■ くば小児科クリニック 院内報 1997年12月号


● 「新型インフルエンザ」の対策

 先月号に引き続いてインフルエンザの話ですが,近い将来おこると予想されている新型インフルエンザの大流行に対して,厚生省の対策の基本方針(新型インフルエンザ対策検討会報告書)がだされたので少し解説しておきます.インフルエンザウイルスは毎年小さな変異をおこしながら流行をくり返していますが,スペインかぜや香港かぜのようなA型インフルエンザウイルスの大きな変異(非連続変異)によって,早ければここ数年以内に,全ての人が免疫を持たない新型ウイルスが出現して大流行を引き起こすことが予想されています.

 大流行の場合,国民の25%(3200万人)が罹患して,最低でも3〜4万人の超過死亡が見込まれています.また,医療機関やその他の社会経済機能の低下が見込まれるなど,大地震対策などと同じような準備と対策が求められています.

 具体的には,全国のインフルエンザ感染状況や新型ウイルスの出現に対する調査体制の確立,ワクチン供給体制の確立,ワクチン接種優先集団の設定などが提言されています.

 この「新型ウイルス」について一部マスコミでややセンセーショナルに書き立てられていたようですが,ある日突然大流行が始まるわけではないので必要以上におそれることはありません.新型ウイルスの出現が予測される中国南部には既に国際的な観測態勢がひかれているようです.

 また,ワクチンを「最大の防御手段」として位置づけていますが,現在の供給体制の延長線上では流行が始まってから全ての国民にワクチンを行き渡らせることはとうてい不可能なので,優先順位を設定してワクチンを接種することが提言されています.65歳以上の高齢者などがAランクで最優先となっており,こどもに関係するところでは喘息や心疾患などの慢性疾患の患者がA,乳児の母親がB,医療関係者はBまたはC,幼児・学童はDランクに位置づけられています.

予防接種のページ


薬の飲ませ方,追加編

  混ぜてもよいもの 飲みにくくなるもの
クラリスDS 牛乳
アイスクリーム
オレンジジュース
スポーツドリンク
ヨーグルト
メイアクト アイスクリーム
ヨーグルト,水
麦茶
スポーツドリンク
フロモックス 牛乳,ヨーグルト,水
アイスクリーム
ピーチジュース
オレンジジュース
パインジュース

 いずれの薬も,ごく少量の水をたらしてドロドロの状態で口に入れて,口の中に残さないように水で飲み込ませるのが基本です.それで上手く行かない場合には,上の表を参考にして下さい.これらの薬は少しずつタイプは違いますが効果は良い方の部類に入ります.9割方の子は問題なく飲んでくれますが,中に嫌がって飲めない子もいるようです.冬場のかぜは気管支炎などを合併しやすいので,いろいろ工夫して何とか飲ませるようにしましょう.


● インフォメーション

○ おたふくかぜの後の難聴に注意

 10月後半からおたふくかぜの流行がピークを迎えていますが,おたふくかぜの場合明らかに罹った子だけでなく不顕性感染の子の中にも難聴の合併症を残すことがあります.その場合,片側だけのことが多いので気づかれにくいのですが,聞くときにどちらかの耳を前に出していないかなど,聞こえ方に異常がないかどうかちょっと観察してみましょう.

○ インフルエンザの予防接種を実施中

 11月からインフルエンザの予防接種を実施しています.ご希望の方はまだ間に合いますのでお申し込み下さい.1月に入ると余分の在庫は置かない予定ですので,なるべく1回目は12月中に済ませるようにしましょう.

○ 待合室の新しい本

 「子どものぜんそく・アトピー解説読本」
 「ガリバー旅行記」

院内版感染症情報:第30週(7/20-7/26)〜第48週(11/23-11/29)


        1997年 第30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48
感染性胃腸炎      3  2 11  5  4  6  2  5  3  6  5  2  7  7  5  6  6  7 11
流行性耳下腺炎    1  2  6  2  2  2  1  1  2  3  2  6  3  7 10  7 13  8 10
溶連菌感染症      0  3  3  0  0  0  0  0  1  1  0  0  1  0  3  0  1  2  4
水痘              0  0  0  0  0  1  1  0  2  0  2  1  4  1  2  2  2  1  4
乳児嘔吐下痢症                                           2  1  1  1  2  1
ウイルス性発疹症  1  1  1  0  2  1  1  1  0  1  0  2  3  2  0  1  1  2  0
突発性発疹        0  3  3  2  4  4  6  1  2  0  5  3  0  1  2  1  4  1  0
異型肺炎          0  0  0  0  0  0  1  2  0  0  0  0  1  0  1  1  0  0  0
手足口病          3  3  4  1  4  0  2  0  0  0  0  0  2  1  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    5  6  4  0  1  2  1  0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱        0  2  0  0  0  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
麻疹(様疾患)    0  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0

 先月からの動きでは,おたふくかぜの流行がおさまらず更に増加傾向となり,11月末にかけて水痘と溶連菌感染症も増加傾向にあります.ウイルス性胃腸炎の今のはやりのタイプは嘔吐はさほどひどくならないことが多いので,病初期はとにかく絶食で水分補給も控えめにしていれば何とかしのげるようです.11月末から喉頭炎で犬が吠えるような咳をするタイプも少しみられます.お部屋の加湿を心がけて下さい.おたふくかぜのワクチンの供給状態が悪く待ってもらっている状況です.もうしばらくお待ち下さい.今のところインフルエンザの流行の情報は入ってきておりません.

○ 年末年始の予定

 12/29(月) 午前診療
 12/30〜1/2  休診
 1/3(土)  午前診療
 1/5(月)〜 通常どおり
 休み中に喘息の薬,熱さましやけいれん予防の坐薬などの薬が切れないようにご注意下さい(12/30〜1/1は出掛けてますので).


発行 1997年12月1日 通巻第21号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
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