■ くば小児科クリニック 院内報 2005年2月号


院内版感染症情報 〜2005年第08週(2/21〜2/27)


    2004年 第45 46 47 48 49 50 51 52 53 01 02 03 04 05 06 07 08
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  6 20 27 54
A群溶連菌咽頭炎  1  1  0  0  3  0  1  1  0  1  0  1  0  2  3  4  0
感染性胃腸炎     11  7  7 12  5  7  6 22 14 12 15 24  9 16 10 10 13
水痘              0  3  0  4  2  1  1  3  6  6  2  4  1  1  0  1  2
手足口病          0  0  0  3  4  3  2  3  0  0  2  2  5  1  2  2  1
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  1  0  0  1  0  0  0  0  0  0  1
突発性発疹        0  0  1  0  0  0  2  1  2  1  2  0  1  1  0  0  2
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    2  1  1  0  0  0  0  0  0  0  0  1  1  1  0  0  2
 2月に入ってインフルエンザの流行が本格化しました。その他には、みずぼうそう(水痘)と溶連菌感染症が少しずつみられていて、ウイルス性胃腸炎はノロウイルスから乳幼児のロタウイルスに流行が移ってきたようです。典型的な場合は、白っぽい下痢がみられます。嘔吐が続くときの対処のポイントは何度か書いたとおり、最初の一晩は「吐いたら飲むな」です。

☆ インフルエンザ流行中!

 メールニュースおよび「くば小児科blog」には2月8日に「インフルエンザが八戸でも流行期に」という注意報をお届けしたのですが、その後着実に流行が拡大し、おそらく3月の第1週がピークで3月中旬には終息へ向かうものと思われます。インフルエンザの検査は、流行期で典型的な症状の場合は必要ないので他と紛らわしい場合以外では行っておりませんが、これまでの検出状況では流行当初はB型で始まり、その後A型がメインとなってきているようです。先日のTVニュースでは「お腹の症状を伴うB型ばかり」と報道されていましたが、ウイルスの検出状況は地域によって異なります。

 インフルエンザの予防、治療と看護については前にも書きましたが、予防接種はこの時期からでは期待薄です。うがいや手洗いでインフルエンザの「感染と発症」をどの程度防御できるかは疑問もありますが、一般的な衛生という意味では勧められます。それよりも重要なのは、1)不必要に人混みに出ない、2)具合が悪い場合は早く休んで早く寝る、決して無理して行かせない(本人が大丈夫だと言っても)、3)少し良くなってきたからといって、すぐに行かせないで長く休ませるの3点で、いずれも個人と集団における感染症防御対策の大原則です。

 家庭での看護は、「安静・保温・栄養」という昔からある三原則をまずしっかり守りましょう。「保温」というのは「冷え」が体力や抵抗力を低下させるのを防ぐための適度な温度環境を布団や室温で調節するという意味であり、熱がある時に過度に暖めたり布団にこもらせたりすることではありません。本人が寒がる時は熱があっても布団で暖めて、暑い時には薄着にしたり布団をとってあげるなどして調節してください。

 現在、タミフルという飲み薬の抗インフルエンザ薬が子どもにも使えるようになったので、熱が下がるまでの日数が短くなり、気管支炎や肺炎などの合併症も少なくなっていますが、脳炎・脳症を防げるかどうかはわかっていません。また、乳児期には使えないわけではありませんが慎重に使うことが求められています。漢方薬を単独または併用して使う場合もあります。タミフルを3日間飲んで症状が楽になってもまだウイルスは残っていて、咳は解熱後にむしろ多くなり1週間程度続くことが多く、4−5日目に再び熱が出る(二峰性の発熱)ことも少なくないので、熱が下がってから最低でも2日以上は休ませ、その後は咳の具合をみながら判断してください(目安としては5日〜1週間)。解熱鎮痛剤の使用は最低限にするようにして、気管支炎などの合併症を起こしている時には抗生物質も使われます。

 インフルエンザは急性期が1週間、その後の症状が1週間、あわせて2週間かかる病気と考えて、決して無理をせずに対処するようにしましょう。


● 必要な予防接種はお済みですか? <予防接種週間>

 昨年はじめて実施され今年で2回目になる予防接種週間(3/1〜3/7)は、入園・入学・進学前にあたるこの時期に、あらためて必要な予防接種が済んでいるかをチェックして、一人でも接種もれを少なくするために設けられました。特に、麻疹(はしか)の接種もれをゼロにすることと、昨年来お伝えしているように、全国的・散発的な風疹の流行に伴って先天性風疹症候群が例年の約10倍も発生しているため、風疹接種率が極端に低い思春期〜若年女性やその家族・配偶者への接種を勧めることが緊急の課題になっています。なお、報道等では休日や時間外の接種が伝えられているかもしれませんが、当院も含めて当地域では通常の診療時間内での接種のみになっております。休日の接種は年に1日だけ実施しても意味がないし、予防接種によって何らかの症状が出た場合の救急病院における態勢の問題もあるので施行しておりません。お仕事などで平日に受診しにくい場合には土曜午後の接種も行っておりますので、そちらをご利用下さい。


● 雪がとけ始めたら花粉症の季節…

 2月中はいつになく雪の日が多かったようですが、八戸地域では例年寒さが和らぎ始める3月上旬から花粉が飛び始め、毎年4月上旬がピークになり、GW頃には終息するようです。スギに加えてヒノキが加わるとこの時期が少し長引く形になります。今年は報道などでも伝えられているとおり、スギ花粉は例年の数倍という大量の飛散量が見込まれています。また、かつては思春期以降の病気だった花粉症が、幼児期にまで低年齢化していることもあります。花粉症対策は、1)マスクをしたり晴れて風の強い日の外出を控えるなどの防御対策、2)根本的治療としての減感作療法は、注射を続けなくてはいけないし効果も不定なので現状ではお勧めしません。近い将来、注射しなくて良い減感作療法が安全にできるようになれば、またお伝えします。3)抗アレルギー薬の内服:花粉が飛び始めて症状が出る前(できれば1か月くらい前)に飲み始めれば、症状を軽く抑えることができます。4)対症療法:点鼻薬(ステロイドや抗アレルギー薬)、飲み薬(抗ヒスタミン薬)などを症状がある期間は集中的に使います。


● 医師確保のために原発・核燃マネーが

 非常に複雑な思いでこのニュースを聞きました。確かに青森県内では産婦人科に限らず医師が不足していて病院の体制が維持できなくなっています。しかし、県や市町村は困った時の「打ち出の小槌」として電力業界からお金を搾り取っているつもりなのでしょうが、県民の健康をあずかる医師を養成するために、健康を脅かす存在である原発・核燃マネーを受け取り続けることにより、立場は全く逆転して青森県および県民は電力業界に頭が上がらなくなり、大げさに言えば県民主権の民主主義から電力主権の世の中に変わっていくことになります(もうそうなっていると言う人もいます)。
「タダほど高いものはない」って子どものころ教えられませんでしたか?


● 祝!タバコ規制枠組条約 (FCTC) 発効(2月27日)

 スペースがなくなったので、来月号で触れたいと思います。


○ メール予約システムのご案内(別紙)

 1月号でご案内したものとほぼ同じですが、別紙をご覧いただいたうえでご利用下さいますようお願いいたします。


○ メールニュースとブログ(blog)のご案内

 以前よりメールニュースで院内報とインフルエンザなどの臨時情報をお届けしており、誰でも無料で登録することができますので、引き続きご利用下さい。それに加えて、2年ほど前まではインターネット上に誰でも書き込める掲示板を設置していたのですが、管理の都合などもあり、昨年からブログ(blog)というシステムに移行しております。こちらは情報発信が主で外から新たな書き込みはできませんが、それぞれの話題にコメントをつけたりご自分のブログからトラックバック(逆方向のリンクを張ること)したりすることができます。最新の子どもの情報や禁煙の話題などを中心に、毎日更新を目標に情報発信しておりますので、一度のぞいてみてください。当院ホームページ上のリンクから飛べますが、URLは下記の通りです。

 くば小児科 blog http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/


○ 2〜3月の診療日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 3月は臨時休診はありません。急病診療所当番は3月5日(土) 夜と20日(日) 昼の2回です。赤ちゃん教室は3月19日(土) 、「育児相談・子どもの心相談」「禁煙・卒煙外来」は、診療時間以外に水曜・土曜午後、平日夕方などにも相談可能です(初回のみ無料−禁煙外来で薬を処方する場合は実費)。


発行 2005年2月28日 通巻第107号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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☆ 当院は「敷地内禁煙」です


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