■ くば小児科クリニック 院内報 1997年1月号


● 今年のインフルエンザは流行の立ち上がり早く要注意?

 先月号で東北では1月中旬からかと書きましたが,見事にあてがはずれてしまい,クリスマス前から患者が急増中です.今のところ,大人や中高生の方がひどい状況のようですが(急病診療所でも7〜8割が大人でした),家族のだれかがもらってきて順番にひいていき,最後に赤ちゃんもかかって重症化するというのは流行の時に見られるパターンで,特に6か月未満の赤ちゃんがインフルエンザやRSウイルスによる細気管支炎などこの時期に流行するかぜにかかったら要注意です.流行は通常2月頃がピークですので,まだまだこれからが本番ですよ.

○インフルエンザにかかったら

・いつもよりも高い熱(39〜40℃)が長く(3〜4日以上)続きます
・一旦熱が下がりかけてから,もう一度熱が高くなることがあります
・咳や鼻,関節痛,頭痛,嘔吐などの症状もかなりひどくなります
・中耳炎,気管支炎・肺炎,熱性けいれん,脳炎などのの合併症に注意
・つらい時期が3〜4日つづき,1週間たって咳などは残っているものの体調がほぼ回復していれば経過としては良い方でしょう
・薬を飲んでもすぐには良くなりません(ウイルスに効く薬はない)
・早めの安静・睡眠,急性期の水分補給と回復期の栄養が何よりも大切.とにかく休んで寝てるしかない.

○予防

・手洗い,うがい,人混みに出ない(決め手に欠ける)
・紅茶うがいが有効で,消毒薬のうがい以上に効果がある
・ワクチンは流行がはじまってからでは遅いのですが,年長児や大人では1回目の接種でも過去の免疫記憶が呼び起こされて効果がある場合もあります.


● 冬場に多い子どもの事故

○ その1:やけど!

 そんなこと言われなくてもわかってるという声が聞こえてきそうですが,ストーブ,やかん,ポットのお湯,こたつや電気カーペットによる低温やけどなどが多発する季節ですので,お家の中を再チェックしてみて下さい.今までの私の経験でも,熱く煮え立ったお風呂のお湯に落ちた全身やけどの子や,練炭こたつに落ちて顔面に大やけどを負った小さな女の子のことなどを思い出します.後で悔やんでも仕方がありませんよ.

○その2:豆まきは子どもが大きくなってから

 年が明けたばかりなのに気が早いとお思いでしょうが,2月号で書いていたのでは間に合わないので今月とりあげます.毎年この時期に多くなる子どもの事故の一つに,豆まきの豆を気管に吸い込んでしまう事故があります.子どもの「気道異物」で一番多いのはピーナッツなどの豆だということをご存じでしょうか.気管に入った豆は,咳をしても出ず,気管支を塞いだりしながらあたかも喘息のようにせき込んでゼーゼーを繰り返していき,原因がすぐにわからないことも多く,肺炎や無気肺に進展していきます.これを取るためには入院して全身麻酔をかけて取り出さなくてはいけません.小さい子が豆を食べているところをおどかして泣いたり,あるいはお兄ちゃんのマネをして豆を放り投げて口に入れようとして気管に入ってしまう事が多いのです.ちなみにわが家では,豆まきは殻に入った落花生にしていますが ... これって伝統を無視していることになるのかな.
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● 超短編的・育児情報
……乳児健診ワンポイント・メモ

乳児健診を申し込むのは,
 3か月よりも4か月頃に
 6か月よりも7か月頃に
 9か月よりも10か月頃に

 心配なことがあるなら別ですが,こればかりは早く受ければ良いというものではなく,適切な時期でないと判断が付きかねることもあるのです.


● 八戸市の夜間救急について(1) …次回から問題点などを解説

・一次救急(=軽症,外来診察で対処できる場合):
  根城の休日夜間急病診療所 (と各医療機関 ... )
・二次救急(=中等症,入院や専門医の処置が必要な場合):
  輪番病院(市民,労災,日赤で交代)
・三次救急(=重症,高度医療が必要な場合):
  現在は輪番病院
  今年秋からは救急救命センター(新しい市民病院に併設)

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● インフォメーション

○ 赤ちゃんの鼻づまりに 「ズルズル」がおすすめ!
 それにしてもすごいネーミングだ

○ 今月の感染症情報

 インフルエンザのかげに隠れてしまいましたが,ノドにくるタイプの溶連菌感染症やその他の扁桃炎,感染性胃腸炎なども散見されます.マイコプラズマはやや下火か.おたふくかぜ・水ぼうそうは当院では減少傾向あり.11月末から12月にかけて手足口病の患者もパラパラと来ましたがその後途絶えてます(夏かぜなんだけどなー).2月にかけてインフルエンザとともにロタウイルスによる嘔吐下痢症が要注意です.

○ 「予約の5分前までに来院」していただきどうもありがとうございます.現在,その日の混雑状況により30分で通常の7人から8人に増やして予約を入れている日もあります.更に予約外の患者さんが重なると,時間帯によっては待ち時間が長くなることもありますのでご了承下さい.また,合併症をおこしていないかぜやインフルエンザの場合は,薬の処方日数を長めにすることがありますので,なくなるまで家でみて受診するかそのままやめるか,あるいは薬はまだあるけど早めに受診するかは,お母さん方がよく観察してもらって判断するようにして下さい.


発行 1997年1月1日 通巻第10号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
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