■ 気管支喘息の一番簡単なまとめ
●どんな病気?

 発作のとき − 気管支が狭くなり,痰がからんで咳込みゼーゼーヒューヒューと苦しくなります.発作は夜から朝にかけてひどくなります.軽い発作の場合,朝方の咳だけで診断がつきにくいことがあります.
 発作のないとき − 普通の子と一見変わりませんが,気管支が過敏で,ちょっとしたことがきっかけで発作を起こしやすい状態にあります.発作のくり返し方はその子によって大きく違います.発作をくり返していると,気管支に慢性の炎症反応が続き過敏な状態が更に悪化します.
 アレルギーを起こしやすい遺伝的素因(アトピー素因)を持つ場合が多く,小学校入学前に発症するのが90%以上で,大人になるまでに症状を起こさなくなるのが60〜70%程度ですが,大人になってから再発することもあります.思春期〜若年成人の喘息死は減少していません.

●発作の原因,誘因

 感染症(かぜ),天候,季節,運動,アレルゲン(吸入性 ー ダニ,カビ,ホコリ,ペット,花粉など ー が主で,食餌性 ー 卵,そばなど ー はまれ),煙(タバコ,花火,線香),空気汚染(暖房,車)など.
 発作の誘因はその子によって違うので注意して観察してください.

●治療の要点

 まず喘息であるという認識を持ち喘息に対する知識を持って対処法を知ることが第一.慢性の病気なので,発作のないときの予防的治療が主体となります.予防的治療の3本柱は,薬物療法,環境改善,身体鍛錬で,薬だけが治療ではありません.発作のときには早めの対処が必要で,薬は週〜月単位で長めに使います.発作をくり返してその度に発作止めを使うだけでは喘息は良くなっていってくれません.発作のない良い状態を長く維持していくことが良くなっていくための必要条件です(「ゼロ・レベル作戦」).ピークフローのモニタリングが慢性管理の際には役にたちます.

●環境改善

 ダニ,カビ,ホコリ対策が主になりますが,ここでは詳しくは省略.

●薬物療法

 予防薬(コントロール薬):炎症を抑える作用のある吸入薬(インタール)が主に使われます.吸入ステロイド薬,経口抗アレルギー薬(ザジテン,アレギサールなど),漢方薬などが使われることもあります.
 発作止め:気管支拡張剤(テオドール,メプチン)が主で,この他に痰を切る薬や咳止め,抗生物質なども併用します.発作のときは吸入の気管支拡張剤(メプチン)を併用すると楽に過ごすことができます.

● 体を鍛えて発作をおこしにくくする

 水泳,その他の運動,薄着,冷水浴などが勧められます.運動で発作が起こるときには予防的に吸入をすることで防ぐことができます.

●発作のとき

 発作の起こりはじめを正しく察知し,早めに対処してひどくしないこと(初期消火).指示された発作時の薬や吸入を行う.安静,腹式呼吸,適度の水分摂取などを行いつつ,改善しないときは早めの受診を.

●日常生活は

 規則正しい生活で決められている薬を欠かさず,定期的受診を忘れずに.発作が落ちついている時期には生活の制限はせず積極的にいろんな事に参加して構いません.旅行や行事のときにはあらかじめご相談下さい.

●喘息性気管支炎とは

 主に0歳〜2歳頃に,アレルギーの関与がなくウイルス感染(かぜ)に伴って喘息と同じ様なゼーゼーした痰のからんだ咳をくり返す病態です.喘息と区別するのが難しく,発作時の治療はほとんど同じと考えて良いです.くり返すときは適当な時期にアレルギーの検査が勧められます.

●喘息の推薦書

 「小児ぜんそくを治す本」(山本 淳,主婦と生活社)

発行 1996年10月5日
くば小児科クリニック


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