■ くば小児科クリニック 院内報 2000年1月号
● 院内版感染症情報 〜2000年第01週(1/2-1/8)+小特集
1999年 第38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 01 感染性胃腸炎 4 3 2 4 5 10 11 12 12 3 5 15 16 17 11 13 インフルエンザ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 8 5 8 突発性発疹 2 5 0 1 1 0 1 2 4 1 4 1 1 1 0 3 溶連菌感染症 2 3 0 1 0 2 1 3 2 3 1 5 3 2 2 0 水痘 0 0 0 0 0 1 1 1 2 2 6 0 5 1 2 0 流行性耳下腺炎 0 1 2 0 1 0 3 0 0 1 1 0 0 0 1 0 ヘルパンギーナ 3 2 0 0 0 0 3 0 0 2 0 0 0 1 0 0 ウイルス性発疹症 0 1 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 1 0 0 異型肺炎 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 伝染性紅斑 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 手足口病 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 麻疹 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 012月の下旬よりインフルエンザの患者が増加傾向となりましたが、冬休みに入って一休み、お正月明けから新学期に向けてブレイク直前の状態です。今年は例年のA香港型だけでなく、Aソ連型も各地で検出されているので、流行のパターンが異なってくるかもしれません。
○ インフルエンザ
インフルエンザが流行だすと、「熱が下がらない」という電話が多くなるのですぐわかります。まずは一般的な経過を知ることが重要です。インフルエンザの熱型を診察時にお渡ししていますが、熱は3−4日続いてもそれだけでは異常(あるいは重症)とは言えません。合併症の有無が問題になります。家庭での看護が最も大切です。インフルエンザのA型だけが検出できるキットが当院でも導入されており、陽性の方には抗ウイルス薬を投与することが多いのですが、全員に検査するわけではありません。先月号でお知らせした麻黄湯という漢方薬でも熱が下がるまでの期間に差はなく、こちらをメインで使用しています。いずれの場合も必ず熱型をつけて下さい。
残念ながらワクチンは現在入手できず、追加の入荷もごく少量と思われます。また、この時期からのワクチン接種はあまり積極的にはお勧めしません。
○ ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)
冬場に毎年必ず流行るタイプで、初冬のSRSウイルス、真冬のロタウイルスが主なものです。前者がやや軽症、後者が重症化しやすいのですが、パターンとしては同じで、最初の半日から1日は嘔吐がメインで、その後は下痢しても水分はとれるようになります。悪くなるのは、吐いたときにすぐに飲み物や食べ物を取らせて何回も吐くことを繰り返させる場合で、一晩絶食にして我慢させれば翌日から水分がとれるようになるのに、それができずにかえって悪化させてしまうというパターンです。最低数時間の絶飲食と、再開後の水分少量頻回摂取が最も大切なポイントで、これをしっかり守れば大半の子どもは点滴などしなくても自然に回復していきます。
しかし、毎年口を酸っぱくして繰り返しても、吐いているときに水分や食べ物を取らせる方は後を絶ちません。不思議でなりません。子どもは自分自身をコントロールできませんから、きちんと管理してあげることが親の役目なんです。子どもの要求のままに飲み物や食べ物を与えることは、子どもにやさしくしているようで実は逆なんだということを繰り返しておきたいと思います。
なお、先月号で紹介した五苓散という漢方薬の坐薬が入手できるようになったので、当面受診時に嘔気が残っている場合に使用して効果を確かめたいと思います。
○ 急性気管支炎・細気管支炎
冬場に流行るのはRSウイルスが代表的で、乳児では悪化することがあります。クループ症候群(仮性クループ)といって、犬が吠えるような咳が夜間に発作的に出るようになるのもこの季節に多く、寝室の加湿でかなり楽になります。インフルエンザでは熱が下がった頃が咳が一番多いようですが、痰が切れてくると治ってくる過程に入ります。
● 謹賀新年:2000年、カルテ開示に向けて
あけましておめでとうございます。とうとう2000年になりました。当院も春で開院4周年となります。今後ともよろしくお願いいたします。このところ院内報の発行が遅れ気味で失礼しております。
さて、この1月から医師会では全ての医療機関でカルテ開示を行うことになりました。当院では開院以来「情報の共有」を意識し続けてきましたが、カルテは以前から要求があればお見せすることはさしつかえなく、特に何かを変更するわけではありません。ただし、以前にも書いたように走り書きのミミズ字なので、カルテ自体を公開するよりも、毎回の薬の名前や、その時の状態、次に受診するまでの注意などの情報を患者さんと「共有する」ことの方が大切だと思っています。
こちらがそのつもりで話しても、次の時に薬の飲み方を間違っていたりすることがたまにあります。そういう意味では、もうすこし書かれた情報としてお渡しできればと思いますが、良い解決策があれば検討したいと思います。次の宿題にします。
昨年、医師会がカルテ公開の「法制化」に反対していると批判されたことがありましたが、法律で縛ることの是非はともかく、現在でも裁判などでは法的な手段として公開はされています。ただし、この法制化の議論の中で出てきたのは、医療不信とその対抗手段としての法律が必要といった観点で、私たちが考えているカルテ(医療情報)を共有することによってより良い医療、より良い関係を共につくっていくという目標とは観点が180度異なるように思われました。
○ 育児相談・子どもの心相談(無料):水曜午後,土曜夕方
発行 2000年1月12日 通巻第46号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/
前号 | 次号 | 院内報トップ | くば小児科ホームページ |