学校・幼稚園・保育園に新しく入学・入園される方も多いと思います.進級される方も,新しい学年で気持ちを新たにしていることでしょう.お子さんもお母さんもしばらくは緊張した日々が続くかと思いますが,生活と身体のサイクルを少しずつ慣らしていく時期ですので,あまり気張らずに肩の力を抜いて乗り切っていきましょう.
はじめて保育園に入園した小さなお子さんは,最初の何か月間は風邪をもらったりあげたりして,お母さんもお子さんも休んでばかりということになりがちです.免疫や体力がついてくるまでは仕方がない面もありますので,ある程度それを見越しておいてもらえると良いかと思います.
この4月からまた医療費が改定になりました.報道ではわずかにアップしたように伝えられていますが,薬価の引き下げなどもあり実質的にはマイナスになっています.また,昨年9月以来自己負担のある方(特にサラリーマンなどの保険者本人)の窓口負担額が増えており,不況も相まってかなりの「受診抑制」がおきているようです.医療保険の「抜本改革」は2000に向けてこれからが本番で,この先の私たちの医療のあり方が決まってくる大事なときですから,随時お知らせしていきたいと思います.
今検討されている方向は,医療費全体の抑制と患者自己負担の更なる増加などで,医療そのもののあり方よりも経済的な観点が優先される傾向にあります.その中で,これだけは問題だというポイントについては署名運動などをお願いすることもあるかと思いますのでよろしくお願いします.ちょうど抜本改革案の今国会への提出が見送られたというニュースが流れてきましたが,国民的な合意がないまま新しい制度が知らないうちに決められてしまうことのないように,これからも注目していきましょう.
ピークフローメーターという簡単な呼吸機能をチェックする道具を,主に5歳以上の慢性で通っている喘息の患者さんにお勧めしているということを以前ここに書いたことがありましたが,今回の改訂に伴い毎月の診療費の中から保険で支払われることになり(もちろん自己負担はありますが),これまでのように最初に自分で買ってもらう必要はなくなりました.ピークフローを測ることにより,喘息のコントロールの状態を客観的な数値で知ることができ,それを治療や毎日の生活に反映することができるようになります.これを機会に,適応のある方にはなるべくピークフローのモニタリングをやってもらうようにしていきたいと思います.なお,これまで自費で購入していただいた方は,これまでどおりで新たな窓口負担は生じませんのでご心配なく.
○ 院内版感染症情報 〜1998年第13週(3/29-4/4)
第50 51 52 53 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13週 流行性耳下腺炎 6 7 5 7 11 0 3 4 2 2 1 2 5 6 3 2 5 感染性胃腸炎 20 13 23 3 18 14 13 16 15 7 12 13 10 11 15 6 2 溶連菌感染症 3 7 3 0 0 0 2 0 2 0 0 0 2 3 3 3 1 乳児嘔吐下痢症 2 1 1 1 4 1 0 2 7 3 1 1 3 6 2 3 1 突発性発疹 6 4 5 2 3 3 2 3 1 3 3 2 1 1 1 0 1 水痘 3 3 6 2 4 5 4 4 5 8 6 12 3 2 1 4 0 ウイルス性発疹症 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 2 1 1 0 インフルエンザ 0 0 0 0 0 0 5 42 146 131 53 20 0 0 0 0 0 手足口病 1 2 2 0 0 1 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 異型肺炎 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
2月に流行したインフルエンザはすっかり終息し,現在は2月下旬から続いている咳がひどくなりやすいタイプの風邪が流行中です.冬場ずっと続いていたウイルス性の胃腸炎もこの暖かさでほぼ下火になり,かわりに(感染症ではありませんが)喘息発作が増加中.おたふくかぜと溶連菌感染症もまだ少しずつ継続中といったところです.
○ 八戸のスギ花粉飛散情報 は下記のページに掲載されております.
http://www.kissei.co.jp/kafun/tohoku.htm#aomori
○ 環境ホルモンの話(続き)
先月の続きですが,環境ホルモンの影響により若い男性の精子数がかなり減っているという報道や,ゴミ焼却場に近い乳牛のミルクからダイオキシンが検出されたという話も聞きます.いずれも早急な対策が必要ですが,もう一つ,胎児期にさらされた化学物質の影響によって,生まれたときに奇形などの影響がなくても,成長してから情緒不安定になったりストレスに弱くなったりするということが知られており,最近の少年の凶悪犯罪の増加に結びつけて考える説もあります.もちろんそれだけではなく,家庭での小さな時からのしつけや学校の抱えている問題なども複合的に加味されているとは思いますが,私たちの世代が育ってきた昭和30〜50年代というと,どんなものを食べてどんな化学物質を摂取してきたかわからないだけに,こどもたちへの影響を問われると得体の知れない不安を感じざるを得ません.
アトピーの子などには昔ながらの和食中心で農薬や添加物の少ない食生活をとお勧めしていましたが,これは何もアトピーやアレルギーの方だけでなく,全ての方にあてはまることと考えた方がよさそうです.その上で,食物や環境の問題には常に気を配っていることが必要な時代になってきました.
○ 待合室の新しい本
「十五少年漂流記」「どんぐりの家」
○ 5月31日「世界禁煙デー」青森禁煙講演会(青森県教育会館)
スペースがなくなったので,来月号に家庭での禁煙の話を掲載する予定です.
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