■ くば小児科クリニック 院内報 2000年8月号


● 八戸の時間外小児救急システムが9月から変わります (→別プリントを参照

 経緯については9月号にもう一度詳しく掲載することにしますが、簡単に書くと、これまでの土日祝日に加えてほとんどの平日にも小児科医が出動することになります(内科外科と合わせて3人体制)。それに伴って、時間外休日に具合が悪くなった場合、これまで通り電話応対や時間外診察も行いますが、それができない場合は急病診療所を利用していただくことを皆さんにもよく理解していただき、市民病院や労災病院の救急外来を直接受診することのないようにお願いしたいと思います。


● ポリオワクチンその後

 ポリオの予防接種が5月から一時見合わせになっていましたが、厚生省の調査が終了しました(→ポリオワクチンの予防接種の今後の取扱いについて http://www.mhw.go.jp/houdou/1206/h0616-1_15.html)。その内容は6月号に書いた予想とほぼ同じで「3歳女児の脳症、死亡例についてはポリオワクチン接種との因果関係は否定的、1歳男児の右下肢単麻痺例はポリオの典型的な症状であり、一定の割合で想定される副反応例の可能性が否定できない」というもので、今回使用されたロット39のポリオワクチンに問題はないと考えられるという結論でした。

 また、宮崎県でワクチンを接種した子からの二次感染で父親が麻痺をおこした例も発生しましたが、ポリオのウイルスは3つの型があるために、この父親が子どものときに飲んだワクチンで全ての型に対する抗体が獲得されていなかった可能性が指摘されています(実際にはワクチン接種歴は不明)。

 なお、外国で採用されている不活性化ワクチン(経口ではなく注射)の導入については、今回の経緯を踏まえて医師会から要望を出していますがこの結論では触れられていません。厚生省でも引き続き小委員会で検討されているようですので、その結論がどうなったかもまたここで報告したいと思います。

 秋から予定通り接種が再開されます。これまで通りの考え方で規定の回数を受けるようにしましょう、というのが現時点での結論です。


● 夏です、お祭りの季節です

 と思ったら、また発行が遅れたので三社大祭もねぶたも終わってしまいました。そして、あるニュースで青森のカラスハネトの特集をみて驚きました。今までも話には聞いていましたがあれほどひどくなっているとは...。全国ニュースで青森の若者の最も愚かしい姿をみせつけられるのは嘆かわしい限りですが、ほんの数年前までは小児科に通っていた年齢の子どもたちだったわけです。深く考えさせられます。森首相は奉仕活動を義務づけようとしているようですが、18歳になってから強制されて何かが変わると思っているのはあまりにも浅薄。

 なお、お盆が過ぎてもまだまだ暑い日が続きますので、あせもやとびひなどの肌のトラブルがみられます。先月号に「暑い季節のスキンケア」を書きましたので参考にして下さい。


● 喘息教室と赤ちゃん教室・育児相談

 喘息教室の2回目は9月9日(土)、赤ちゃん教室は9月2日(土)に開催されます。

 喘息教室は第1回が喘息の病気そのものや薬による治療などを学びましたが、2回目は日常生活や運動、旅行などについてお話しします。1回目の復習も少し触れますので前回出席できなかった方も是非どうぞ。

 赤ちゃん教室は6月に引き続き今年度2回目になります(内容はほぼ同じ)。今回は対象月齢を少し広げてお誘いしていますが、育児の技術的な問題よりも心構えや考え方などを中心に小児科医の立場から知っておいて欲しいことについてに触れたいと思います。お父さんや祖父母の方の参加も歓迎です。

 いずれも無料ですのでお気軽にご利用下さい。

 育児相談・子どもの心相談も引き続き行っております(無料)。


● 7月から階上の予防接種も実施しております

 ポリオ以外の全ての予防接種ができます(先月号を参照のこと)。

● インフルエンザの予防接種は10月下旬からの予定です

 今年も入荷次第予防接種を開始します。15歳以上の場合は今年から1回接種でも構わないことになりましたが、小児の場合はこれまで通り2回接種で行います。予約は10月に入ったら受けたいと思います。ご希望の方は予定に入れておいて下さい。


● この機会に禁煙にトライしてみませんか?

 7月に青森市で開催された第1回の禁煙指導研究会に出席してきました。家族の喫煙はお子さんにとって百害あって一理なく、しかも新しい方法により禁煙は非常に楽に導入できる時代になってきています。詳しくは来月号に書きますので、それまでに当院でも小児科医における禁煙指導の準備を進めたいと思います。


院内版感染症情報 〜2000年第30週(7/23-7/29)


        2000年 第15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  1  2  4  3  5
感染性胃腸炎     22 25  8  8  8 12  9 12 10  9  3 11  7  8  0  4
ヘルパンギーナ    0  1  0  0  0  0  1  3  5  3  6  4  6  3  6  3
ウイルス性発疹症  1  2  0  0  0  0  0  0  0  2  0  1  1  0  2  1
流行性耳下腺炎    1  0  1  1  0  0  1  1  0  3  2  1  2  1  1  1
突発性発疹        4  4  0  4  1  1  0  1  4  0  3  1  3  7  0  1
水痘              0  2  0  0  2  2  0  0  0  0  2  0  0  0  1  0
溶連菌感染症      1  3  0  3  0  3  5  2  1  0  0  1  0  0  0  0
伝染性紅斑        1  0  0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
 先月に引き続き「夏かぜ」がメインで、最初は高い熱が出ますが2-3日で下がるのが普通です。その中で、手足口病とヘルパンギーナも中程度の流行になりましたが、報道にあったような合併症は国内でも話題になっておりません。8月中にはこれらの流行も下火になる見込みです。

 麻疹は市内では全く流行がない状態になっていますが、首都圏などからの帰省客が多くなるこの季節に移入されないか注意が必要です。


発行 2000年8月13日 通巻第53号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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