■ くば小児科クリニック 院内報 1999年7月号


★ 星に願いを:子どもたちの書いた,七夕の願いごと

・はやく、びょうきをなおしたいです。
・ぜんそくが治って、元気になれるように。
 # 本当にそうですね.でも,みんな少しずつ良くなってきてますよ.
・夏にプールで12メートルおよぎたい。
・てつぼうで さかあがりができるようになりたい
 # こちらは,この夏の目標タイプ.きっと夏休みがおわる頃には夢がかなっていることでしょう.
・おおきくなったらさっかーのせんしゅになれますように
・おおきくなったら ばれりいなになりたい。
・わたしはセーラムーンになりたいです
 # 子どもの願いごとと言えば,やっぱり将来の夢ですね.
・ともだちがもっといっぱいほしい。
・おにんぎょうをふやしてください # これは当院への要望でしょうか ...
・おかねがほしい 500円
・おねえちゃんにいじめられないようにして下さい
・おとうさんとおじいちゃんたちがちゅうはいをいっぱいのんでよっぱらわないように。
 # いろんな願いごとがありますね.お金もお友達も,もっと欲しい.家族はみな仲良く(ときにはきょうだいげんかもあるさ),飲み過ぎに注意して健康に.子ども達の願いごとに私たちも素直に目を向けてみたいものです.

☆ 子どもたちに夢を

 さて,七夕の願いごとを一部引用させていただきました.ある話によると,今の中学生に夢をきくと半分くらいは「知らない」「わからない」といった答えが返ってくるということです.子どもたちは大人の目,大人の評価を通して早い時期に夢を捨ててしまっています.大人と子どもの決定的な違いは将来の豊かな可能性であり,夢を持ち続けることが心の成長に不可欠です.親は「おまえにはそれは無理だ」と夢をつぶすのではなく,ふくらませてあげることが大切だという話でした.

☆ Q&A こころの子育て[誕生から思春期までの48章](河合隼雄,朝日新聞社)

 この本はQ&A形式になっていますが,実際には1つ読んで答えを見つけてすぐに役立てるといった内容にはなっていません.全体を読み通して,結局,子育ては難しい,答えは1つではない,問題があっても構わないんだということが素直に理解できます.とにかく悩む前に読んでみて下さい.どなたにもお勧めの一冊です.

 印象に残ったフレーズ.「今の子育てで気になることといったら何でしょうか」「親としてのカンを磨くのをサボりすぎていることです」.

 また,オウム信者のインタビューをまとめた「約束された場所で」(村上春樹)における対談も,この事件に対する世間の目とは明らかに違う視点でオウム信者のこころ(それは私たち自身の目を背けることのできない一部)を照らし出しています.


● インフォメーション

○ 小学生のBCGに関する報道について

 先日,小学1・2年生のBCGが中止になるという報道がありましたが,そのための条件として,乳幼児期のBCG接種率の向上と早期化,接種漏れへの対策,そして接種技術の向上と評価などがあげられており,来年度からすぐに中止になるわけではありません.BCGは乳幼児の重症の結核発症防止効果は高く,なるべく早期の接種が勧められています.また,小学校における接種については,初回接種の効果減弱を補強するという意味での有効性が必ずしも証明されていないことや,初回接種の洩れ等の対策と考えた場合に期間が開きすぎていることなどの問題が指摘されており,上記のような条件が整備されれば廃止されるのだと解釈しています.なお,「中学生の時期における再接種は,BCG接種の効果の持続期間,感染発病の好発年齢等の観点から,当分の間,現行どおり継続することが適当である」と書かれており,これは継続されます.

○ 休診日:7月10日(土) 先月に続き御迷惑をお掛けします.

○ ぜんそく教室 を今年も新しい患者さんを対象に開催する予定です.日程が決まりましたら,院内に掲示し,対象の方には連絡させていただきます.7月はもう遅いので,8〜9月になると思います.


院内版感染症情報 〜1999年第26週(6/27-7/3)


        1999年 第11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
感染性胃腸炎     13 13 10 14 21 17 19  5 16 15 14 10  9  5  9  5
水痘              2  3  3  5  4  2  2  5  6  3 13  2 12  6  6  6
溶連菌感染症      3  0  1  0  0  2  1  1  2  2  1  4  0  5  4  4
伝染性紅斑        2  6  2  3  4  0  4  0  2  2  2  1  2  3  2  1
ウイルス性発疹症  1  1  1  0  1  1  1  0  0  2  2  1  0  1  2  1
突発性発疹        2  1  1  0  8  0  1  1  4  1  4  1  1  0  1  1
手足口病          0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  1  0  0  0  0  1
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  2  0  0  1  0  0  1  1  1
流行性耳下腺炎    0  1  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  1  3  0  1
麻疹        2  2  2  0  0  0  0  0  1  1  1  0  0  1  0  0
MCLS          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0  0
インフルエンザ   36 11  7  2  2  3  2  3  0  0  0  0  0  0  0  0
乳児嘔吐下痢症    3  0  0  2  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
 6月は5月末から続いた比較的強いかぜ症状を示すウイルス感染症の流行が続きましたが,後半は一般的な夏かぜ(熱とノドとおなか)がメインになってきました.水痘(みずぼうそう)と溶連菌感染症が後半にかけてかなりの流行となりましたが,例年この時期に目立つ手足口病とヘルパンギーナは今年はちらほらといった程度です.昨年台湾で問題になった手足口病の重症例は,今年も国内では報告されていません.

 広報に注意が載った麻疹(はしか)は,以前からお伝えしたとおり当院でも数週間に一人の割合で来院しており,引き続き注意が必要です.


発行 1999年7月8日 通巻第40号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
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