■ くば小児科クリニック 院内報 2003年1月号


院内版感染症情報 〜2003年第01週(12/30-1/5)


        2002年 第39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 01週
インフルエンザ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  2  0
A群溶連菌咽頭炎  0  0  0  0  0  2  1  0  0  2  1  0  0  3  0
感染性胃腸炎      2  1  1  4  9  5 12 13 20 18 20 14  3  9  4
水痘              0  2  0  3  2  0  1  1  2  6  1  0  4  3  3
手足口病          2  4  0  2  1  1  0  1  0  2  0  2  0  0  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
突発性発疹        0  1  1  1  1  1  0  0  3  2  3  2  1  3  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1
流行性耳下腺炎    0  1  0  1  0  0  0  0  1  0  0  0  0  1  0
☆ インフルエンザは流行期に。麻疹も局地的に発生

 インフルエンザ:年末年始にかけて県内でも報告されてきており、いよいよ流行期に入ってきました。3学期が始まって1月下旬から本格的な流行になるものと予想されます。予防接種の2回目はお早めに。

 麻疹(はしか):市内の一部でいわゆる待合室感染による流行が起きているようで、厳重な注意が必要です。発疹が出る前の初期症状は、小児科医でも風邪やインフルエンザと区別がつきにくいのです。1歳過ぎて予防接種がまだの方は、忘れずに接種するようにしましょう。

 ウイルス性胃腸炎:年末にかけて嘔吐・下痢をおこすウイルス胃腸炎は下火になりましたが、厳冬期にかけてインフルエンザと共に例年ロタウイルスという重症化しやすいウイルスが流行します。吐き気が残っている間はなるべく長めに絶飲食にして、ごく少量から細かくわけて水分を摂取させるという対処法は同じですが、上手くいかないときには頑張りすぎずに早めに受診することも大切です。

 乳児の急性細気管支炎:あまり馴染みのない名前ですが、普通の気管支炎とは違います。毎年今頃に流行するRSウイルスによって引き起こされる病気で、大きな子だと少し咳がひどくなる程度ですむのですが、生後半年未満の乳児がかかると重症化して入院したり酸素療法が必要になる場合もあるので、急速に進行してこないか注意が必要です。

 風邪のときの看病〜ワンポイント・メモ:早く通園・通学させようとせずに、できるだけ長くお休みさせましょう。これは重要ポイント。


● 新年あけましておめでとうございます   平成15年新春

 今年も厳しい中で穏やかな新年を迎えることができ、受診して下さった患者さんをはじめ地域の方々には大変感謝しております。本年も微力ながら地域の子どもたちに少しでも役に立てればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 医療だけでなく私たちの生活をめぐる環境は厳しさを増す一方で、少子化で高齢者を支える労働力が足りなくなると言いながら、高校を卒業しても仕事がないという矛盾は説明がつきません。一番大切なのはお子さんをはじめとした家族の健康であることは間違いありませんが、青森県は平均寿命も一番短く、新生児死亡率も一番高いのです(とは言え10年前の全国平均より低く世界一の中での最下位というレベルですが)。

 国のレベルで医療資源をどう配分するか(どこにどれだけお金をかけて−あるいはかけないで、誰が負担するか)などのグローバルな問題から、予防接種や救急医療などの地域レベルの問題、一人一人の患者さんの問題など、考えなくてはいけないこと課題は山積しています。

 そんな中で、今年は出来ることを一つずつやる、という至極当たり前のことを目標にしたいと思います。出来ないことまでやろうとして、出来ることができていないのが毎年の反省でしたから…。
 
○ たとえば、小児救急の問題。

 昨年の一関市の一件で再び注目を集めていますが、八戸では数年前から話し合いを続けて段階的に改善してきており、盛岡市を除いて北東北では最も小児救急医療体制が整っていると言えます。

 しかし、厚生労働省の進めている小児救急24時間体制(各病院の小児科医が交代で24時間毎日当直をする体制)が青森県では1か所も整備されていないと報道されており、急病診療所を翌朝まで延ばしてという要望を耳にすることもありますが、県内では小児科医が足りないので、私たちは24時間体制は目標にしておらず、厚労省の目標設定に無理があります。24時間営業のコンビニはアルバイトが交代で働いているので成り立ちますが、私たちはみんな毎日朝から夕方まで診療をして、その上で平日夜や土日に出動していますので、これ以上時間をのばそうとすれば協力医がかえって減ってシステムが崩壊してしまいます。全国的にも、小児救急24時間体制が整っているところは、大学病院の研修医がバイトで協力できる県庁所在地などマンパワーのある地域に限られています。

 県内では大学病院のある弘前市よりも八戸市の方がシステムは整っているものの、深夜帯については小児科医以外の病院勤務医の協力も得てこの体制を維持しつつ、患者さんの側からも具合の悪そうなときには夜23時より前に急病診療所を利用するなどして、お互いに協力しながらより良い小児医療をつくっていきたいと考えています。

○ たとえば、イラクや北朝鮮の問題。

 連日のように一触即発の情勢が報道されていますが、難しい問題で答えがすぐには出ません。北朝鮮で有事となれば日本が狙われるのも事実なのでしょう。しかし、戦争や経済制裁で一番最初に犠牲になるのが小さな子どもだということも確かです。米国は戦争でその国を解放して民主化することが犠牲を最小限にとどめることになるという理論を主張しており、原爆投下もやむを得なかったというのが多数意見なのです。

 私たちに出来ることはわずかですが、地道な一歩を進めていくしかありません。当院では、僅かずつではありますが皆さんにかわってユニセフと国境のない医師団への募金を続けていることを報告しておきます。


● 知事選の合同個人演説会が開催されます

 市長選公開討論会と違い、合同個人演説会は告示後に各候補者が共同で開催するもので、第三者が広報するのは認められていないのです。新聞報道の情報を見逃さないようにして下さい。「未来は予測するのではなく選択するのだ」と言ったのは、デンマークで経済成長に頼らない持続可能な循環型社会を創ったヨアン・S・ノルゴー氏です。子どもたちにどんな未来を残してあげられるのかが、今まさに問われています。

 青い森と翠の風〜青森の将来を、一緒に考えてみませんか〜
 http://aomori2003.tripod.co.jp/

○ 1〜2月の休診日、急病診療所、各種教室の予定

 1〜2月はお正月休み以外には休診はありません。1日昼と14・28日夜が急病診療所当番です。次回の赤ちゃん教室は1月18日(土)です。


発行 2003年1月12日 通巻第82号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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