はしかゼロプロジェクト アピール 2003 in 仙台

 世界保健機関(WHO)は、2005年を目途に世界からはしか(麻疹)を排除することを目標にしており、各国がはしかワクチン接種率を95%以上にして、国内におけるはしかの地域的流行を排除することを要望している。

 しかるにわが国においては、はしかワクチンが定期接種になって25年を経過した今日においても、接種率が80%前後を低迷しており、毎年のように全国各地ではしかが恒常的に発生していて、ときに地域的流行を繰り返している。WHOのはしか排除レベルでは、わが国は開発途上国同様の初期の「制圧期」にとどまっているのが実情である。

 はしかゼロ対策小児科医協議会は、この様な日本のはしか対策の現状を憂慮し、緊急かつ危機感をもって下記のアピールをする。

  1. 私たちは日本国内で、はしかの発生ゼロをめざす。
  2. 私たちは1歳児のはしかワクチン接種率95%以上を目標にして、あらゆる活動をする。
  3. 国および各都道府県は日本からはしかを排除するという強い意志を示して、有効な対策を推進していただきたい。

はしかゼロ対策小児科医協議会
日本外来小児科学会
宮城県小児科医会
仙台小児科医会

(2003.8.31)

【WHOが区分している麻疹排除に向かう段階】
  • 第一段階:制圧 (control) 期;麻疹は恒常的に発生しており、頻回〜時に流行が起こる状態、麻疹患者の発生、死亡の減少を目指す時期
  • 第二段階:集団発生予防 (outbreak prevention) 期;全体の発生を低く抑えつつ集団発生を防ぐことを目指す時期
  • 最終段階:排除 (elimination) 期;国内伝播はほぼなくなり、根絶 (eradication) に近い状態
 現在日本は、中国、インドその他の途上国とともに、第一段階である制圧 (control) 期に含まれている。オーストラリアなどのオセアニア諸国の多くは第二段階の集団発生予防 (outbreak prevention) 期に、またアメリカ大陸、ヨーロッパ、南アフリカや中近東の一部は、すでに排除 (elimination) 期としての対策が進んでいる。日本の所属する西太平洋地域では、1996(平成8)年に策定された麻疹対策の地域計画を2001(平成13)年に改訂し、すべての国における麻疹伝播の阻止を目標としている。

「麻疹の現状と今後の麻疹対策について」(国立感染症研究所 感染症情報センター)より引用
 http://idsc.nih.go.jp/others/topics/measles/measles_top.html

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