※このページは未定稿であり、現時点では個人(久芳)の責任において掲載しているものです。

平成  年  月  日

施設長 殿

健康増進法に則った施設内の禁煙または完全分煙の実施についての要請

青森県保険医協会 会長 河原木俊光

謹啓 貴職におかれましては市民が快適に施設を利用できるよう常日頃よりご配慮いただきありがとうございます。
 私ども青森県保険医協会は、患者と医療者が共に満足のできる地域医療の実現に向けて取り組んでいる県内の医師・歯科医師約1,300名(全国10万名)の団体です。
 2003年5月に施行された健康増進法の第25条は、学校や病院、公共施設のみならず、不特定多数の人が利用するほとんど全ての施設において受動喫煙を防止する措置を講ずることを義務づけております。(資料1)
 また、受動喫煙を防止する具体的な方法は、厚生労働省の「分煙効果判定基準策定検討会報告書」で定められており、
  1)施設内を全面禁煙にする
  2)完全分煙を実施する
の2つしかありません。(資料2)
 貴施設は、残念ながら現時点において[分煙の方法が不適切で基準を満たしていない・分煙が全くなされていない]ため、利用者に対する受動喫煙を防ぐことができず、健康増進法に違反した状態となっております。健康増進法の施行後すでに半年以上経過しておりますので、速やかに対策をとられますよう要請いたします。
 屋外に喫煙所を設置する際には、出入り口から十分な距離をとるなどして、付近を通行する人にタバコの煙が届かないようご配慮をお願いいたします。また、空気清浄機は、一酸化炭素やダイオキシンなどタバコ煙(ガス相)の主要な有害物質を素通りさせて排気口から周囲に撒き散らしており、受動喫煙対策として効果がないことは上記の報告書にも明記されていることを念のため付け加えさせていただきます。
 なお、タバコの煙の被害のないきれいな空気の社会を実現していくために、積極的に分煙・禁煙対策をとられた施設を応援していきたいと考えておりますので、ご返答の内容をホームページに掲載させていただくことをあらかじめご了承下さい。

敬白

〒030-0813 青森市松原1丁目2-12
青森県保険医協会事務局
FAX : 017-774-1326
TEL : 017-722-5483
E-mail : hokeni@ahk.gr.jp
http://www.ahk.gr.jp/


資料1 健康増進法(2002年7月26日可決成立、8月2日公布、2003年5月1日施行)

第五章第二節 受動喫煙の防止
第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

● 厚生労働省健康局長通知(2003年4月30日)
「その他の施設」とは、鉄軌道駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用する施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「その他の施設」に含むものである。

● 厚生労働委員会議事録(2002年5月17日)<民主党水島広子衆院議員の質問に対する厚生労働省下田智久健康局長の答弁>
「「多数の者が利用する施設」にはタクシーを含む公共交通機関も含まれるので、受動喫煙を防止するために必要な措置に取り組むよう努めなければならないと解釈している」
「(「施設」には国会も)含まれるものと考えている」
「(「学校」は学校施設だけでなく、修学旅行や移動教室なども)教育の一環として当然その活動をするのだから、教育上の観点から種々のご配慮がなされるべきと考える」


資料2 新しい分煙効果判定基準(受動喫煙対策評価基準) 洲本市禁煙支援センター(http://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/kituen/)より転載  

平成14年6月12日厚生労働省より公表された分煙効果判定基準策定検討会報告書によって、空気清浄機・分煙機器はタバコ煙の主要有害成分であるガス相が除去できず、また、喫煙所からの漏れ状態を確認する手法も確立されていないと明記されたことから、以前に発表された「公共の場所の分煙のあり方検討会報告書」(厚生省・平成8年3月)の4分類の文言から、空気清浄機を除外し、また、ランクAを本報告書のいう「室内空気汚染の4つの対策」のうちで最も積極的な方法とされる「(1) 発生源を除去する方法(施設内禁煙)」に差し替えると以下の通りとなります。今後の分煙対策はこのような基準に従って進められることになるでしょう。

新分類 (分煙効果判定基準策定検討会報告書より洲本市禁煙支援センター作成)

ランク 略称 内容
全面禁煙 施設内を全面禁煙とする。建物内だけ禁煙の場合と、敷地内禁煙の場合がある。建物内禁煙で外部に喫煙場所を設ける場合は、外の通行人に対する受動喫煙への配慮が必要。
完全分煙 喫煙場所を設置し、排気装置により環境たばこ煙が完全に流れ出ないようにする(次の条件を満たすことが必要)。
・非喫煙場所から喫煙場所方向に一定の空気の流れ(0.2 m/s以上)があること
・デジタル粉じん計を用いて、喫煙場所の時間平均浮遊粉じんの濃度が0.15 mg/m3以下でかつ、非喫煙場所の粉じん濃度が喫煙によって増加しないこと
・検知管を用いて測定した喫煙場所の一酸化炭素濃度が10 ppm以下であること
不完全分煙 喫煙場所を設置し、排気装置を用いるがランクBの条件を満たさない。
不完全分煙 喫煙場所を設置するが、排気装置は使用しない。

注:空気清浄機・分煙機・喫煙用集塵脱臭機などは評価の対象としない(設置されていないものとして評価判定する)。分煙効果判定基準策定検討会の内山座長によると、一酸化炭素や発癌物質をはじめとするタバコ煙のほとんどの有害物質は、空気清浄機の排気口から周囲に強制的に拡散することになるため、かえって受動喫煙被害を大きくする恐れがあるからである。
注:都道府県庁、市町村役場などの公共機関、医療機関、学校はランクAにしなければならない。子どもや妊婦、病人などタバコ弱者を守るべき場であること、ロールモデルとして非喫煙者保護を率先して示すべき場であること、喫煙対策に無駄な公金を使うべきではないこと、などがその理由。一般の職場はランクAまたはBとする。

参考:旧分類(公共の場所の分煙のあり方検討会報告書(厚生省・平成8年3月)
A: 喫煙場所を完全に分割された空間とする。
B: 喫煙場所を設置し、分煙機器(環境たばこ煙を屋外に排出する機器、空気清浄器、喫煙場所を他の区域と分割する機器やその複合体)により環境たばこ煙が完全に流れ出ないようにする。
C: 喫煙場所を設置し、分煙機器を用いて環境たばこ煙を軽減する。
D: 喫煙場所を設置するが、分煙機器は使用しない。


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