■ くば小児科クリニック 院内報 1996年4月号(創刊号)
●開院のごあいさつ

 はじめまして.この4月1日に新しくオープンしたばかりの当クリニックに縁あっておいでいただき嬉しく思っています.私たちは次のようなことを考えてこのクリニックでの診療にあたっていきたいと思っています.まだはじまったばかりで理想とはほど遠く,混乱したりご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが,少しずつ目標に向かって改善していきたいと思いますのでよろしくお願いします.

<このクリニックの診療目標>

 地域のこどもたちのかかりつけ医になれるように
 1人ひとり話を聞いてゆっくり説明できるように
 バランスのとれた診療を心がけて
 院内感染やプライバシーにも配慮し
 喘息やアトピーなどのアレルギー疾患にも対応できるように
 健診や予防接種などで元気なときにもお目にかかれるように
 家庭でのケアに困らないように
 お母さん方へ必要なことをお伝えしておき
 気軽にいろんなことを相談してもらえるような
 そんな診療を行っていきたいと思っています

 この院内報もそのための一つの手段と考えています.できるだけ毎月発行し,そのときどきに気付いたことや新しいニュースなどをお伝えしていくつもりです.ご意見や投書などがありましたら大歓迎ですのでお伝え下さい.また,休診日などの情報はできるだけ掲載するようにしますが,発行後に予定が変更になる場合もありますので院内での掲示にご注意下さい.診療時間や電話受付などに関することは診療案内の方もご覧下さい.
 なお,工事中には大変ご迷惑をおかけしました.また,開院準備にる休職期間中にお問い合わせいただいた方には直接診察できず申し訳ありませんでした.


●健康小児科だより 「年間の健診と予防接種の計画を立てましょう」

 予防接種の話は改めてまたお伝えできればと思いますが,個別接種が主体の時代となり,かかりつけ医で体調の良いときに予防接種や健診を受けるのが基本になってきました.ただし,健診や予防接種の中には時期が決まっていて集団で行うものもありますので,まず大まかにいつ頃に何を受けることにするか予定を立ててみてはいかがでしょうか.何から受けて良いかわからないような場合や,風邪などで予定が狂ってしまった場合などはその都度ご相談に応じますので次に受診したときにでも声をかけてみて下さい.


●喘息・アレルギーひとくちメモ

 このコーナーでは,パンフレットには書かなかったようなこと,ホンネ,診療していて気がついたこと,新しい話題など,特に予定を決めずにアレルギーや喘息に関することを簡単に書いていきたいと思っています.今回はまだ患者さんがあまりいませんので来月から本格的にスタートしたいと思いますが,現時点での予定としては,喘息の患者さんがある程度ふえてきたら5月頃から喘息教室を随時開催していくつもりです.予定などは来月の院内報および院内掲示をご覧下さい.


●スタッフからのメッセージ

 このコーナーでは当クリニックのスタッフが自己紹介をかねて毎号1人ずつ執筆していくことにしますが,準備不足で掲載することができませんでした.今回はとりあえずスタッフの名前だけ紹介しておきますので,次回にご期待ということでご勘弁下さい.

受付  横道さゆり,種市享子
看護婦 熊谷由美子,北崎宏子,久芳裕子

 スタッフ一同になりかわり,「どうぞよろしくおねがいします」
 ...(さて,次はどうなることやら)


●小児科の外来医療費と八戸市の乳幼児医療費のはなし

 初回から少し難しい話で恐縮ですが,今年の4月は保険診療のやり方が変わる時期にあたります.新聞報道などですでにご存じかもしれませんが,3歳未満の小児科外来と老人医療に「包括制」というやり方が導入されます.この改正は皆さんが払う医療費に直接かかわってくることなので少し解説しておきたいと思います.
 包括制について説明するには,今までのやり方(出来高払い制)と比べて考えてみるとわかりやすいでしょう.出来高払いの場合は,診察して何点,検査をして何点,薬を出して何点,と細かく一つ一つ点数(=金額)が決められており,それを足したものがその日の医療費になる仕組みです.一方包括制の場合は,検査をしてもしなくても,点滴をしてもしなくても,かかるお金は同じというやり方です(ただし,時間外に受診した場合は余計にお金がかかります).また,3歳以上では今まで通りの出来高払い制が継続します.3歳未満でも,包括制にするという届けを出さずに出来高払い制を続ける医療機関もあるかと思われます.
 この4月には,もう一つ大きなニュースがあります.八戸市の乳幼児医療費助成制度が外来も3歳まで拡大されます.残念ながら所得制限がありますので全員ではありませんが,多くの方は窓口の支払いがゼロになります(調剤薬局での支払いも同様です).
 包括制と出来高制の2つのうちどちらが良いのか単純に比較することは出来ませんが,医療機関の側から考えると,出来高払い制の場合,悪く言えばいわゆる「3分診療」で出来るだけ多くの患者をこなし,できるだけ多く検査や処置をしたり,もう治ってきているのに何回も受診させたりすれば儲かる仕組みでした.一方,定額制の場合,医療費助成が受けられない方の場合は診療内容によっては割高に感じられる場合もあるかと思いますが,検査などをしたときにはその逆の場合もあり得ます.  今回の改正では老人医療費にも包括制が導入されていますが,こちらは医療費抑制の目的がはっきりしています,一方,一般的な小児科の外来では相手は子どもですから不必要な検査はせず,点滴も注射も薬も少ないのが普通です.その結果として,小児科の外来は病院でも診療所でも他の科に比べて経営が非常に苦しくなっていたのが実情なのです.今回の改正の本当の目的は,小児科の外来で待たされずにゆっくりとお話しながら診察できるようになり,不必要な検査をせずに良心的に診療しても小児科が不採算部門にならないようにするための第一歩というのが実情のようです.
 当クリニックでは,一人一人ゆっくりと診察していきたいというのが開院当初からの目標でしたので,今回の制度改正はその理念に近づくための一歩と考え包括制を採用することにしました.そのためには,薬を出したり検査や処置をすることよりも診察して説明する事の方をより重視して考えてくれる方が増えてほしいし,こちらもそれに応えられるようにしていきたいと思っています.是非ご理解下さい.
 制度が変わってまだどうなるか不確定な部分もありますが,この原稿を書いている時点での考え方をお伝えしました.


●4月の診察と休診の予定

 休診日 :通常の日(日曜・祝日)以外はありません
 休診時間 :4月は青潮小の学校健診のため不在の時間があります
 (院内の健診・予防接種は時間を少しずらして施行する予定です)
   4/11(木)13:15〜14:30頃
   4/12(金)13:15〜14:30頃
   4/16(火)13:15〜14:30頃
   4/17(水)13:15〜15:30頃(水曜日はもともと午後休診)
   4/18(木)13:15〜14:30頃
   *この他に夕方から講演会などで市内に出ている場合もあります
   が,携帯電話で連絡はとれるようにしております.
   (詳しくは診療案内のパンフレットをご覧下さい)


●インターネットのホームページを公開しております

 今やたらと話題になっているインターネットですが,当クリニックでも今年の1月からホームページを公開しております.更新の時期が大幅に遅れておりましたが,開院にあわせて4月には新しい情報を掲載しているはずです(この原稿を書いている時点で未完成ですが...).この院内報の内容や,八戸の育児支援情報などパンフレットに書ききれなかったことなども掲載していきたいと思いますので,インターネットにアクセスできる方は一度ご覧下さい.また,来月頃には待合室から同じ情報をパソコンで見ることができるようになるはずですのでご期待下さい.

 ホームページのURL http://www02.so-net.or.jp/~kuba/


○あとがき

 今月号は準備不足によりレイアウトも内容も味気ないものになってしまいましたが,何といってもこの院内報にちゃんとした名前が決められなかったのは残念至極です.ひよこキャラクターにちなんだ名前にしようかと思っていますが,どうしたものやら,決めそびれているうちに開院の日を迎えてしまいました.来月号にご期待下さい(...大丈夫かなこんなこと書いちゃって).冒頭にも書きましたが,何とかかんとか開院までこぎ着けることができました.これもひとえに皆様方のご支援のおかげと感謝しています.当クリニックを温かい目で見守って下さるようあらためてお願いいたします.


発行 1996年3月31日 通巻第1号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
kuba@qa2.so-net.or.jp
http://www02.so-net.or.jp/~kuba/


次号 院内報トップ くば小児科ホームページ