■ くば小児科クリニック 院内報 1998年8月号


● 予防接種情報 〜風疹の予防接種を忘れていませんか〜

 1)3年前に予防接種法が改正されて以来,中学生の風疹予防接種が医療機関での個別接種になり,全国的に接種率が30%前後と大変低くなっています.八戸では昨年は13.7%という極端に低い接種率で,10年後の先天性風疹症候群の多発が危惧されていますが,現在有効な手だてが打てていません.兄弟姉妹に中学生の子がいて未だ済ませていなければ,忘れないうちに接種するようにしましょう.通常の時間以外でも,土曜日など都合の良いときにに接種できます.また,小学校1年生の風疹接種は7歳半を過ぎると受けられなくなりますのでご注意下さい.

 2)BCG接種が早めに終わった子は,10月のポリオの前に8〜9月にかけて三種混合を1〜2回接種することができると思います.この季節は集団接種を優先してもらっているので,院内の予防接種は人数・時間に余裕があります.水痘やおたふくかぜなどの任意接種を希望される方もこの機会に進めていただくと良いでしょう(11月以降はまた混むことが予想されます).

 3)小学校6年生の二種混合は,9〜11月の3か月間です(2)3)はいずれも八戸市の場合).

 4)青森県では日本脳炎の予防接種を行っておらず,希望者には任意接種(有料)として接種しております.これは未確定の情報ですが1〜2年後には青森でも他県と同じように定期接種で行えるようになる可能性が出てきました.決まりましたら情報は流すようにしますので,ちょっと覚えておいて下さい.他県から引っ越してきたり転勤で他県へ行く可能性のある方は,それを待たずに接種しておいた方が良いかもしれませんのでご相談下さい.

 5)インフルエンザの予防接種は11月からの予定です.昨年,一昨年と小児の死亡例のニュースが目立ちました.直前にまたお知らせしたいと思います.


● 夏休みから2学期にかけて

 東北の短い夏も今が盛りで,お祭り,お盆,旅行やキャンプなどの楽しい思い出と共にあっという間に過ぎ去ってしまいます.人が集まる機会も多く,生活のリズムが乱れがちで,そのまま二学期に突入して9月になると頭が痛いとかお腹が痛いといった不定愁訴で学校を休んで受診する方が例年みられます.でも,逆に夏休みは規則正しい生活をして普段できないようなことを達成する良い機会でもあります.肥満の子は食事習慣を改善して定期的に運動をして,短い期間での小さな目標を達成するようにしてみましょう.水泳はバランスのとれた全身運動で,喘息・肥満・起立性調節障害・風邪をひきやすい子など,みんなにお勧めできます.お風呂上がりの冷水浴は自律神経を刺激して身体を鍛える効果があります。家族も一緒にこの夏から始めて続けてみませんか.シベリアの子ども達は風邪をひかないように真冬でも外で冷水浴をしているということですよ.


● 暑い季節のスキンケア

 八戸もここ数年暑い夏が続きました.今年はこの原稿を書いている時点でまだ梅雨が明けておらず,はっきりしない天気のまま夏が過ぎていってしまうのかもしれませんが,蒸し暑い日には特に小さい子は汗っかきですから,1日に何回かシャワーをして洗い流してあげましょう.虫さされを掻きつぶして細菌感染(とびひ)を併発してしまった子も何人か来院しています.虫さされが悪くなりやすい子は,早めに,こまめに薬を使ってあげるようにしましょう.アトピーの子などは,プールから帰ったら早めに石けんで洗い流して塩素を落とすようにしましょう.暑くて寝つけないとアトピーの痒みも強くなります.寝つくときには除湿や軽い冷房を使っても構いません.


● インフォメーション

○ ぜんそく教室  遅くなりましたが,22日(土)に第1回を開催します.例年同じ内容を2回ずつ開催していたのですが,今年は少なめと予想されますので予定は1回ずつにして,もし定員オーバーの場合や都合が悪い人が多い場合は別の日も考慮するつもりです.第2回は9月の予定.

院内版感染症情報 〜1998年第30週(7/26-8/1)


        1998年 第13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30週
手足口病          0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  0  4  4 11 20 28 25 17
感染性胃腸炎      2  9 14  5  8  6  4 15  9  9 31 18 12  7  2  6  2  4
突発性発疹        1  4  4  1  1  1  3  3  1  3  4  2  0  0  1  3  2  3
流行性耳下腺炎    5  3  2  1  2  3  2  1  0  0  2  1  3  1  0  1  0  2
水痘              0  2  0  1  0  1  0  0  1  2  2  4  2  2  3  2  1  2
溶連菌感染症      1  0  0  5  0  1  3  3  6  6  5  1  4  4  0  2  1  1
ウイルス性発疹症  0  0  3  0  2  0  1  0  1  2  2  1  1  1  4  1  1  1
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  1  0  1  0  0  1  4  1  9  7  5  3  4  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  2  1  0  0  0  0
異型肺炎          0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0
乳児嘔吐下痢症    1  3  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0

 6月末から手足口病が保育園児を中心にかなり流行していましたが,7月の最終週にはピークを越えてきたようです.先月号でお知らせしたような重症例は国内では報告されておらず,このまま下火になっていってくれれば一安心です.7月に入ってから咳がひどくなるタイプの夏かぜも多くなりましたが,ほとんどの子は1週間程度の経過で良くなってくれています.ヘルパンギーナの流行はほぼ終了.その他には水痘・溶連菌・おたふくが散見されますが特に目立つほどではありません.伝染性紅斑(リンゴ病)も保育園でボチボチ.8月は風邪の流行も喘息の発作も例年あまり多くありません.

○ 待合室の新しい本 「幸福の王子・わがままな大男」

○ 8月の休診予定(裏面の予定表もご覧下さい)

 今月は休診日が多いのでご注意下さい.お盆休みが14日(金)と15日(土).これは他の医療機関より短いはずだと思いますのでご了承下さい.28日(金)午後と29日(土)は学会で福岡に行ってきます.休みの日には市内の小児科医が交代で根城の急病診療所に出ていますので,連絡がつかない場合や直接診られない場合はそちらをご利用下さい.


発行 1998年8月5日 通巻第29号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
webmaster@kuba.gr.jp
http://www.kuba.gr.jp/


前号 次号 院内報トップ くば小児科ホームページ