■ くば小児科クリニック 院内報 2001年10月号
● 院内版感染症情報 2001年第42週(10/15-10/21)
2001年 第28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42週 咽頭結膜熱 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 A群溶連菌咽頭炎 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 0 感染性胃腸炎 4 4 2 4 8 2 9 7 3 5 0 2 6 5 6 水痘 3 2 1 2 1 0 0 0 0 0 2 1 1 0 0 手足口病 1 4 0 3 1 0 1 1 1 1 2 6 2 0 3 伝染性紅斑 2 0 0 2 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 突発性発疹 2 2 1 3 2 1 7 1 1 2 2 1 2 1 1 ヘルパンギーナ 1 2 2 0 7 2 3 4 0 1 3 1 2 0 3 麻疹 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 流行性耳下腺炎 1 0 0 1 1 2 1 1 1 7 5 1 3 1 09月中旬より咳の出るタイプの風邪と、喘息発作、そして10月に入って嘔吐や下痢が主症状のウイルス性胃腸炎が流行してきています。
● インフルエンザ情報(その2)…先月がなかったので再びその2
今年のインフルエンザ予防接種は10月中旬より開始しています。希望の方は、できれば年内に2回の接種が終わるようにお申し込み下さい。
【65歳以上の方は一部公費負担の予定です】小児科には直接関係ありませんが、ご家族で摂取される方もいると思いますので参考にしてください。予防接種法が改正されて、65歳以上の高齢者は一部公費負担になる予定です(1回接種で、価格は自治体によって異なります)。予定ですというのは、今年春からの国会で審議できずに9月からの臨時国会で継続審議となったのですが、テロの審議ばかりしていて国民の生活に影響する法案の採決が大幅に遅れており、最終的に法案が採決され施行されるのがいつ頃になるか情報が混乱している状態なのです。
実施されるのは早くて12月頃かと予想していますので、高齢者で今年の接種を予定している場合に、全額自費で見切り発車で接種してしまうか、法律が施行されるのを待つべきか決めにくい状況になっています。
● 子どもを喫煙者に育てないために(デーリー東北 9月30日掲載)
子どもに無煙環境を / 両親の禁煙は愛情の贈り物
今回は、タバコが子どもの健康に及ぼす影響の大きさについて説明します。
皆さんの中には、タバコが肺がんや心筋梗塞などの原因となり、受動喫煙によって家族の寿命まで縮めていることを知りながら、やめられないでいる方も多いと思います。タバコには依存性があり、いったん吸い始めると禁煙は簡単ではありません。
お子さんを喫煙者に育てたいと願っている親はいないはずです。すべての子どもが一生タバコに手を出さなくなれば、タバコ問題は一気に解決するのです。
小学生のうちに喫煙防止教育が必要(→グラフは下記URLに掲載)
http://www.kuba.gr.jp/care/muen/index.html
しかし、わが国では逆に未成年の喫煙者が増え、低年齢化しています。1996年の調査では、中学一年生男子の3人に1人、女子の6人に1人に喫煙の経験があり、中学生での喫煙経験率は過去20年で約2倍に増加しているのです。
喫煙開始年齢が低いほど依存性が強くなり、発がんや死亡のリスクは高くなります。未成年でタバコを吸い始めた人は、非喫煙者に比べて5.7倍も多く肺がんで死亡しているのです。
子どもに対するタバコの害は、母親の喫煙による低出生体重、早産、周産期死亡、乳幼児突然死症候群の増加、受動喫煙による気管支炎・肺炎や気管支喘息、中耳炎の増加、さらにはタバコ誤飲事故や火傷、火災による死亡、父母の喫煙による疾病や若年死、喫煙による経済的損失など枚挙にいとまがありません。日常生活レベルの受動喫煙を受けている非喫煙者の14%(7人に1人)が受動喫煙によって命を落としていることがわかってきました。
さらに、喫煙家庭で育った子どもは大きくなってタバコを吸い始める率が高くなるという点は重要です.喫煙者の子どもは、喫煙に対する心理的な抵抗感が少ないのです。また、喫煙者は一般にタバコの害を知らず、子どもの喫煙を見て見ぬふりをする傾向にあります。中高生の2〜5%が親からタバコを勧められたことがあるという驚くべき数字もあります。そして、喫煙者となった子どももタバコ関連疾患によって早死にし、悪い連鎖は孫の代に引き継がれていくのです。
この連鎖を断ち切るためには、まず親や教師、地域の人たちがタバコの害についての正しい知識を持ち、子どもに無煙環境を与えるよう取り組んでいくことが必要です。具体的には、学校の完全禁煙化、屋外自動販売機や広告の規制、タバコ税の大幅増税、テレビドラマにおける喫煙シーンの規制、喫煙は格好悪いという価値観形成を助ける教育などにより、子どもがタバコに手を出しにくくする環境をつくっていくのです。
ニコチン代替療法(ガムやパッチ)の進歩により、禁煙のハードルは低くなっています。両親の禁煙と子どもへの防煙教育は、子どもの健康な一生への何にもまさる贈り物なのです。
【追記・解説】タバコ1箱100円の増税によって、タバコの消費量は減少しても税収や農家の収入は減らず、禁煙する人が増加し新たに喫煙しはじめる未成年が大幅に減少するため、医療費は1兆円以上も減らすことができます。その効果は IMF や世界銀行などによって国際的にも確かめられているのです。なぜ国は国民が健康になり医療費は抑制され税収も減らない、効果が確実な政策をとろうとしないのでしょうか?
○ 11〜12月の休診日、急病診療所、各種教室の予定
次の赤ちゃん教室は11月17日 (土) 。今年度の喘息教室は終了しました。急病診療所の当番はは、10/31 (水)、11/7 (水)、11/13 (火)、11/25 (日) 午後です。
★ 11月12日 (月) にBeFMの「ホームドクターに聞こう」に出演します(再放送あり)。内容は、「嘔吐と下痢」になる予定です。
★ 10/13 (土) 午後は南部道楽千年祭のため休診にさせていただきました。今回が初めての開催でしたが、来年以降も全く同じ形で開催されるわけではなく、市民の自主的な企画により変化していくものですので、ご感想、要望、参加希望などがありましたらお寄せ下さい。
発行 2001年10月24日 通巻第67号
編集・発行責任者 久芳 康朗
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