■ くば小児科クリニック 院内報 2003年5月号


院内版感染症情報 〜2003年第21週(5/19-5/25)


	  2003年 第07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21週
インフルエンザ   21  8 10 21  7  7  1  1  0  0  1  1  0  0  0
A群溶連菌咽頭炎  2  2  2  0  1  2  0  2  2  0  1  0  0  2  1
感染性胃腸炎     24 15 13 12  5  5  6  3 10  8 12  3  5  4  1
水痘              3  7  1  5  4  2  0  3  2  2  2  2  1  0  0
手足口病          0  0  0  0  0  0  1  0  0  0  0  1  0  0  0
伝染性紅斑        0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
突発性発疹        1  2  1  1  0  2  4  3  1  2  2  1  4  2  1
風疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ    0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
麻疹              0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎    0  0  0  0  0  0  0  0  0  1  1  0  1  0  1
☆ 夏かぜの季節になってきました

 5月に入ってから名前の付いたような目立った感染症の流行はほとんどなく、保育園でも水痘、おたふくかぜなどが散見される程度で、この表に出てくる数字はいずれも少なくなっていますが、熱が比較的続くタイプや、咳がひどくなって気管支炎に進展するタイプなど、様々なタイプの風邪が全体としてはむしろ多くなってきています。

 5月中旬から、病初期に高い熱が1〜2日出るけれども咳などの合併症が少ないいわゆる「夏かぜ」が目立ってきています。例年、この時期から7月頃にかけて手足口病やヘルパンギーナといった典型的な夏かぜの一種や、熱と軽いお腹の症状(下痢や嘔吐など)を伴う夏かぜが多くなる季節です。熱の高さに慌てたりせずに、水分をとらせて冷やしながら看病していくことがポイントです。また、夏にかけて細菌性の食中毒も増える季節ですので食品の取り扱いにはご注意を。SARS情報は新聞等をご覧下さい(→6月号で)。


● 女子中学生の貧血検診成績「八戸の子は貧血が多い」

 子どもの貧血は乳幼児期と思春期によくみられ、その多くは鉄欠乏によるものです。中高生の女子の10人に1人、男子の20人に1人は貧血だといわれていますが、地域や年代によって頻度は異なります。八戸市では1993年から中学2年の女子にだけ貧血検診を実施しており、3年前から私が医師会の委員会で担当となり判定してきました。今回、5月に開催された日本小児科医会セミナーで発表してきましたので、概略を皆さんにもお知らせします。

 赤血球の中の酸素を運ぶヘモグロビン(Hb)が12g/dl未満だと貧血と判定します。10年間の平均で中2女子の13.0%(最近3年間では13.5%)がHb12未満で医療機関での精検となり、全体の約5%の子が鉄剤による治療を受けました。治療を受けた子の7割は運動部で普通に活動しており、Hbが一番低い子は正常の半分の6.0しかなく、8未満の重度の貧血も全体の0.5%にみられました。これらの数字は、東京都や県内金木町の成績と比べて頻度が高く、八戸の女子中学生は貧血が多いものと判断されました。

 また、最近3年間の平均Hbを地域ごとに比較してみると、

郊外7校12.7豊崎、三条、市川、明治、是川、大館、美保野
市街地9校12.8第一、第二、第三、小中野、江陽、長者、根城、下長、北稜
浜通り6校13.2湊、白銀、白銀南、東、鮫、南浜
全市22校平均12.9 

と、浜っ子は他の2地域と比べて貧血が少ないことがわかり、その主な要因は魚貝類の多い食生活ではないかと推測されました。

 貧血の症状は、動悸、息切れ、倦怠感などですが、鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行してくるので自覚症状に乏しく、周囲からも見過ごされがちです。顔面蒼白などの所見はかなり重症の貧血でないと明らかではなく、色白美人と間違われたりしがちです。しかし、本人は自覚していなくても、疲れやすく持続力が低下するなどの運動能力の低下に加えて、学力低下、注意力欠如、不登校、興奮しやすいなどの行動異常との関連も指摘されており、貧血の子の早期発見と治療のみならず、この年代の鉄欠乏の重要性についての知識を両親、教師、スポーツ指導者などが広く共有し、貧血の頻度そのものを減らすことを目標としなければいけません。

 貧血の予防は鉄分の多い食事であり、植物鉄(大豆や緑黄色野菜など)よりも動物鉄(魚、肉、レバーなど)の方が吸収が良いことが知られています。また、女児の場合月経の量や期間などの異常がないかどうかチェックしてあげて下さい。過激なトレーニングによる消耗や、偏食、間違ったダイエット、朝食抜きの食生活などがベースにあることが多く注意が必要です。  なお、女子にだけ検診を行って男子中学生に全く何もしなくて良いという合理的な理由はなく、今後教育委員会にも要望していく予定です。


● 第1回ぜんそく教室のお知らせ

 日時 6月28日(土)15:00〜16:00 (14:30〜ビデオ)
 内容 第1回 喘息の基礎知識
   気管支喘息とは? 喘息の症状 治療の目標
   発作のときの対処 治療につかう薬の知識
   発作のないときの管理
 会場 当院2階ホール

 今年もぜんそく教室を開催することにしました.
 喘息の治療のためには,患者さんやご家族が病気のことを知り,薬のことを知り,対処法を理解した上で長期にわたって取り組んでいくことが必要になります.一般の喘息患者さん向けに全2回,更に必要な方むけに1回を予定しております.内容は昨年までとほぼ同じですので,参加できなかった回がある方はその回だけ参加していただいても結構です.今年はそれぞれ1回ずつ開催の予定ですが,参加希望の方や都合の悪い方が多い場合には追加を考えたいと思います.なお,できれば予約確認の上ご出席下さい.

 今後の予定
  第2回 喘息児の日常生活(一般コース) … 7月
  第3回 セルフ・ケア(応用コース)   … 9月


○ 5〜6月の休診日、急病診療所、各種教室の予定

 5月17日(土) は学会のため午後休診とさせていただきました。6月の休診はありません。急病診療所当番は6月4日(水)夜、14日(土)夜、29日(日)昼です。次回の赤ちゃん教室は5月31日(土) 、ぜんそく教室は上記の通りです。


発行 2003年5月28日 通巻第86号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
TEL 0178-32-1198 FAX 0178-32-1197
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