■ くば小児科クリニック 院内報 2004年2月号


院内版感染症情報 〜2004年第5週(1/26-1/31)


   2003-2004年 第42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 01 02 03 04 05週
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  4  4  9 20 26
咽頭結膜熱        0  2  2  0  1  0  0  0  0  1  0  2  0  1  1  1
A群溶連菌咽頭炎  0  0  0  0  0  1  0  1  2  1  0  2  1  4  4  3
感染性胃腸炎     10  2  5  1 10 12 13 11 13 14 12  1  8  7  7  9
水痘              0  2  0  0  0  0  1  4  0  4  3  1  0  0  0  0

☆ インフルエンザ流行情報

 1月号の発行が遅くなったので、インフルエンザに絞ってお伝えします。今シーズンのインフルエンザは南東北から北関東にかけて流行が始まり、1月末現在で全国に流行は広がり、八戸でも3学期と共に週を追って患者数が増加してきております。現在流行中のタイプはA香港型です。流行の立ち上がりから1か月間は流行が残り、次の1か月はB型やAソ連型やインフルエンザ以外の風邪が入り混じって見分けがつきにくくなるのが最近のパターンでした。インフルエンザについては、当院ホームページの他に、全国の小児科医が毎日患者発生状況を登録している下記のページも参考にして下さい。

「MLインフルエンザ流行前線情報DB」 http://research.children.jp/flu2003/

 その他には、ロタウイルス性胃腸炎(嘔吐+下痢)は2−3月に例年ピークとなり、溶連菌感染症も多めで推移し、アデノウイルスと考えられる咽頭結膜熱(熱が5日出るタイプ)の小流行も残っています。


● 麻疹(はしか)の接種率、大幅アップ!(当院比)

 毎月のように書いている麻疹の話題ですが、昨年の8月以来「1歳のお誕生日に麻疹ワクチンを」という運動を展開してきたところ、短い期間ではありますが、接種年齢(月齢)を比較してみると明らかな効果が現れてきました。以下は、当院で接種した人の中での割合で、従来(1996年-2003年8月)は1歳3か月までに63.1%、1歳6か月までに80.7%の累積接種率だったものが、キャンペーン開始後(2003年9月-2004年1月)では1歳3か月までに97.4%(1歳6か月も97.4%)と大幅なアップになっています。

 もちろん、ここには接種もれの方は含まれていませんが、受診者には全員麻疹接種歴を再チェックするようにしていますので、かかりつけの患者さんについては、ほとんどの方が1歳3か月までに接種してくれていると考えて間違いなさそうです。皆さんのご理解とご協力に感謝すると共に、この良い成績をずっと続けていきたいと思いますので、毎度おなじみの「1歳のお誕生日に麻疹ワクチンを」ということで、今年もよろしくお願いします。


● 「子ども予防接種週間」への参加について

 「子ども予防接種週間」は今年はじめて設置されたもので、その内容については下記の開催要項をご覧下さい。目的については「はしかゼロ」運動の一つとしての意義は認められるものの、当院では土曜午後の診療と予防接種を通年で実施していることもあり、かかりつけの患者さんに対して日曜接種を1年に1回だけ実施する意味は殆どないと考え(※)、特別なことは行わず、土曜午後のみ参加することにいたしました。広報等にもリストが掲載されるかもしれませんが、土曜午後3時までのいつもと同じ時間帯です。また、予防接種に関する疑問や相談もいつでも受け付けております。

※ このキャンペーンは、決まったかかりつけ医を持たず予防接種もほとんど受けていないような親子に対する啓蒙と、この問題について社会に広報・啓発していくことが主な目的だと考えています。

 子ども予防接種週間 − 特に麻疹の予防接種率の向上を目指して−

1. 目的 保護者を始めとした地域住民の予防接種に対する関心を高め、予防接種率の向上を図る。特に諸外国より麻疹の輸出国と批判されている現状を強く認識し、接種率を上げることにより、我が国の麻疹根絶を目指す。
2. 主催 日本小児科医会、日本医師会
3. 後援 厚生労働省、「健やか親子21」推進協議会
4. 実施期間 入園、入学前で保護者の予防接種への関心を惹起する時期であり、また、接種漏れを見直すよい時期であることから、2004年3月1日(月) から3月7日(日) までの1週間とする。
5. 対象 予防接種法に基づく予防接種。特に麻疹を重点とする。
6. 実施内容 種々の予防接種の相談に応ずるとともに、通常の診療時間に予防接種が受けにくい人たちに対し、土曜日、日曜日に予防接種を行う。
7. 実施機関 賛同した医療機関、各地域の予防接種センター(略)
8. 広報 ポスター、チラシを作成、配布する。マスコミ、行政とも連携を図り、ホームページ(http://www.med.or.jp/vaccine/)等を活用して積極的にPRする。


● 空気の美味しいお店・施設の情報をお知らせ下さい!

 子どもだけでなく全ての人にとって受動喫煙のない無煙社会を目指すために
 「空気の美味しい八戸のお店〜八戸市・周辺地域の禁煙・分煙施設情報」
  http://www.kuba.gr.jp/care/muen/kinen_shisetsu.html
というページを開設して禁煙のお店を応援してきましたが、昨年5月の健康増進法施行にもかかわらず八戸では禁煙の飲食店はほとんど増えていないように思われます。一方、昨年秋から青森保健所(青森市と東津軽郡)では、
 「空気もメジャー店−受動喫煙防止推進店−」
  http://www.pref.aomori.jp/hi-hoken/kenkou/kuukinomezya.htm
という運動を進めており、ホームページには38店舗が掲載されています。

 皆さんもお子さんを連れて行くときに禁煙のお店がなくて困ったことがあるかもしれませんが、もし八戸周辺地域で禁煙や完全分煙の施設の情報をご存じでしたら、上記の「空気の美味しい八戸のお店」HPの登録フォームよりお知らせ下さい。そして、禁煙のお店を応援していくことにより、もっともっと「空気も美味しい」お店や施設を増やしていくことを目指しましょう。
★ 2/13 OPEN予定の「カレーハウスCoCo壱番屋八戸城下店」は禁煙です !


○ 2〜3月の休診日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 2月と3月とも暦通りの診療で臨時休診はありません。急病診療所当番は2月11日(祝) 昼と22日(日) 昼の2回で、3月の予定は未定です。赤ちゃん教室は3月13日(土) になります。

 「育児相談・子どもの心相談」、「禁煙外来」(ご家族だけでなく本人や兄弟の喫煙についての相談も可)、いずれも水曜午後、土曜午後、平日夕方など時間をとって話せるときに相談可能です。(初回のみ無料で予約制)


発行 2004年2月4日 通巻第95号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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http://www.kuba.gr.jp/


<2月号付録>

■ 今年こそは社会保障政策の方向を転換させる(日医会長談)

※ 少し長くなりますが先月号の年頭挨拶の続きとして引用しておきます。現在の社会保障政策の問題点と今後の方向性について考える材料にして下さい。

 日本医師会の坪井栄孝会長は13日の記者会見で、医療、介護、年金などの社会保障について、「小泉改革によって大きな揺らぎが出ている。これを何としても防ぎきらないと、世界に誇るわが国の社会保障制度は崩壊する」とし、「今年こそは大きく舵を切り直し、政策の方向を転換させねばならない」と強い決意を表明した。景気を回復させるためにも、国が社会保障を今以上に充実させて国民の将来への不安を払拭していく必要があると指摘。「知恵を出すことをいとわず、実行する勇気があれば増税なき社会保障の充実も十分可能」と述べ、国と地方の財政のリストラ、年金積立金の取り崩しなどを計画的に進めることで年間6400億円の社会保障財源を捻出するビジョンを提示した。

 坪井会長は社会保障を国民の生計と生命の安全を保障する「平時の国家安全保障」と位置づけ、国が責任をもって財源を確保して充実・強化させていくべきだとの考えを強調した。

 政府は「社会保障制度を将来にわたって持続可能なものにするには高齢者にも応分の負担を求める必要がある」として、年金給付の縮小や高齢者の医療費自己負担引き上げなどを実施している。坪井会長はこうした政策を「本質は若年世代の負担を減らして、若年世代の負担の約半分を負担している企業の負担を減らすという企みだ」と非難。そもそも地方を含む国全体の財政340兆円に対する公的医療・介護給付費(30兆円)のシェアは9%に過ぎず、「医療費で国が潰れるということは全くの妄想に過ぎない」と話した。

 今後の展望では、2000年度時点で33・8兆円の公的医療・介護費を2017年度には59兆円に拡充するビジョンを示した。この59兆円を家計30%(00時点:43・5%)、事業主30%(18・5%)、公費40%(38・0%)という負担構成で賄う。家計の負担割合を引き下げるため、事業主は年平均で6800億円、公費は6400億円の負担増になる。

 事業主には見返りとして、負担増の半額を賄える程度の法人税の減税措置を導入。減税財源には、医療・介護分野で雇用が拡大するのにともなって新たに生まれる税収を充てる。医療・介護分野では今後15年間、毎年15万人程度の新規雇用が必要で、この人達の平均給与を年500万円、所得税・住民税の税率を30%と仮定すると、国・地方合わせ年間2250億円の税収増が見込めるという。

 公費財源は、国・地方財政の改革と年金積立金の取り崩しなどを段階的に推進することで調達する。具体的には▽07年までは、国と地方の一般会計、特別会計全般について、補助金、事務費、管理費、建物の建設費の削減を実施(財政効果:最大で4・5兆円)▽08年〜12年は50兆円におよぶ政府保有の米国債を一部日銀に売却(同:最大で3・2兆円)▽13年〜17年は、景気回復に伴う税収増の0・8%を毎年社会保障に投入−としている。

 また坪井会長は、「どのような医療制度が望ましいか、どのような保険制度が望ましいかは財政当局ではなく、国民の皆さんと私ども医療従事者が連帯して考えるべき課題だ」とも話し、「国民に信頼される医師会」になるために医療安全対策(医療事故防止対策)にも精力的に取り組んでいく考えを示した。

※ JPNホームページ http://www.jmapress.net/


■ 与党代議士が核燃凍結宣言(河野太郎氏のメルマガより http://www.taro.org/

核燃料サイクル研究会を立ち上げた。

六ヶ所村に使用済み核燃料の再処理工場が造られ、この工場の稼働が迫っている。
問題は、この工場の稼働が本当に必要なのかという議論が極めていい加減に行われてきたことだ。
単純に言うと、この工場の稼働を稼働させることなく凍結すれば国民負担は4兆円で済むところを、ひとたび工場を稼働させると(つまり核で工場が汚染されることになると)国民負担は十数兆円にふくれあがる。
ここでそういう計画だからと議論無しに稼働を強行すれば、年金とグリーンピアのようなことになる(つまり負担が顕在化した時に、なんであのときにそんな馬鹿なことを止めなかったのか、と)。

再処理工場とは、ウランを原発で燃やした時に出てくる使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す工場だ。
本来、プルトニウムを取り出して高速増殖炉で燃やす予定だったのが、95年のもんじゅの事故で高速増殖炉の実現が極めて難しくなり、プルトニウムを燃やすことができなくなった。
通産省はあわてて高速増殖炉に代わり、プルサーマルという敗戦処理技術(あまりメリットがない)を位置づけたが、これも計画通り進まない。
ところが再処理だけはヨーロッパに委託したり、東海村で始めたりと先行してしまった。その結果、六ヶ所村の新工場を稼働させる前でもプルトニウムがどんどん貯まり、いまや国内に38トンもある。IAEAの査察費用のかなりの部分が日本のプルトニウムのために使われている。日本国内にあるはずのプルトニウム量と実際の量の誤差(MUFという)が200kgもある。
プルトニウムは、ウランの何万倍もの発ガン性を持つ極めて危険な物質であり、わずか5kgで核爆弾ができてしまうため警備が大変で、さらにコストも非常に高いというデメリットがある。
六ヶ所村の再処理工場を稼働させると、さらにこのプルトニウムが貯まっていく。

六ヶ所村の工場本体は当初計画で8000億円のはずだったのが、建ててみたら三兆円もかかった。
しかもステンレスの溶接という確立された技術を使ったところにひび割れが発生するという問題が起きている。
六ヶ所村の工場ではジルコニウムとステンレスの配管を異材継ぎ手という新しい技術でつないでいるところが何万カ所だか何十万カ所だかある。動燃の東海村の再処理工場も当初の稼働率は無茶苦茶低かったことを考えると、六ヶ所村の工場の稼働がスムーズにいくとは思えない。

再処理した時の総費用は11兆円と言われているが、これも発表の半年前には16兆円と言われていた。
11兆円という数字は、通産省がでっちあげた原発の発電コストである5.9円よりも高すぎず(高すぎれば再処理を止めろと言われる)、ある程度高く(ある程度費用がかかることにしないと電力会社に国が補助を出せない)という観点から創られた数字なのだ。
だから、国民負担がいくらになるかやってみなければわからないというのが現実なのだ。

2005年といわれる再処理工場の稼働開始を凍結し、再処理が本当に必要なのか、コストがいくらかかるのか、ということを検証し、きちんと合理的に議論してから結論を出すべきだというのが我々の主張だ。

原子力発電が、夏場の一時期の需要期を除き必要不可欠でもないということは、去年の原発の全面運転停止でも立証された。
本来ならば、水素ベースのエネルギー路線に転換するための研究開発や自然エネルギーで本当にどこまでやれるのかという政策転換が必要なのだが、それを担当する経済産業省は、自然エネルギーを殺している。自然エネルギーが着実に増加すると、原子力はいらないではないかという議論になっていくことをおそれている。
電力会社に対して自然エネルギーによる発電を求めたRPSという制度でも異様に低い数値設定をして、しかもその設定が前半は極端に低く、2010年以降は現在、設定がないという新規事業者の参入を阻止するための設定になっている。このため、風力発電に関しては、日本には未来がないような状況だ(風力発電事業者は2010年以降の需要を示せないために、そこから先の資金手当をすることができない)。
太陽光発電に関しても、ドイツが80円相当で買い入れるという法改正をして、先頭を走る日本に追いつこうとしているのに対し、日本はまったく逆を行っている。日本の太陽光発電のためのパネルメーカーも日本市場を相手にせず、ヨーロッパ、特にドイツを狙っている。
競争力のない産業を整理し、新たな産業を興すということが国策になりつつあるこの時代に経済産業という名前を持つ役所が、新規産業の有望な種を省益のために平気で殺している。
政治は何をやっているのかと言えば、自民党の電力族と経済産業省べったりの政治屋どもは民主党の電力総連の息がかかった議員どもと一緒に、電力の自由化が叫ばれているこの時代に、原子力発電は国策と位置づけようと必死になっている。
なぜ原子力を国策と位置づけたいかといえば、国策ならば国が金を出しても当然という議論ができるからだ。
つまり電力会社は原子力発電を維持しきれなくなっている。原発でウランを燃やした時に出てくる使用済み核燃料の処理ができなくなっているのだ。
電力会社の経営にとって、原発のバックエンドをどうするかは極めて大きな経営判断になる。電力会社は自分の会社が負担するよりは、血税で尻ぬぐいをしてもらいたい。
経済産業省は自分たちの政策ミスを表には出したくないし、天下りやらなんやらのおいしい蜜である原子力を維持したい(まさに厚生省の年金と同じだ)。
政治家は原発によって地元に落ちる補助金を維持したい。労組は原発による雇用を維持したい。
ババを引くのは一般納税者、高い電力を買わされる消費者、そして地球環境ということになる。
自民党の中でエネルギー問題の責任者を務めたこともある亀井善之農水大臣も、自らの著作の中で原子力はもはや国策ではない、見直しが不可欠だと訴えている。
にもかかわらず、与野党の中に暴走する議員がいる。
グリーンピアの悲劇を目の当たりにして憤慨している納税者よ、今、原子力政策の見直しを求めて立ち上がれ。
年金問題で特集を組んでいるマスコミよ、原発の問題の特集を組め。今、動けば十兆円以上の国民負担をストップできる。

電力会社、特に東京電力は、自らの都合で六ヶ所村の再処理工場を稼働させたがっている。
原子力発電所は、運転すればかならず燃やしたウランが使用済み核燃料となって出てくる。日本の原発が抱えている直近の課題は、この使用済み核燃料を貯蔵するスペースが無くなりつつあるということだ。
とくに東電の福島第二では、この使用済み核燃料の貯蔵スペースが後二年分程度しかない。日本の原発トータルで見ても、今のままならばあと七、八年で貯蔵スペースがなくなる。
そこで、2010年をめどに、青森のむつに、中間集中貯蔵施設を造ることになっている。ところが、これはあくまでも中間貯蔵であって最終的な処分では無いということになっている。そのために、六ヶ所村の再処理工場を稼働させることにより、中間貯蔵しているものも再処理してよそへ持っていきますということで、むつの施設を認めてもらっている。だから電力会社は、六ヶ所村の再処理工場を稼働させないと原発の稼働が止まってしまうので、あせっている。
しかし、再処理工場などにかかるコストを誰が負担するのかということが明確に合意されない限り、この費用は電力会社の経営の命取りになりかねない。

原子力発電所はいいことだけではない。使用済み核燃料という核のゴミがどんどん出てきているのだ。
これを処理する方法は二つある。ひとつは、ウランを燃やした時に出てくる使用済み核燃料、つまり今、原発からでている核のゴミをそのまま処分する方法。
もう一つは、再処理をしてプルトニウムを取り出す方法。再処理をしてプルトニウムを取り出すと、使用済み核燃料は高レベル放射性廃棄物と呼ばれるタチの悪いゴミに代わる。再処理をするとTRU(トランスウラニウム)と呼ばれるコバルトやストロンチウムよりも毒性が強くしかも半減期が何万年、何十万年と非常に長い物質が出てくるのだ。
再処理を推進しようとする経産省などは、再処理をすると処分しなければならない量が減るから(1トンの使用済み核燃料を再処理すると0.7トンの高レベル放射性廃棄物になる)、処分しやすいと主張する。これは大きな間違いだと思う。なぜならば処分すべき核のゴミは三割減るかもしれないが、TRUを作り出してしまえばTRUそのものの量の何倍もの体積のTRUに汚染された廃棄物が生まれる。処分の難しさは重さではなく体積で決まる。だから重さは三割減っても、処分すべき体積は何倍にもふくれあがる。
経産省の見積もりではTRUの処理に8100億円かかる。この見積もりは甘いと僕は思う。再処理工場本体の見積もりが三倍以上にふくれあがったように、このTRUの処理コストも何倍にもなると僕は考えている。
そして、この高レベル放射性廃棄物の最終処理場所は決まっていない。(六ヶ所村でたしか40年間の中間貯蔵をすることになっているが、その後どうするかは未定である。経産省はその後、数百年間にわたり、地層処分、つまり地中深く穴を掘って埋めると主張している。問題はどこに、ということだ。)
いずれにせよ、今のずさんな見積もりと国民に対する説明責任もあいまいなまま、再処理工場を稼働させ、再処理をして燃やし方も決まらない大量のプルトニウムを取り出して、高レベル放射性廃棄物を最終処分するか、再処理を当面凍結し、使用済み核燃料の中間貯蔵期間を伸ばす方策を考え、その間に再処理が必要なのかどうかを検討し、コストを精査して、国民的な議論をきっちりとやるかの分かれ道に立っている。


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