■ くば小児科クリニック 院内報 1999年4月号
● 院内版感染症情報 〜1999年第13週(3/28-4/3)
第48 49 50 51 52 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 感染性胃腸炎 8 15 18 9 7 13 11 14 13 15 14 21 21 20 10 13 13 10 インフルエンザ 0 0 0 0 0 0 22 37 41 52 28 15 12 20 18 36 11 7 水痘 2 4 1 5 5 7 6 5 4 2 2 4 1 4 2 2 3 3 伝染性紅斑 0 3 4 1 3 5 4 5 7 4 1 5 8 7 6 2 6 2 麻疹 0 0 0 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 2 2 2 2 突発性発疹 4 5 4 2 1 1 1 2 1 1 3 3 5 7 1 2 1 1 ウイルス性発疹症 0 0 0 4 0 1 0 1 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 溶連菌感染症 4 1 2 1 0 0 1 1 2 0 1 2 0 2 0 3 0 1 流行性耳下腺炎 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 1 0 乳児嘔吐下痢症 1 0 0 0 0 2 0 2 2 2 1 2 0 0 0 3 0 0 異型肺炎 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 手足口病 2 0 0 1 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ヘルパンギーナ 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 MCLS 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 02月には一旦下火になったインフルエンザが,3月には小学生を中心として2回目のピークをつくりました.1月の流行の時にかかった大人がまたかかったり,その時に流行しなかった学童が今回は中心になっていることから,インフルエンザでも別のタイプなのでないかと推測されますが,県内の情報が伝わってませんので確定的なことは言えません.しかし,春休みを挟んでほぼ終息に向かうものと予想されます.
● お腹が痛くて起きられない...
いよいよ4月.保育園・幼稚園・小学校に新しく入られるお子さんも多いと思います.新しく保育園に入る小さな子の場合は,当分の間は風邪をひいたり熱を出したり繰り返して休みがちになることが多いのですが,段々と免疫ができてきて数ヶ月から半年もするとその頻度も減ってくるはずです.ゆっくりみていきましょう.
この時期に限ったことではありませんが,主に4〜6歳くらいの子で,朝お腹が痛くてご飯が食べられなかったり保育園・幼稚園を休んだりするのを繰り返す子がいます.
こういった子の多くは,調べてみても特に病気があるわけでもなく,「反復性臍疝痛(さいせんつう)」あるいは最近はただ「反復性腹痛」というように表現される状態と判断されます.
お腹の痛みは時として強くなることはありますが,時間はあまり長くなく,おさまると何事もなかったように元気になり,腹痛を繰り返すわりには食欲も比較的あり,体重も保たれています.痛みは朝に多く,眠っていて痛くなることはありません.軽度の下痢や便秘を伴っていることもあり,ウンチが出れば痛みはおさまります.
どちらかというと少しやせていて食が細く神経質なタイプで顔色のあまりすぐれない子どもに起こりやすいようです.
実をいうと,私も子どもの頃はよくお腹が痛くなり,近所のお医者さんに診てもらったところ「へそせん」だと言われたことがありました.子ども心にもヘソに栓ができたのかヘンテコな病気だと思った記憶がありますが,今考えるとその先生はわかりやすいように「へそ疝痛」と言ったのだろうと思います.どうやらうちの子も同じようにお腹が痛くなりやすいようで,腹痛で受診する子たちもひと事とは思えません.
よく「保育園に行くのがイヤで痛いと言っている」とおっしゃいますが,本人は別に行きたくないわけではなく,痛み自体は本当にあるものですから,ただ無理矢理行かせようとするだけでなく,まず言っていることを受け入れてあげることが大切です.
意識していないような軽度のストレス(行事など)が一つの原因になっていることはあります.でも,いじめなど明らかなものでなければ,原因を追及するというよりも,本人の話をよく聞いてあげて軽いストレスならば親がクッションになってあげることで落ち着きます.ここで逆に親がストレスを増幅させる役割を果たしてしまうと,その行き場がなくなってしまいますね.このへん,言うは易く行うは難しですが.
薬を使うことが第一の治療ではありませんが,こういった子には後述の漢方薬が良い適応で,比較的効いてくれることが多いようです.
● 子どもに漢方薬をどうやって飲ませるか
最近少しずつ漢方薬を出すことが多くなってきています.薬そのものについては別の機会にお話ししたいと思いますが,どんな薬でも飲んでくれないと話は始まりません(先月号の続きですね).中国では薬といえば赤ちゃんの時から漢方薬なので,さほど苦労せずに飲んでくれるという話ですが,普段甘くコーティングされた薬に慣れた日本の子どもたちに漢方薬を飲ませるには,ちょっとした工夫が必要なようです.
漢方薬のエキス剤は煎じた薬をフリーズドライしたものですので,熱いお湯に溶いて飲むのが基本です.子どもの場合,少しさました方が飲みやすいようです./苦くて飲みにくい薬はそれほど多いわけではありませんが,漢方の風味が口に合わないというお子さまの場合は,砂糖や黒砂糖,蜂蜜(1歳以上)などで甘くしても構いません./吐き気がある場合は,冷服といって熱いお湯に溶いて氷片を入れて飲むと良いようです./その他,普通の薬のようにそのまま口に入れて水やぬるま湯で飲んでも良いし,少量のお湯や蜂蜜などでペースト状にしたものをスプーンで頬の内側につける方法をとる場合もあります./お茶で服用してはいけません./ミルクに溶かすとミルク嫌いになる可能性もありお勧めしません./漢方薬の服用は食間が基本とされていますが,時間がとれない場合は食前でも食後でも構いません./小建中湯は子ども向きに水飴粉末が入り甘くて美味しいのでそのまま溶かしてお飲み下さい.
小児の漢方治療で有名なある先生も,一番大切なのはお母さんの熱意と本人を納得させる努力だと話していました.よろしくお願いします.
● インフォメーション
○ お陰様で今月で開院3周年を迎えることができました.まだまだできていないことも多いのですが,少しずつ工夫を加えながら,このまま5年10年と年月を重ね子どもたちを見続けていきたいと思っています.今後ともどうぞよろしくお願いします.
発行 1999年4月4日 通巻第37号
編集・発行責任者 久芳 康朗
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