■ くば小児科クリニック 院内報 1997年2月号


● もう一つの冬の感染症 ウイルス性嘔吐下痢症

 インフルエンザで亡くなった老人が続出しているというニュースが流れていますが,八戸では一応お正月を境にいったん下火のようです.まだ2月いっぱいは注意が必要でしょう.
 ところで,先月の感染症情報にも書きましたが,1月下旬からロタウイルスと思われる乳幼児の嘔吐下痢症が増えてきております.ロタウイルスの場合,入院するほど症状がひどくなる場合もありますが,吐き気が強い最初の1日をいかにして乗り切るかが勝負の分かれ目です.ポイントは,とにかく吐き気があるときは飲みたがってもガマン.そのあと最初はスプーン一匙から少量ずつ慎重に飲ませていき,徐々に増量して吐き気がなくなったら飲みたがるだけ飲ませても構いません.オシッコの量が少なくなるなど脱水症の徴候があるときは早めに受診しましょう.

○ 経口補液療法と各種イオン飲料の組成

 NaKCl(mmol/l)(g/l)
WHO-ORS*90208020
アクアライト30202550
一般的なイオン飲料9-233-55-1860-100
野菜スープ 37-557-31-57 
*ORS : oral rehydration solution(=開発途上国のこどもの "生命の水" )

 市販のイオン飲料は飲みやすさの点から,塩分(NaCl)の濃度が比較的低く糖分が多くなっており,風邪のときの水分補給としてなら問題ありませんが,下痢や嘔吐の治療用としては適さないものがありますので注意が必要です.アクアライト(和光堂)はその中で比較的バランスよくつくられており,小児科医のオススメ(定番)となっております.


● 八戸市の夜間救急について(2)…問題点と対策

○ 現状と問題点

・急病診療所
  あまり知られていない(あることを/場所を)
  内科医のときに小さい子はあまりみてもらえない(その逆も)
  地理的に遠い →近くの病院(労災・市民など)に受診する
  時間が23時まで
  眼科や耳鼻科など専門医に診てもらう必要がある場合どうするか
・患者の受診の仕方の問題/かかりつけ医の側の問題
  かかりつけ医がない
  あるけど時間外は連絡がつかない・診てもらえない
  出されている薬の名前がわからない
 *日中と症状が同じなのに救急を受診する(熱が下がらないなど)
 *症状がでたらとにかくすぐに受診する(熱がでたー咳がでたー)
  喘息の子で薬も吸入も常備していない
  どういう状態のときにどうすればいいのかわからない
  とにかく診てもらってすぐに良くしてほしい(注射願望)
・二次・三次救急病院では
  直接受診する患者が多く,その殆どは軽症で受診する必要がない
  輪番病院は一般の人にはわからない(3病院交代なので)
  救命センターができても本来の重症患者の治療に差し支えるかも

○ いま検討されている対策

 まだ未定なので確約はできませんが,急病診療所の当番はここ数カ月中に週末を中心に内科系2人(小児科医と内科医)の体制になります(外科系は従来通り1人).それに伴い私の当番の日も増えることになります.当院での時間外の対応はこれまで通り行いますが,場合によっては急病診療所にお願いすることがあるかもしれません.この辺はまだ流動的です...
 一般に小児の時間外の患者の90%程度は軽症で緊急性がなく,翌日に普通に受診しても大丈夫なことが多いのです(上記*印など).当院にかかっている患者さんはそのようなことがないように熱や嘔吐のパンフレットをお渡しして家庭での看護を重視してもらうようにしているつもりです.結論としてはやっぱりこれかな.この連載はいったんここでオワリ.
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● インフォメーション

○ 喘息の治療用にネブライザー(吸入器)や防ダニ布団を購入された方は,年度末の還付申告で医療費控除(10万円以上の場合)の対象になりますので,領収書を添えて所定の手続きをして下さい.

○ 着せすぎ・着ぶくれ注意報・・・こどもは風の子.少し薄着にして皮膚をきたえることで風邪に対する抵抗力が強くなります.赤ちゃんにシャツを2枚着せている方もいましたが,冬なのにあせもをつくってくる子も結構いますよ.

○ 新しいパンフレット(1月発行分)
 「スキンケア」「溶連菌感染症」「おたふくかぜ&反復性耳下腺炎」

○ 喘息やアレルギー関係の記事が少なくなっていますが,春先に向けてまた再開予定.なお今年のスギ花粉の飛散予想は比較的多めとのこと.

○ 駐車場が一部凍って,朝滑りやすくなっていることがありますので気をつけて下さい.


発行 1997年2月1日 通巻第11号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
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