■ くば小児科クリニック 院内報 2005年1月号


院内版感染症情報 〜2005年第03週(1/17〜1/23)


   2004-2005年 第40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 01 02 03週
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
A群溶連菌咽頭炎  0  0  2  0  0  1  1  0  0  3  0  1  1  0  1  0  1
感染性胃腸炎      4  7  7  4  4 11  7  7 12  5  7  6 22 14 12 15 24
水痘              0  3  0  0  2  0  3  0  4  2  1  1  3  6  6  2  4
手足口病          0  0  0  0  1  0  0  0  3  4  3  2  3  0  0  2  2
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  1  0  0
突発性発疹        0  2  2  2  1  0  0  1  0  0  0  2  1  2  1  2  0
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  0  0  0  2  2  1  1  0  0  0  0  0  0  0  0  1
 12月から1月にかけての流行の中心はウイルス性胃腸炎で、その多くは報道されているノロウイルス、一部はロタウイルスと考えられます。ノロウイルス性胃腸炎については次のページにあらためて解説しておきます。

 その他には、例年どおり水ぼうそうと溶連菌感染症がみられていますが、夏かぜの代表である手足口病が昨年の夏に流行らずに今頃になって保育園での流行がダラダラと続いているのが特徴です。

☆ インフルエンザ情報     ※予防接種実施中(→詳細は別紙参照)

 今シーズンは12月中に全国でチラホラと流行情報がもたらされましたが、その後パタッと止まり、1月中旬まで目立った流行がみられないという異例の冬になっています。ワクチンのタイプが的中したこともあるのかもしれません。それでも1月下旬にかけて関東で報告数が増加傾向となっているので、2月にかけてある程度の流行を見込んでおいた方が良いでしょう。


● いま問題になっている「ノロウイルスによる胃腸炎」とは

 11月号ですでに「ウイルス性胃腸炎の初期症状に対する自宅でのケア」についてご紹介しましたが、12月下旬より高齢者の施設(主に医療施設ではなく特養老人ホームなど医療スタッフが常駐していない施設)においてノロウイルスの“集団発生”が全国で多発し、その中で亡くなった方がいるということで「社会問題」となり、報道でも大きく取り上げられているので、再度コメントしておきます。

 ノロウイルスは、11月頃の初冬から1月頃にかけて毎年流行して嘔吐や下痢などの症状をおこすウイルスで、数年前まではSRSV(小型球形ウイルス)と呼ばれていて、院内報でも毎年この時期のノロウイルス(軽症で済む場合が大半で点滴の必要性は少ない)と厳冬期のロタウイルス(重症化して入院が必要な場合もある)についての注意を促してきました。また、これは主に乳幼児、特に保育園や幼稚園で流行するものですが、年長児や大人、高齢者でも流行はみられています。

 流行の大きさに違いはあれ、今年だけ特別なのではありません。

 今回の亡くなった高齢者のケースは、吐物で窒息したか、吐いたものを肺に吸い込んだための誤嚥(ごえん)性肺炎が主だと考えられますが、これは体力や咳をする力の衰えた高齢者が吐いた時に起こる危険性という医学的にはよく知られている事実(もし家庭で起きていれば事件として報道されることはない)を伝えているに過ぎないように思われます。

 ノロウイルスが、SARSや鳥インフルエンザ・新型インフルエンザのように危険なウイルスだということでは決してありません

 また、保育園の中で流行したから保育園の責任が問われるなどということがあるはずもありません。(そんなこと言ったら、毎年ほとんどの保育園で「集団感染が発生!」と報道されることになるわけで、事の軽重を判断できずに大騒ぎしているいまの報道機関の姿勢には大きな疑問があります)

 ただし、一般的な感染対策の中でも、オムツや吐物を扱ったあとの手洗いを十分に行うなどの配慮は必要でしょう。最近では、吐物を拭き取ったあとが乾燥すると、ウイルスが飛散して空気感染を起こすということがわかってきましたが、どの程度の頻度かは不明です。主な経路は手から口への経口感染であることは間違いありません。食中毒の一つとしても注意が必要です。

 問題は、この後に流行するロタウイルスですよ。(ただし、治療やケアは同じですので両者をウイルス分離してまで診断する必要はありません)

 なお、学校などは主な症状が大体良くなるまでお休みさせて下さい。便がすっかり固くなるまで待つ必要はありません。ときに、症状に波があっていったん良くなりかけたのにぶり返す場合もありますのでご注意下さい。


● BCG の接種年齢が「生後6か月未満」になります

 この点についても、すでに何回か院内報でお知らせしてきましたが、今年4月1日から結核予防法が改正され、乳幼児期の重症結核等を早期に予防する観点から、BCG の接種年齢が生後6か月未満(例えば10月4日生まれなら4月3日まで)に変わります。

 そのため、八戸市では2〜3月に臨時で集団接種を行いますので、生後3か月以上4歳未満で未接種の方は忘れずに受けるようにしましょう。日程は広報に掲載されていますが、当院でもコピーを差し上げております。

 階上町の方も同様に3月31日までに個別接種で受けるようにして下さい。その他の市町村の予定は把握していませんが、不明の点は市町村の担当課にお問い合せ下さい。接種し忘れたために、4月1日以後に生後6か月以上の方が BCG 接種をする場合は、法定接種でないため自費となります。

☆ 予防接種のスケジュールの組み方(0歳児)

 4月1日以降は、生後3か月になったらまず BCG から予防接種を始めるようにしましょう。BCG の4週間後から三種混合を3回という順番で、ポリオの集団接種が春と秋に入りますから、ポリオと BCG の間隔がお互いに4週間あくように日程を組みます。BCG の残り期間が少なくてポリオの集団接種と重なった時には、BCG の個別接種を優先させて下さい。ポリオは国内で自然に感染する危険性はありませんので、1歳を過ぎても確実に受けてさえいただければ大丈夫です。その他、わかりにくい場合にはご相談下さい。


○ 1〜2月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 1月の急病診療所当番は1日昼、11日(火) 夜、22日(土)夜の3回で、4日以降の休診はありません。2月は5日(土) と20日(日) 昼の2回が急病診療所当番で、4日(金) は「八戸市いのちを育むアドバイザー事業」の報告・研修会のため午後3時から5時まで診療が中休みになります。

 赤ちゃん教室は1月15日(土)、その次は3月19日(土) です。「育児相談・子どもの心相談」「禁煙・卒煙外来」は、診療時間以外に水曜・土曜午後、平日夕方などにも相談可能です(初回のみ無料)。


■ メール診療予約システムのご案内(2005年1月改訂版)

 2004年12月よりメールによる予約システムを試験的に開始しております。24時間受け付けておりますが、まだご利用の方が少なく、ほぼ確実に希望の時間で予約がとれる状況にありますので、一度利用してみてご評価をお願いします。下記のページから必要事項を記入・選択して送信するだけの簡単なものです。

http://www.hmf.gr.jp/kuba/y/

◇ 当面、メールで予約できるのは一般診療のみで、予防接種と乳幼児健診、禁煙外来や各種教室などは従来どおり電話か受診時にお申込み下さい。

◇ 予約は8時半、9時、9時半、10時、10時半、14時半、15時、15時半、16時、16時半、土曜13時、13時半に限定します。   ←時間帯を追加

◇ 当日のメール受付は、午前中は8時半まで、午後は13時半までです。それ以降は電話でお申し込み下さい。

◇ メール送信時には予約状況は確認できませんので、一つの時間帯に集中した場合には、連絡して可能なら前後の時間帯にしていただく場合があります。

◇ 当院からの連絡がない場合は、希望どおり予約できておりますので、お申込みの時刻の15分前までに来院してください。

◇ 万が一、連絡の不備や行き違いなどがあった場合でも、そのまま受診できますので安心してご来院下さい。

◇ 兄弟姉妹で受診する場合は、人数分ではなく1回で一緒にお申込みいただけます。

◇ 具合が悪い場合や、特別の連絡や相談などがある場合には、従来どおり電話でお申し込み下さい。

◇ 携帯電話から予約画面が開けない場合には、「氏名、番号、受診日、希望時刻、電話番号、同時受診の兄弟姉妹の氏名、その他連絡事項」をメールに記載して yoyaku@kuba.gr.jp 宛にお送り下さい。

◇ このシステムは、2004年12月末より試験的に運用しておりますが、ご利用状況によって方法を変えていく場合がありますので、予約ページの注意書き(この案内文の最新版)をお読みいただいた上でご利用下さい。


発行 2005年1月26日 通巻第106号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/

☆ 当院は「敷地内禁煙」です


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