■ くば小児科クリニック 院内報 1996年10月号
小学校6年生の二種混合がはじまっています

 かつては三種混合の III 期と呼ばれていましたが,昨年から以前の II 期を「I期の追加接種」と呼び,III 期を II 期と呼ぶようになりました.問題の II 期(二種混合)は学校で集団接種されていたので接種率も良かったのですが,昨年からは個別接種になり,しかも9〜11月までじゃないとだめというちょっと不可解な期間設定付きです(...予算の関係らしい).そういうわけで昨年の接種率は50%台に下がり,今年も出足は非常に鈍くこの調子では接種率の最低記録をぬりかえることが心配されます.12月になると予診票を持っていても無料では接種できません.また,後になるほど混むことが予想されます.通常の予防接種の時間では受けにくいかと思いますが,電話してもらえれば夕方や4週6休の土曜日などに時間の便宜をはかることは出来ます.なるべく早めにすませちゃいましょう.面倒なことは早くすませるに限ります.
 また,中学生の風疹も昨年から個別接種に変わったのですがこれまた接種率が非常に悪く,先日開かれた小児科医会のときにも議論の的になりました.いま生まれた子たちは小さいうちに接種するので問題はないのですが,今の中学生は抗体の保有率が低くなり,10年後に風疹が流行したときに先天性風疹症候群の多発(あるいは妊娠中絶の激増)が危惧されます.もちろん男子にも自分の健康を守るために接種をお勧めしています.

○ワンポイント・メモ
 二種混合=ジフテリア+破傷風
 ジフテリア:かつては死亡率が高かったが,今は国内の発生はない
       しかし,最近ではロシアで接種率が低下して大流行
 破傷風:土の中にいて汚い傷から感染する,どこにでもいる菌
 風疹:自身の感染で怖いのは脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症
    妊娠中の感染で先天性風疹症候群(先天性心疾患や白内障など)

予防接種のページ


アトピーのケアと漢方薬の入浴剤

 アトピー性皮膚炎の治療の第一はスキンケア.これが不十分だと塗り薬を使っても良くなりません.具体的には毎日の入浴で汚れや細菌を洗い流し,その後で保湿剤を使うこと.保湿性のある入浴剤もお勧めできます.
 乾燥肌やアトピー性皮膚炎の子に,皮膚の水分量を増やして痒みを抑える作用のある漢方薬の入浴剤を一部の人に紹介していましたが,この治療法を教えてくれた名古屋の吉田先生から,既にパックに分けてある製品を直接入手することが出来るようになりました(1週間分で1000円).どれくらい注文しても大丈夫なのか不確定なところもありますが,今試しに使ってもらっている患者さんの感想ではかなり痒みに対して効果があるようですから,もっと多くの方にお勧めしても良さそうです.希望の方は受診の際にご相談下さい.以前は自分で生薬を買って煎じてもらっていたのですが,その手間が省けて非常に楽になりました.話によると吉田先生自ら院長室で煎じて機械でパックしてくれているとか.頭が下がります.
 また,皮膚の細菌感染が悪影響をしていることが多く,その対策として消毒薬のイソジンという薬を使う治療も効果的です.

○ワンポイント・メモ
 アトピーの治療はいくつかの面から組み合わせてアプローチします
 ・スキンケア(かさかさして外からの刺激に弱い肌をまもる)
 ・塗り薬(実際に起きている湿疹症状を抑える.薬の強さは様々)
 ・飲み薬(アレルギー反応を起こしにくくしたり痒みをおさえる)
 ・環境対策(ダニなどのアトピーの原因となっているものを減らす)
 ・その他の特殊な治療法(一部の専門病院で行われている治療)
 これらを,程度や症状に応じて段階的に組み合わせて考えていきます.ですから,いわゆる民間療法,特に「これで○○でアトピーが治った」という言葉をみたらご注意を.原因や病態が一つでないものが,それ一つですっかり治るはずがありません.

アトピー性皮膚炎のページへ

○喘息外来の今後は…

 喘息で定期的に通っている患者さんは,次回の受診日についてこちらから相談しますので,なるべく帰る前に予約を入れておくようにしましょう.喘息のコントロールは,やることは同じ様なことなのですが,その時によってどの程度の治療が必要なのか判断してアドバイスするのはあまり簡単でもないのです.ですから風邪の診察よりも時間がかかります.なるべく風邪の患者さんで混む時間は避けてほしいし,本人にとっても風邪をもらってかえるのは不本意なはずです.もう少ししたら,喘息外来の曜日と時間を決めて一般と分けてみたいと思っているのですが,どういう時間が受診しやすいのか現在検討中ですので,受診したときに希望があれば教えて下さい.もちろん,その時間だけに限定するわけではありません.
 なお,ぜんそく教室の2回目が開催されます(詳しくは別紙案内参照)

気管支喘息のページへ


● 予約時間についてのお願い

○ 最近では再来の方はほとんど予約していただけるようになりましたが,予約のメリットが十分生かされているのか,アンケートの結果もみて考えていくつもりです.本来混んでいるときにこそ予約のメリットはあるはずなのですが.
○ 9月より予約時間を15分単位に変更しております.15分毎の区切りの時間になるべくあわせてご来院下さい.15分以上遅れた場合は連絡のいかんにかかわらず予約なしの扱いになると思います.
○ 状態が悪くなければ,希望の時間より遅らせて空いていそうな時間をお勧めすることもあります.夕方5時を過ぎてからのご連絡は,待ち時間に関しては予約なしと同じです(...連絡してもらう必要はありますが).
○ 健診の待ち時間が最も長くなっていると思います.改善策は考えてますが諸事情により保留.喘息外来については上の記事をご覧下さい.


● その他のインフォメーション

○最近の感染症流行状況
 マイコプラズマが流行してきてました.マイコプラズマは頑固な咳が特徴で,幼稚園から小学校くらいの子に比較的多くみられます(→パンフレットを後日作成予定).その他にも,普通の風邪(...変な表現ですが)が多くなりだし,保育園の水痘もまだポツポツとみられます.また,これは感染症ではありませんが,季節の変わり目で軽い風邪をきっかけとした喘息発作を起こす子が非常に多くなっています.

○新しいパンフレット...このところ忙しくて新しいのができていません...
 「気管支喘息の一番簡単なまとめ」「アトピー性皮膚炎の一番簡単なまとめ」「スキンケア」(いずれも近日発行予定)

○アンケートにご協力いただきありがとうございました.2週間で約300通のご回答を頂きました.早めに集計して情報を役立てたいと思っているのですが,ちょっと作業は停滞気味(なんとかしなきゃ).

○以前発行された院内報やパンフレットで待合室に置いていないものも,全てホームページに登録して待合室のマックで読めるようにしております.本家のインターネット版は更新作業が毎月できていませんが,院内版は毎月10日頃までには更新するつもりでいます.

○編集作業の都合により11月号からは20日前後の発行となる予定です.予定表(今月から2か月分掲載することにしました)を早めにお届けできることになりますが,翌月の予定に変動があるかもしれませんのでお確かめ下さい.


● 10〜11月の診察と休診の予定

10/1(火)13:30〜1歳半健診健診センター
10/5(土)15:00〜第2回ぜんそく教室その12階ホール
10/9(水)14:00〜第2回ぜんそく教室その22階ホール
10/12(土)19:00〜休日夜間急病診療所当番急病診療所(根城)
(時間外の対応はいたしません)
10/13(日)11:00〜第5回八戸健康まつり八戸市公民館
10/19(土)午後休診青森県小児科医会青森
10/26(土)午後休診青森県医師会学校保健講習会青森
10/29(火)13:30〜ポリオ鮫公民館
(午後の乳幼児健診なし)

11/9(土)午後休診全国医療情報システム連絡協議会仙台
(午前の診療も11時まで)
11/12(火)13:00〜新入学児健診青潮小
(午後の乳幼児健診なし)
11/17(日)午前〜八戸医学会健診センター
11/27(水)午後休診学会移動日(←水曜午後は休診)
11/28(木)休診日本小児アレルギー学会福岡
11/29(金)休診 同 上 
11/30(土) 通常通り診療します 


発行 1996年9月30日 通巻第7号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
kuba@qa2.so-net.or.jp
http://www02.so-net.or.jp/~kuba/


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