■ くば小児科クリニック 院内報 1996年9月号
● アンケートのお願い // 投書箱を置くことにします

 今年の4月に開院してから,早いもので9月いっぱいで6か月ということになります.当初やるつもりだったことができていなかったり,改善しようと思ったまま放ったらかしのこともあり,これではイカンと思い始めているところです.
 そこで,これから取り組んでいくことを具体的に示すために,二つのことからはじめることにします.一つは投書箱の設置です.今までに1回だけ匿名のお手紙をいただいたことがあり,院内報で答えてほしいということでしたが一般論にしてお答えすることができませんでした.投書箱はいつでも自由にご意見がいただけるようにし,承諾があれば匿名で院内に回答を掲示することにします.病気や体のことで聞きにくかったようなことでも良いし,その他院内で気になったことなど何でも構いませんのでご意見をお寄せ下さい.
 二つめはアンケート調査のお願いです.これも行うつもりでやりそびれていたことでした.調査項目はやや多くなるかもしれませんが,当クリニックの現状を把握していくために必要なことがらですのでご協力をお願いいたします.9月いっぱいアンケートを行い,集計した結果については後ほど皆さんにもご報告することにします.


ピークフローってなあに? = 喘息・アレルギーひとくちメモ =

 最近,子どもの喘息の管理にも「ピークフロー(PF)測定による自己管理」という言葉が聞かれることが多くなりました.PFは呼吸機能検査の一種で,喘息の症状を客観的に把握するための指標になります.成人ではPFを測定しながら吸入療法を中心として自己管理を行うことがかなり広まってきていますが,PF測定は小児の喘息の管理にも非常に有用な手段なのです.ピークフローメータは3000円程度で手に入り簡単に測定できますので,5歳以上で発作をくり返している子にはおすすめしています.決して高い買い物にはさせません,大丈夫,使ってみれば役に立つことがわかりますから.
 また,PFが測れない小さい子の場合「喘息日記」をつけてもらうことが喘息の管理の第一歩なのですが,喘息日記をつけてと言うと日記は苦手だからとしり込みされてしまうことがあります.受診するときにこちらに情報を伝えてもらうことも目的の一つですが,一番の目的は,自分の喘息の状態と治療を知ることで,積極的に自分でコントロールする意識を持ってもらうことにあります.押しつけととらずに,我慢してつけて習慣にするようにしましょう.
 ところで,最近どこから聞きつけたのか,「喘息の専門医だから」ということで初めての患者さんが受診されることがありチョット戸惑うことがあります.確かにうちでは喘息の治療と管理に力を入れておりますが,ここで白状しておくと,私自身は喘息の専門教育をうけた専門医ではありません.最初は赤ちゃんがみたくて新生児医療を少しかじったのですが,その後勤めていた一般病院で,喘息の子が中途半端な治療のままで何回も入退院をくり返しているのをみて,積極的に管理をしてみたところコントロールがかなり良くなってくれるのを経験し,喘息治療の面白さとやりがいを感じて学会や講演会などにも出席しながら勉強してきたところ,というのが実情です.とはいっても,外来での喘息治療に関しては全国的にみても恥ずかしくないレベルにあると思っていますので安心して通ってもらって結構です.

○これからの当クリニックでの喘息管理(予定)
 喘息外来の充実:時間枠をはっきりと決めずないで,次回の予約を入れていくことにします(その時間には一般外来で混まないように調節).将来は,喘息外来の時間を区切ることも考えています.
 喘息教室の定期的開催:第2回は9〜10月に行います.
 アトピー教室も開催したいのですが,今のところ準備不足.

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● 姫路に行ってきました

 といっても遊びでにはありませんよ(...姫路城には行きましたが).8月24日〜25日に開かれた,日本外来小児科学研究会という一歩進んだ小児科の外来を目指す全国の小児科医の集まりに参加してきたのです.そのために23日の午後から休診にして若干ご迷惑をおかけしたかと思いますが,それを補って余りある勉強をしてくることができました.
 2日目に行われた「個別健診」のワークショップにも参加して,育児不安にも十分に対応できるような乳幼児健診へ取り組みがまだまだ足りないことを知らされ,今後の課題にしたいと感じました.出生前小児保健指導(プレネイタルビジット)も少しずつ始めるつもりでしたがまだ何もできておらずこれも宿題にします(...水曜か土曜の午後にお受けできますので希望の方はお申し出下さい).一般演題では,ゼラチンアレルギーによる風疹ワクチン接種後のアナフィラキシー(非常に強いアレルギー反応)の報告もあり,予防接種後30分の観察をしっかりと守ってもらう必要性を再確認しました.昨年までのワークショップの報告で「外来診察室での情報統合化とマルチメディア」という演題では当クリニックのホームページも紹介されたりしてチョット驚きました(...このグループは2年前からネット上で一緒に活動していたのです).
 この研究会には昨年から参加していますが,来年以降も毎年この時期に参加していくつもりですので,8月は夏休み・お盆休みと合わせて休診が増えるかと思いますがご了承下さい.ちょうどヒマな時期ですから,坐薬や喘息の薬などを切らせていなければ差し支えないはずですので....


● O157の感染源は?

 2学期も始まり学校給食も再開されましたが,病原大腸菌O157による食中毒は今年だけですむ問題ではないのでしつこく追求していくことにしましょう.一つ非常に気になるのは報道のこと.7月中旬〜8月中旬までの新聞記事によりO157が検出されたモノをリストアップすると,
 ふろの循環装置内に残っていた水や殺菌用フィルター(佐賀)/焼き肉  店で食べた生レバー(神奈川)/学校給食のおかかサラダ(岐阜)/食  肉販売店の焼肉用センマイと刺し身用の生レバー(福岡)/市食肉市場  で扱った2頭の牛枝肉(宮城)/ホルモン料理に使う牛の臓物(加熱  用)(福岡)/家の飼い犬のふん(鳥取)/解体作業中の牛の盲腸内の  便(広島)/市場に出荷された肉牛の腸(長野)/市食肉市場の牛枝肉  (宮城)/県産牛のセンマイ(胃)と同処理場の井戸水(鹿児島)/和  菓子のくず桜(神奈川)/うどん玉(ゆでめん)(愛媛)/食肉販売店  の焼き肉用センマイ(胃)(福岡)/スーパーで販売された国産スライ  ス牛肉の一部(大阪)/焼き肉店で抜き取った牛ホルモン(大腸)(福  岡)/牛枝肉2検体(高知)/製めん所の製造工程の設備二カ所(愛  媛)/牛一頭の枝肉とフン(山梨)/牛のモモ肉とふん(山梨)/焼き  肉店の牛ハラミ(内臓肉)(兵庫)/市場に出荷した肉牛二頭の直腸の  内容物(長野)  −情報引用:ニフティーサーブより−
 ご存じの通りカイワレからは検出されておらず,その他の生野菜からも検出された例はありません.このリストをみてもらえれば何が危ないのかは一目瞭然だと思います.堺市の場合,菅厚生大臣の発表内容は情報としては問題ないのかもしれませんが,マスコミがいつまでもカイワレだけをとりあげて,他の食品から検出された記事が非常に小さな扱いしか受けていない事には疑問を感じざるをえません.一体どうして?


● 9月の診察と休診の予定

○ 休診日:日曜・祝日以外にはありません

○ 休診時間
9/3(火)13:30〜15時頃乳幼児ツ反(鮫公民館)
  (この日の院内の乳幼児健診はありません)

○ 休日夜間急病診療所の当番
9/15(日)12:時〜18時TEL 0178-**-****
  (この日は時間外の受付・電話応対はいたしません)

○その他
9/21(土)夕9/23(月)東京に行っており不在


●その他のインフォメーション

○感染症情報
 夏かぜのヘルパンギーナなどは打ち止め.手足口病は今年は不作の年でした.水ぼうそうの流行は保育園などで少しずつ続いているようです.

○「ぜんそくだってじぶんでよくできるんだ」という子ども向けのビデオと絵本があります(ぜんそく教室の8月の参加者の一部にはみてもらいました).今度受診したときに一度みてみませんか.ヘンテコな雰囲気のビデオですがうちの子たちにはウケてました....

○新しいパンフレット
 熱性けいれん(近日発行予定),気管支喘息(ぜんそく教室テキスト)

○今月は記事の構成が変則的になりましたが,来月以降もレイアウトも含めて少しずつ変えていくつもりでいます.今まで読みにくかったかと思いますので,字の大きさや行間を少しだけ大きくしてみました(...まだ不十分かと思いますが).


発行 1996年8月31日 通巻第6号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
kuba@qa2.so-net.or.jp
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