■ くば小児科クリニック 院内報 1998年12月号


 インフルエンザの予防接種を実施中です.希望者はお早めに!
 (インフルエンザに関する記事は来月号に掲載する予定です)

● おたふくと水ぼうそうの予防接種

 定期接種(三種混合・BCG・ポリオ・麻疹・風疹)は早い人だと1歳半過ぎには終了します.その次にはこの2つのワクチンを考えてみましょう.法律で決まった予防接種ではありませんが,どちらも小さい子に接種して防げる病気です.

○ 水痘(みずぼうそう)

 水痘は保育園などで常に流行が繰り返されており,予防接種しないと殆どの子供が感染します.まれに大人になってからかかると重症化します.水痘は合併症は少ないのですが,ワクチンの安全性が高いのでお勧めできます.ただし,本来は病気で免疫が落ちている子供向けに作られたものですから,効果よりも安全性を高めてあり,有効率は80%程度とやや低めです.しかし,かかった場合でも非常に軽くすむのが普通です.自然に感染した場合の経済的あるいは肉体的な負担を考えると,集団生活に入る前に済ませておきたいワクチンと言えます.

○ おたふくかぜ

 昨年から今年にかけて流行が続いていました.現在やや下火ですが,ときどき患者さんは受診されています.おたふくかぜの合併症としては,難聴と無菌性髄膜炎があげられます.特に難聴は,両側性で治療方法がなく,不顕性感染でも発症することがあります.以前MMRワクチンによる無菌性髄膜炎が問題になりましたが,現在の単独ワクチンでは1/1000以下で,自然感染(10%以上)に比べれば低い数字と言えます.おたふくかぜも,大きくなってからかかると重症化します.


● 商品券を持って小児科へ?

 「世紀の愚策」とか「子どもだまし」とか言われて評判はさんざんですが,子どもだましと言っては子どもに失礼かもしれません(笑).小児科に通っているご家庭には支給されるからラッキーと思われるかもしれませんが,これは赤字国債という国の借金でまかなわれていて,将来は子どもたちにつけを回しているということも頭の片隅に置いておいて下さいね.

 と,ここまででは何のお知らせにもならないのですが,ちょっと意外な展開で医療費の支払いにも使えることになりそうです(実は日本医師会でも要望したらしい).詳しく決まったらまた報道されると思いますが,期限は6か月,全ての医療機関で使えることになりそうです.ただし,まだ細かいことが全然伝わっておらず,階上に住んでいる方が当院で使えるのかどうかも不明です.県外の方は無理のようです.

 まあ,仕方ない,政治の取引材料としてつくられた政策ですから矛盾はいくらでも出てきます.ちなみに,980円の支払いに1000円券を出されてもおつりは出せません.事務的にも処理が面倒なのですが,少しでも皆さんがかかりやすくなるのなら良しとしなければいけないのでしょう(か).


● インフォメーション

○ 5日(土)は臨時休診.年末年始の予定は裏をみて下さい.

○ インフルエンザの予防接種 を11月から実施しています(希望者のみ).流行前に1〜4週の間隔で2回接種しておく必要があります. もし接種するなら1回目は12月の早い時期にすませたいところです。

○ ドナーカードを窓口に置きます   臓器移植法が成立して1年が経過しても国内では脳死移植が1例も行われていないというニュースをご覧になったかと思います.人の死を二種類つくってしまった問題のある臓器移植法ですが,その判断はみなさん自身が行っていただけば良いと思います.  ドナーカードを窓口に置くことにしましたので,ご自由にお持ち帰り下さい.必要な人数分持っていただいて結構です.当院では特にどうしろとお勧めするわけではありませんが,死というものについてこのカードを題材にして家族で話し合ってみてはいかがでしょうか.


院内版感染症情報 〜1998年第47週(11/22-11/28)


        1998年 第31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47週
感染性胃腸炎      2  3  9  8 11  2  1  3  7  8 10 11  9  5 10 10  6
水痘              0  1  0  0  1  0  0  0  0  0  0  2  0  0  0  2  5
突発性発疹        1  3  7  3  4  6  5  1  1  2  0  1  2  2  2  2  3
異型肺炎          0  0  0  0  0  0  0  2  0  0  0  0  0  0  0  1  1
ウイルス性発疹症  4  1  4  3  2  2  3  1  4  2  3  3  2  1  2  0  1
手足口病         18 10  5  4  5  8  1  1  3  0  2  1  0  0  2  0  1
伝染性紅斑        1  2  0  0  0  1  0  0  1  1  0  0  0  0  0  0  1
溶連菌感染症      0  0  0  0  0  1  1  0  1  1  0  0  0  0  0  4  0
流行性耳下腺炎    0  0  0  2  0  0  0  0  0  1  0  1  0  2  0  2  0
ヘルパンギーナ    1  1  3  1  2  3  2  1  2  0  0  0  0  0  0  1  0
麻疹        0  0  0  0  0  4  2  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  0  0  0  0  2  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
乳児嘔吐下痢症    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
 11月は咳がひどくなるタイプの風邪がかなりの流行となりました.その中にはマイコプラズマという感染症(表では異型肺炎に分類されている)もある程度含まれているようですが,実際には検査しないで治っている方はもっと多いものと思われます.寒くなってくると流行りだすウイルス性の胃腸炎も増加傾向ですが,今年はまだあまり目立ちません.

 水痘は保育園で,溶連菌感染症はそれよりも少し大きい子の間で流行だしました.例年この時期から年末にかけて多くなります.  感染症ではありませんが,乾燥肌(小児乾燥性湿疹/アトピー性皮膚炎)の子が悪化する季節でもあります.悪くなる前に十分なスキンケアを心がけましょう.軽度の場合は市販のスキンケア用のローションなどでまず様子をみて,お部屋の加湿も有効です.

○ ぜんそく教室の3回目 が延び延びになっていましたが,何とかして19日に開催したいと思います(...大丈夫かな).

○ 待合室の新しい本 「美女と野獣・青い鳥」「西遊記」


発行 1998年12月2日 通巻第33号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/


前号 次号 院内報トップ くば小児科ホームページ