■ くば小児科クリニック 院内報 1997年7月号


● クーファンの事故ふたたび

 ときどきお家の中の事故で電話がかかってくることがありますが,一番多いのがタバコ誤飲,その他ちょっとしたものを飲み込んだとか,落っこちたとか...以前にも院内報でとりあげたことがありますがなかなか減りません.「いつも気をつけていたのだけどちょっと目を離したスキに...」というのがご両親の言い分ですが,お子さんを24時間監視し続けることはもとより不可能ですから,目を離しても大丈夫なように予防的方策を講じることが大切なんです.たばこなら家の中では吸わないだけでは不十分で,みんなで禁煙する,階段には柵をつける,といったように.
 ちょっと前の話になりますが,昨年の年末に急病診療所の当番で出ていたときのこと.クーファン(かご型のキャリー)に赤ちゃんを入れたまま某駅で新幹線の乗り換えを急いでいたお父さんが,手を滑らせて片方の取っ手がはずれてしまい赤ちゃんをホームにゴロンと落っことしてしまった(!)とのことで,八戸に着いてから連れてきたことがありました.幸い赤ちゃんは何ともありませんでしたが,今までにも手を滑らせて落としたという話は何度か聞いたことがあります.その他にも,急ブレーキで車の座席から赤ちゃんだけころがり落ちた,健診で病院の待合室の椅子に乗せておいて落っことした,などの事故を知っています.いずれも大事に至っておりませんが,赤ちゃんは必ず抱っこしてあげてクーファンは使わない,車ではベビーシート・チャイルドシートを必ず使う,当院に通っている方はこれを常識として下さい.今度駐車場調査してみようかなー.なんて書くと誰も来なくなったりして...(?).

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● 蒸し暑い季節:スキンケアとダニ対策を

1)湿疹の出やすい子は,汗ばむような日はできればお風呂かシャワーを毎日2回にして石鹸でよく洗い,保湿剤等でスキンケアを十分にしましょう.細菌感染(とびひなど)を合併しやすい季節です.また,保湿・止痒効果のある漢方薬の入浴剤はひきつづき実費で提供しております.

2)梅雨時から夏にかけてダニが増殖する季節です.お部屋や押入の除湿,布団の乾燥と掃除,お部屋の掃除等のダニ対策を十分に行うと,喘息もアトピーもコントロールがかなり楽になります.

気管支喘息 アトピー性皮膚炎


● オッパイをあげても大丈夫?
  - 母乳中のダイオキシンについて -

 この問題がにわかにクローズアップされ,ゴミ焼却場における新たな調査結果も報道されています.日本だけでなく先進国では母乳中に一定程度のダイオキシンが検出されており,赤ちゃんに対する影響が懸念される,ということは実は何年も前から知られていましたが,詳しいデータが不足しており,母乳栄養を推進する際の検討課題とされてきました.ダイオキシンのみならず,有害化学物質の「環境ホルモン」としての作用が,アトピー性皮膚炎の増加や精子数の減少など人体に対して様々な影響を及ぼしていることが最近わかってきています.厚生省では,1)母乳中のダイオキシン類の摂取が,乳児に与える影響はただちに問題となる程度ではない.2)母乳が,乳児の発育,感染防止,栄養補給に与える効果が大きい.3)わが国よりも母乳中のダイオキシン含有が多い諸外国においても,母乳栄養を規制していない,といった理由から,今後の調査研究および発生源対策に取り組む必要性に触れながらも,「今後とも母乳栄養をすすめていくべき」という中間報告を出しています.3)の理由は説得性に欠けますが,私たち小児科医もほぼこれと同様の意見です.もちろん無害と言えるわけではなく厳重な対策が必要ですが,かといって心配しすぎてせっかくいま赤ちゃんが飲んでいる母乳を取り上げてしまわなくてはいけない,という段階まではきていないと思われます.「母乳のメリットはそれを補ってあまりある」というのが積極母乳推進論者の意見ですが,ダイオキシンが含まれていて良いわけはなく,今回は論旨が一貫していなくて読みにくくて申し訳ないのですが,今書けるのはこれ位までですので続きはまたいつかとりあげるという事でご勘弁下さい.

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● インフォメーション

○ 感染症情報

 おたふくかぜは6月もまだコンスタントに受診しており,もう少し注意が必要でしょう.手足口病は数名,ヘルパンギーナがかなり増加してきています.[6/22〜6/28]ヘルパンギーナ 8,突発性発疹 3,おたふくかぜ 2,手足口病 2,ウイルス性発疹症 2,溶連菌感染症 1,感染性胃腸炎 1(前週のデータはありません).週報はインターネット版に掲載予定.

○ 喘息で慢性外来に通ってもらってる方には喘息日記をつけてきてもらっていますが,今度そのやり方を更にすすめて,日記をカルテの表に簡略化して転記し,一目で経過がわかるようにするつもりです.喘息日記はカルテ以上に情報がつまった大切なものですから,使いおわったものも保存しておいて下さいね.

○ 足のコミュニケーション?

 診察で聴診しているときに,おりこうさんにしてるんだけど,よくみると足で私の膝を何回もキックしている子がいます (^^;).あるいは,聴診器を持っている腕に両足をからませたりなんかして....まあ程度の問題ですけど,それくらいはお行儀が悪いなんて思わなくても大丈夫.本人は無意識のうちにコミュニケーションをとっているんでしょうね.「おい先生,ちょっとだけじっとしててやるけどさ,ガマンしてんだから早くすませてくれよー」なんて言いたいのかと想像しながら診察するのもまた楽し(? ).

○ 写真撮影のお願い

 発疹などがある場合,カルテに残して記録しておくために写真撮影をお願いすることがあります.その都度おことわりいたしますが,プライバシー等には配慮しますのでよろしくお願いします.

○ 予約時間の5〜10分前来院にご協力を


発行 1997年7月1日 通巻第16号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
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