■ くば小児科クリニック 院内報 2000年10月号


● インフルエンザの予防接種が始まっています

 先月号にも書いたとおり、例年よりも少し早くなりましたが10月第2週より接種を開始しています。昨年よりもワクチンは入手しやすくなるはずですが、希望の方は念のため早めにご予約下さい。流行時期を考えると、できれば年内に2回済ませておくようにしましょう。接種間隔は1〜4週間とされていますが、できるだけ4週間あけるようにした方が効果は期待できます。

 なお、今年から13歳以上の方は1回接種でも構わないことになりましたが、昨年2回接種している方を除いて、原則として2回接種にしたいと思います。

 昨年、ワクチンを接種したのにインフルエンザ脳炎・脳症になったという報道がありましたが、これは臨床診断に基づくもので、インフルエンザ以外の原因を除外できていないようです。

 ワクチンの効果は、感染や発症を阻止するのではなく、かかっても軽症化することができるというものです。その結果として脳炎・脳症に発展することは非常に少なくなると考えられますが、絶対にならないと断言できるわけではありません。


● 学会出席記/「電子カルテ」と「超音波検査」

 報告が遅くなりましたが、8月末に大宮で日本外来小児科学会が開催され、土曜日休診にさせていただいて2年ぶりに参加してきました。2年前には八戸駅から帰るタクシーの中でダイアナ妃の事故を知りましたが、今年は八戸駅の見納めとなりました。

 1日半の日程で、表題のような2つのワークショップに参加してきました。電子カルテについては診療の効率化というよりも、カルテ公開や患者さんとの医療情報の共有という観点から検討していますが、使いやすさ、標準化(どこでも使えるか)、受付・会計業務との連携などの面で、まだしばらく導入はできそうにないというのが現時点の評価でした。それまでは現状の延長線上になりますが、カルテの改善などによって上記のような目的を少しずつ達成していくつもりです。

 腹部超音波検査は以前病院に勤務しているときには使うこともありましたが、軽症の患者さんが多い診療所では使わなくても済むと考え導入を見送っていました。しかし、全国の先進的な小児科医は虫垂炎や腸重積などだけでなく、腎臓の検査などにも超音波を活用していることを知りました。近日中に当院でも検査できるようになりますので、必要な場合にはご協力下さい。小さい子でも痛くないので心配いりません。


● 歩行器を捨てて、公園に行こう

 歩行器の危険性については以前にも書きましたが、つい最近も半月ほどの間に2件の事故の患者さんをみました。一人は玄関のコンクリートに頭から落ちたという典型的なものです。

 歩行器は必要のないものです。あんなのなくてもみんな立ち上がって歩けるようになります。しかも、それがあるがために事故の危険性を増しているという百害あって一利なしの育児用品(害児用品?)で、歩行器自体の販売を中止することができないか方策を探っていきたいと考えています。

 誕生祝いなどでもらうことが多いようですが、もらっても使わない、人にあげない、そして、捨てる勇気が必要です。また、家族や親戚、お友達同士でも、「歩行器は危険」という認識を広げていきましょう。


● 秋から冬のスキンケア 〜保湿ローションとクリーム〜

 ついこの前まであせもやとびひなどの暑い季節の肌のトラブルが多かったのですが、風が冷たくなるにつれ、肌が乾燥してガサガサしたり痒くなったり、湿疹がひどくなる(乾燥性湿疹)ような患者さんが多くなってきています。原則は清潔、保湿といった充分なスキンケアに、必要な外用薬(ステロイドまたは非ステロイド)を症状にあわせて使います。朝夕以外にも、保湿クリームやローションなどを1日数回適宜追加して、なるべく乾燥していない状態を保つようにしましょう。


● ポリオの記事一部訂正

 先月号でもお知らせしたように、10月からポリオの接種が再開になり、厚生省からパンフレットも発行されております(当院でも配布中)。そこにも簡単に記載されていますが、ポリオによる副反応が疑われた福岡の2例のうち、死亡した女児だけでなく、麻痺をおこした男児もポリオの接種とは関係のないことが証明されたということです。


院内版感染症情報 〜2000年第40週(10/1-10/7)


        2000年 第26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40週
手足口病          1  2  4  3  5  4  2  3  3  4  4  4  2  3  3
感染性胃腸炎     11  7  8  0  4  9  6  0  3  5  4  3  4  1  3
ヘルパンギーナ    4  6  3  6  3  3  1  2  3  1  4  0  0  2  2
水痘              0  0  0  1  0  0  1  0  1  0  0  0  0  0  2
突発性発疹        1  3  7  0  1  1  3  3  1  1  1  2  1  2  1
流行性耳下腺炎    1  2  1  1  1  4  2  3  2  1  2  1  0  1  1
溶連菌感染症      1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  2  0  0
ウイルス性発疹症  1  1  0  2  1  2  1  0  1  0  0  0  1  0  0
 9月から10月にかけて、発熱と腹痛・咽頭痛を伴う風邪(その中に溶連菌感染症も含む)が多くなり、咳が出る一般的なタイプの風邪も徐々に増えてきています。年長児は熱と頭痛と腹痛といったパターンで始まる風邪もみられます。手足口病の流行は一部の保育園で続いているようですが、元々が夏かぜですからそろそろ下火になるでしょう。

 寒くなってくると、下痢や嘔吐が主症状のウイルス性胃腸炎が増加する見込みです。吐いたときにはまずは何も飲ませないのが大原則です。詳しくは最初にお渡ししているパンフレットをご覧下さい。


○ 次の赤ちゃん教室は11月11日(土)です

 育児相談・子どもの心相談も随時受け付けております。

★小児の医療費を秋田県と同様に6歳まで自己負担なしにするよう求める運動が行われています。当院でも署名をお願いする予定ですのでご協力の程を。

 一方、大荒れの国会では高齢者1割負担を盛り込んだ大事な法案が与党のみの異常な審議で可決されようとしています。また、この10月から介護保険料の徴収が始まりましたが、まだこれは半額で半年後には正規の料金になります。


発行 2000年10月18日 通巻第55号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
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