■ くば小児科クリニック 院内報 2000年4月号


● 4月です **新学期特集**

○ チャイルドシート装着が義務化

 ニュースでもご存じの通り、この4月からチャイルドシートの装着が義務づけられました。院内報でもこれまで何度かとりあげてきましたが、やっとここまできたかという感じです。チャイルドシートの経済的な負担が伝えられており、確かに使用期間が短い新生児〜乳児用のタイプはコストがかかるのですが、車は歩行者にとっても乗っている人にとっても非常に危険な道具ですから、お子さんがいる限り、お子さんを車に乗せるつもりならば、最初からチャイルドシートの価格も含めて車にかかる費用として考えていただきたいと思います。チャイルドシートのレンタルやリサイクルのことも前に少し触れましたが、八戸でも検討された形跡はあるものの情報が伝わっておりません。しかし、中古の場合には安全性の問題が生じてきますので、積極的に進めるのは難しいかもしれないと最近は考えるようになりました。

 また、同じチャイルドシートでも価格や作りに差があるようで、高い方が良いとは言えませんが、あまり廉価な物に飛びつく前に安全性を一番の判断材料にして選んでいただければと思います。チャイルドシートに関する情報は、http://safekids.ne.jp/ などからも得ることができます。

 なお、パワーベストという背中にシートベルトを通す製品が出ているようですが、これがチャイルドシートに相当する安全性があるという判断材料はなく、小児科医の間でも今のところお勧めしておりません。

 チャイルドシートを装着した状態での死亡事故も伝えられており、装着方法・状況をもう一度ご確認下さい。

○ 医療費改正 〜小児科が割高に?

 医療費は通常2年に1回大きな改定がなされており、今年の春がその時期にあたります。今回は、全体で0.2%増とされていますが、その中で救急医療と小児科に手厚く盛られ、他部門ではマイナスのところもあると伝えられています。これは、特に病院における小児医療が不採算部門となって、大都市では小児科を廃止する病院が相次ぐなどの危機的な状況にあったのに対して、少子化対策もあり特に入院や救急などの部門で小児の医療費の増加が他の部門より高くなったということです。

 外来部門についていえば、例えば3歳未満の方の場合、初診料が自己負担で30円アップしますが、再診料は変わりません。自己負担のない方はこれまで通り窓口は無料です。その他に細かい点での増減はありますが、詳しくは省かせていただきます。なお、老人医療費定率負担(実質的に大幅負担増)を盛り込んだ医療改革法案について私たちは反対運動をしてきましたが、今回「総選挙があるので」先送りになりました。

○ 保育園かぜ

 この4月から保育園に入った子も多いと思います。インフルエンザなどの季節は過ぎたとはいえ、子どもが集まるところでは様々なタイプの風邪が流行します。どうしても最初のうちは熱を出したりして休む機会が増えると思いますが、何か月か経って免疫が段々とついてくると少しずつ減ってくるはずです。それまでは、お母さんもある程度のお休みを見越しておき、熱があるときには最低限丸一日以上熱がないのを確認してから通園させるようにしましょう。

○ 新学期によくみられる症状

 昨年に引き続きBeFM健康相談に出演(5/1)することになりましたが、その時にこの相談を取り上げますので5月号に掲載する予定です。


● おたふくと水ぼうそうの予防接種

 この2つは任意接種で、予防接種法で決められたものではなく、費用も全額自費になりますが、いずれも保育園・幼稚園などで流行が繰り返されており、罹ると5日〜1週間くらい休まなくてはいけません。おたふくかぜは難聴や髄膜炎などの合併症が多いことが知られており、水痘にもごく稀ですが脳炎などの合併症がみられることもあります。他の定期接種が一通り終わったら、集団生活に入る前にこの2つも済ませておくことをお勧めします。


● 赤ちゃん教室(無料)

 今年から新たに赤ちゃん教室を開催することにします。対象は生後0〜2か月の赤ちゃんのご両親や祖父母の方で、赤ちゃんと一緒においで下さい。開催は年4回の予定で、第1回は5月下旬の予定。時間は30分+α。お話の後にご質問・ご相談にも応じます。市で行っているような内容と重複する部分があるかもしれませんが、当院にかかりつけの、あるいはそれを希望される方に、生まれたばかりのころ不安に感じるようなことを中心にして、お伝えしておきたいおおまかな考え方をお話ししたいと思います。なお、個別の育児相談・子どもの心健康相談(無料)も水曜午後または土曜夕方を中心に、引き続き行っております。


● 花粉症は4月上旬がピークでしょう

 通年性ではなくこの季節だけの場合は、短期間に薬を集中的に使ってあげた方が楽に過ごせるでしょう。今年は特に当たり年のようですが、今年症状があった場合は来年以降も症状がでるものと考えてもらった方が良いので、シーズン前から薬を飲み始めるとことをお勧めします。


院内版感染症情報 〜2000年第13週(3/26-4/1)


        1999年 第51 52 01 02 03 04  05 06 07 08 09 10 11 12 13週
感染性胃腸炎     17 11 13 20 32 20  22 16 17 17 18 18 29 12 17
溶連菌感染症      2  2  0  1  5  3   0  0  0  1  3  0  2  3  3
突発性発疹        1  0  3  1  4  1   2  1  1  1  5  0  7  5  1
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0   1  0  1  0  0  0  0  0  1
流行性耳下腺炎    0  1  0  2  1  1   0  4  1  0  0  1  0  0  1
ウイルス性発疹症  1  0  0  1  0  0   0  0  0  0  0  0  0  0  1
インフルエンザ    8  5  8 14 16 51 125 88 36 27 11  5  2  1  0
水痘              1  2  0  2  2  1   1  2  2  2  2  1  2  0  0
 インフルエンザは3月にはほとんどみられなくなり、代わってロタウイルスと思われる胃腸炎が再び増加して4月上旬にも残っています。また、熱が出ないで咳が多くなるタイプの風邪と溶連菌感染症も多めで推移しています。水痘、おたふくかぜも小規模な流行がみられています。


発行 2000年4月17日 通巻第49号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/


前号 次号 院内報トップ くば小児科ホームページ