■ 熱性けいれん
 熱性けいれんは生後6か月頃から4歳頃までに多くみられ,日本人の子どもの7-8%が大きくなるまでに1回はけいれんを起こすと言われています.けいれんは熱が急に高くなるときにおこりますが,けいれんを起こした後しばらくしてから熱が上がってくるような場合もあります.一度けいれんを起こした子の約1/3は2回またはそれ以上くり返すことが知られていますので,今度けいれんを起こしたときのために,次のことを知っておいてください.

●けいれんを起こしたときには

1.あわてないで様子を見ます
 けいれんは数分間で止まります.命にかかわることは,まずありません.時計を見て,何分続いているか確かめます.けいれんの様子をよく見て,あとで詳しく教えて下さい.

2.何もしないで
 口の中に指や箸を入れたりするとかえって危険なのでしてはいけません(舌を噛むことはありません).大声で呼んだり体をゆすったり抑えつけたりせず,体を横にねかせて服をゆるめ,楽な姿勢にさせます.

3.吐いたものがのどにつまらないように
 吐きそうなしぐさをしたら,体ごと横向きにして,吐いたものがのどにつまらないようにします.

●電話してください

 けいれんが止まったら電話してください.話を聞いたうえで,すぐに車で来るか,少し様子をみていていいかなどの指示をします.
 けいれんが10分以上続くようなら,救急車を呼んで救急病院を受診して下さい.何か別の病気が隠されていないか診てもらう必要があります.

●後遺症が残らないかどうか・再発しないかどうか

 熱性けいれんをおこしたことのある子でも,発達に障害を認めることはほとんどなく,4-5歳を過ぎるとけいれんを起こすことはなくなります.次のような症状がみられた場合には,てんかんなど他の病気も疑われますので脳波などの検査をおすすめします.

 ☆1.てんかんかどうか注意してみる必要がある場合
   1)熱性けいれんが発症する前から発達の遅れなどがある場合
   2)けいれんが全身性でない場合,15〜20分以上つづく場合,
     24時間以内にくり返す場合,のいずれか1つ以上
   3)両親や兄弟にてんかんの人がいる場合

 上記にあてはまらない場合でも,くり返す回数が多かったり心配が強いような場合は病院で脳波検査などをみてもらう方が良いでしょう.(ただし,脳波で全てがわかるわけではありません.)

 また,熱性けいれんをくり返しやすいのは次のような場合で,どちらも再発率は約50%と言われています.

 ☆2.熱性けいれんの再発に注意する必要がある場合
   1)1歳未満に発症した場合
   2)両親のうち1人または2人とも熱性けいれんをおこした
     ことがある場合

●けいれんの予防

 けいれんを予防する薬(ダイアップ坐薬)があり,熱の出はじめに早めに使うことでけいれんを予防することができます.熱性けいれんをおこしたことのある子全員が使うわけではありませんが,予防投与で再発率は約1/3に下げることができます.くすりの使いかたや注意は別のパンフレットがありますのでそちらをご覧下さい.熱さましの坐薬を使うことは熱性けいれんの予防にはなりません.

●予防接種は?

 けいれんをおこした後1年間は予防接種ができないという規則はなくなりました.かかりつけ医による個別接種であれば,全ての予防接種を行うことができますのでご相談下さい.

発行 1996年9月10日
くば小児科クリニック


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