■ くば小児科クリニック 院内報 2005年3月号


院内版感染症情報 〜2005年第12週(3/21〜3/27)


        2004年 第49 50 51 52 53 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  6 20 27 54 80 73 55 12
A群溶連菌咽頭炎  3  0  1  1  0  1  0  1  0  2  3  4  0  3  2  0  1
感染性胃腸炎      5  7  6 22 14 12 15 24  9 16 10 10 13  4  8  8  1
水痘              2  1  1  3  6  6  2  4  1  1  0  1  2  2  1  0  1
手足口病          4  3  2  3  0  0  2  2  5  1  2  2  1  0  1  0  0
伝染性紅斑        0  0  1  0  0  1  0  0  0  0  0  0  1  0  2  0  0
突発性発疹        0  0  2  1  2  1  2  0  1  1  0  0  2  1  0  0  1
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  0  0  0  0  0  0  1  1  1  0  0  2  1  0  2  1

 インフルエンザは3月第1週をピークに減少し、下火になっていますが、まだ少しずつくすぶり続けているようです。今年はA型B型両方が同時に流行しましたが、当院ではA≧Bの傾向で推移しました。ロタなどのウイルス性胃腸炎も雪解けと共に減少し、溶連菌感染症や水痘も少しずつみられています。ごく一般的なタイプの風邪がむしろ目に着くようになりました。


● 便秘と肥満、TVゲーム、不登校の気になる関係
        〜 快食・快眠・快便の昔っ子プロジェクト

 最近、便秘の子が増えているような印象があります。あるいは毎日出ていても、朝は出ないまま保育園や学校に出かけてしまい、夕方から夜に排便をする。出るんだけど、いつも固くてコロコロしている。そんな子が多い。

 従来、便秘には食物繊維の多い食べ物など、食生活の改善を中心に指導してきました。しかし、単純に便秘だけを治そうとしても、プルーンやお芋を食べれば良くなるといった一問一答式の解答があるわけではなく、子どもの体は総合的にみていかないと上手くいかない。便秘は便秘だけの問題ではなく、薬でどうこうしようなんてのは本質的な問題ではありません(慢性化した便秘に薬は必要ですが)。

 もう十年以上も前から、子どもの生活の乱れと体や行動の変調などが様々な観点から個々に取り上げられてきました。『睡眠サイクルの乱れ(夜ふかし、朝寝坊、睡眠時間の短縮、昼夜逆転、深夜まで子どもを連れまわす親)、食事の乱れ(朝食抜き、小食、個食・孤食、コンビニ食やファミレス、ファストフード、サプリメント、お菓子やイオン飲料多飲など)、子どもの外遊びの減少と遊び集団・遊び文化の消滅、テレビゲームやビデオ漬け育児、言語発達の遅れや笑わない赤ちゃん、運動不足と肥満の増加、運動能力の低下、勉強時間や読書時間の減少、学力低下、日本語を知らない、朝調子が悪く、立ちくらみや腹痛・頭痛を繰り返す(起立性調節障害)、不登校、ひきこもり、キレる子ども、問題行動や少年犯罪、コミュニケーション能力の低下、生きる力の低下』などなど…。

 これらの多くは根っこの部分でつながった問題であり、その危機的な状況はここ数年でますます強まってきていることがわかってきました。

 例えば、朝食をたべない子どもや睡眠時間が短い子どもはテストの成績が悪いことが知られています。それがわかると、校長先生から朝ご飯を食べるように指導されます。でも、朝ボーっとして起きられず、ごはんも食べられない、食べてもおいしくない、もちろんウンチも出ないで学校に行く。いくら頭で教えて朝食だけを無理矢理詰め込もうとしてもできない。

 人間の体と心は、食事や睡眠、遊びや運動、生活のリズムなどと一体のもので、切り離して考えることはできません。お子さんやご両親の生活の中で『』内の複数の項目にあてはまるものがある方は、朝起きてから夜寝るまでの生活サイクル全般について、この機会に見直してみませんか。

 具体的な処方箋は、昭和30年代までの子どもたちの生活にあります。毎日子ども同士で外で遊び、時には喧嘩して泣いたり泣かせたり、お腹がすいて帰ったら夕ごはんをいっぱい食べる。それもハンバーグや焼肉ではなく、お魚や野菜、みそ汁と豆腐、そして「ごはん」などの和食。夜はテレビゲームはもちろんなく、テレビも鉄腕アトムや鉄人28号だけ、宿題をすませたら疲れて早く寝る。夜は熟睡し、朝あかるくなって目が覚めたらお腹ペコペコ。だから朝ごはんがおいしい。いっぱい食べたらウンチもいっぱい、快食快便、元気はつらつで学校や保育園に出かけていく…。

 現代の子どもや親が、便利になった生活やテレビゲームなどのメディア漬け生活の中で失った、本来あるべき子どもの姿ですが、実際にはこの生活に戻ることは非常に難しい。イマドキの子どもたちにはサンマ(3つの間:時間、空間、仲間)がありません。親や地域社会が、意識してこれらを取り戻そうとしていかなくてはいけません。特に「遊び」の復活は困難で、文部科学省でも「子どもの居場所づくり」というプロジェクトを全国で展開しているところですが、軌道に乗ったとしても長い年月が必要になってきます。

 しかし、いままさに生まれて育っている子どもたちの危機は待ったなしで、そんな悠長なことは言ってられません。家庭で出来ることは、一つずつ(できれば全て)実践していってほしいのです。

 一つ一つは、決して難しくないはずです。親が変われば、子どもも変わります。生活が変われば、子どもの心も体も変化していきます。


● 医療機関における患者さんの個人情報の保護

 ご存じのように個人情報保護法がこの4月1日より全面施行となります。5000件以上の個人情報を扱う全ての業者が対象となりますが、医療機関はプライバシーを扱う特殊性から全ての施設で対応が求められています。

 これまでも医師や看護師など医療関係者には患者情報の「守秘義務」があり、より厳しい対処がなされてきましたが、今回の法施行により、事務職や関連業者などにも適用されることになり、より安心して受診していただける環境を全ての医療機関で整えることになります。  現在、各医療機関で準備中ですので、若干の混乱があるかもしれませんが、患者さんの側としては特にこれまでと変わったことがあるわけではありません。また「本人の同意」を得なければ学校など第三者に情報を提供することは出来ないという部分で、小児科の場合は何歳までなら親の同意でいいのか、何歳以上なら本人の同意が必要なのか、あるいは、特殊な事情で本人の意向により親に情報を伝えなかった場合に問題が生じてくる可能性はないかなど、ガイドラインに書かれていない問題が残されていますが、私たちは医療のプロとして、家族や本人と全人的かつ常識的な対応の中で判断していくものであり、杓子定規に決められるものではありません。当院のような小児科診療所で問題が生じてくることは考えにくいとは思いますが、上記のような考え方で対応していきたいと考えています。カルテやレセプトの開示についても全国の医療機関で厚労省のガイドラインや日本医師会の指針に則った対応となり、本人からの請求であれば開示しますが、医療の特殊性から例外規定は決められています。


○ 4〜5月の診療日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 4〜5月は全て暦どおりの診療で臨時休診はありません。急病診療所当番は4月3日(日) 昼と16日(土) 夜、GWの5月4日(水) 昼の予定です。次回の赤ちゃん教室は5月21日(土) 、「育児相談・子どもの心相談」「禁煙・卒煙外来」は、診療時間以外に水曜・土曜午後、平日夕方などにも相談可能です(初回のみ無料−禁煙外来で薬を処方する場合は実費)。

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発行 2005年3月31日 通巻第108号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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☆ 当院は「敷地内禁煙」です


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