2  8  5  8 14 16 51 125  88 36 27 11
2000-2001  2  4  2  3  1  6  9  6   5   2
(*1997年は50-53週)
 先月号でインフルエンザ注意報を出しましたが、12月から増え始めていたインフルエンザ患者数は、お正月明けから全国的にほとんど横ばい状態で推移しています。このように明らかなピーク形成がみられないのはここ10数年のデータをみても初めてのことですが、原因としてはここ3年ほど同じタイプの流行が続いたので、抗体を持っている人が多くなったことが考えられています。予防接種は昨シーズンの2倍生産されましたが、そのために流行が阻止されたとは考えにくいようです。

 しかし、小さいとはいえ流行自体はみられており、特に今までインフルエンザにかかったことのなかった0歳児1歳児では注意が必要です。また、A型だけでなくB型の流行が例年と同じようにシーズンの後半にかけてみられるかもしれません。

 1月の下旬にかけて、ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)が再び増加しました。例年、11〜12月にかけてと1〜2月にかけての2つのタイプがみられ、後者はロタウイルスといって少し重症化することがあるのですが、今年は比較的軽く済んでいる場合が多いようです。主に急病診療所の当番の時に使うことを目的とした「ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)のケア」というポイントだけを書いたパンフレットをつくりましたので参考にして下さい(乳児の食事療法などには触れられていませんので、詳しくは「下痢と嘔吐」をご覧下さい)。

 その他には先月までの続きで、保育園で水痘(水ぼうそう)、年長児で溶連菌感染症の流行が続いております。


● こんなものいらない?? 〜その2「冷えピタシート」

 熱があるときにおでこに貼るアレですね。同じような他社製品もあるようです。これって何年前からあるんでしょう、すっかりお馴染みの光景になりました。こちらに関しては一見便利そうだし、貼ったから直接の害があるということはないのですが、いろいろと確認をしておいた方が良いかもしれません。

 このシートは「冷却シート」と称していますが、説明書に「熱を下げる作用がある」とは一言も書かれていないと思います。シートを貼ったから体温が下がったという臨床データはどこにもないはずで、熱の交換を早めるといったようなことが書かれているはずです(手元にないので確認できていませんが)。

 冷えピタを貼っても、熱が下がるわけではありません。それが一つ。

 おでこがヒヤッとした感じになり本人が気持ちよくなって眠れるのを目的として使うのは構いませんが、医学的には、使ったからどうで使わなかったからどうだというものではなさそうです。

 また、冷却シートという言葉から、湿布代わりに使われる方もいるようです。先日、指先をやけどした子どもに冷えピタを小さく切って巻き付けて冷却しようとしていた方が、目を離したスキに子どもが飲み込んでしまったかもしれないということで急病診療所を受診されたのをみて、ちょっと驚きました。冷えピタは、湿布ではありません。

 小児科医の間でもさほど好感を持たれていないようで、私ならアイスノンなどで直接冷やす方を選びますが、子どもが好んで冷えピタを使いたがるのであれば、特にやめさせる必要はないでしょう。

 また、長時間貼りっぱなしにするのはかえって熱の放散を阻害することになりかねません。オデコは汗をよくかく場所ですね。ということは、汗をかいて熱を外に出すための大切な場所なのです。濡れタオルで汗をふき取ってあげる方が、理にかなっていると思うのですが。

 絆創膏で冷えピタをしっかりと貼り付けている方も見かけますが、そこまでしなくても良いんじゃないかな。


● 赤ちゃん教室と育児相談・子どもの心相談(無料)

 次回の赤ちゃん教室は3月17日(土)です。また、一昨年よりはじめました育児相談・子どもの心相談も、水曜午後・土曜夕方など都合にあわせて受け付けておりますので、お申し出下さい。

○「21世紀の医療は」がまた掲載できなかったので次号にまわします。

○ iモード対応ページ新設 http://www.kuba.gr.jp/i/ ご利用下さい。


発行 2001年2月11日 通巻第59号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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