インフルエンザは毎年冬には必ず流行するかぜの親玉です.流行の大小に関わらず,中耳炎,気管支炎・肺炎,熱性けいれんなどで入院になる子が増加し,中には脳炎やライ症候群などの重い合併症を引き起こし不幸な転帰を取られる方もいます.また,老人を中心にインフルエンザに関連した肺炎などにより毎年多数の方がなくなっています.
日本では1994年からインフルエンザは定期の予防接種から外されてしまいましたが,欧米では老人や慢性疾患を持つハイリスクの患者さんなどを中心に広く接種が行われており,また,数年以内に危惧されている大流行に備えてワクチンの供給体制が整えられています.インフルエンザの予防接種は必要なくなったというのは誤解だといえます.
インフルエンザのワクチンは百害あって一理なし,ワクチン会社を儲けさせるだけだなどという極端な意見がありますが,現在のワクチンについては,他の不活性化ワクチン(日本脳炎や三種混合など)と比べて特に副反応の頻度が高いということはありません.また,ここ数年流行予測の精度が高くなっており,ワクチンをうけておけば,発症は防げなくても重症化することは防ぐことができます.
当院では主に12月末までの間にインフルエンザの予防接種を行いますので,希望の方は早めにお申し込み下さい(1月以降も接種可能ですが在庫をおきません).接種は1〜4週間隔で2回行います.(任意接種)
○インフルエンザの接種が勧められる方
・気管支喘息や喘息性気管支炎の子
・心疾患やその他の基礎疾患を持っている子
(専門医にかかっている場合は主治医の判断が必要)
・受験生とその家族,老人,医療関係者,教師,その他
(強い卵アレルギーのある方や他のワクチンで副反応があった方にはお勧めしません)
予防接種のページ |
毎月最後の方に小さく載せていた感染症情報ですが,いろんな感染症が流行してきましたので,今月はまとめて特集です.
○ おたふくかぜ
ここ1か月で増加傾向です.流行時には不顕性感染(症状があきらかでない感染)の子の中にも難聴がみられることがあり要注意です.
○ 溶連菌感染症
例年12〜1月頃がピークですが,これも増加傾向にあります.のどの所見が強い場合は検査していますのでご協力を.
○ 感染性胃腸炎
11月中旬より急増中.今の流行は1〜2月にはやるロタウイルスなどとは違いさほど重症にならずにすむようですが,最初の半日から1日は嘔気・嘔吐に対する看護が必要になります(→詳しくは最初に渡したパンフレットをご覧下さい).
○ マイコプラズマ肺炎
9月頃からの流行が拡大してきました.診断がつけば飲み薬の抗生物質がよく効きますが,そのためには血液検査が必要になります.
○ インフルエンザ
関西などではみられはじめているようですが,東北では例年1月中旬からと思われます.ワクチンは12月中に2回すませておきましょう.
○ 水痘
保育園で小規模な流行が続いています.なお,水痘ワクチンは現在出荷停止状態にあり,当院の在庫はもう残っておりません.再開は3月頃になる予定です.ご迷惑をかけております.
○ 普通のかぜ
流行ってきたけど
まだまだこれからか?
○ 喘息発作
冬が来てさすがに下火
1.歩行器:そんなものなくたって赤ちゃんは歩けるようになる!
2.篭型のキャリー(クーファン):赤ちゃんはモノじゃないぞ!
3.赤ちゃんの手袋:赤ちゃんの手に自由を!
○ 年末年始・休診日や帰省の時に常備しておいてほしい薬
1.熱さましの薬(主にアンヒバ坐薬)
2.喘息の発作止め(テオドール,メプチン吸入・経口)
3.熱性けいれん予防薬(ダイアップ)
4.その他,継続するように指示されている薬
○ 新刊情報 〜 待合室の本棚より 〜
「小児ぜんそくの最新治療」(西川清・山本淳,講談社,1,300円)
「小児ぜんそくを治す本」でおなじみの山本先生と国療香川の西川先生の共著で,喘息の治療がいかにして予防的治療(積極的ゼロ・レベル作戦)へと大きく変わったか,その物語をきくうちに小児の喘息治療の全体を理解することができます.さて,「よくなった8人の患者さんたち」の中にあなたのお子さんも入ることができるでしょうか?
○寒い季節の育児 → 着せすぎ温めすぎにご注意を(本文なし)
○ 「予約の5分前までに来院」していただきどうもありがとうございます.それなのに待たされたと言わないで下さいね.みんなが5分前を守ってくれないと,もっと待ち時間は長くなってしまうのです.
○ 八戸市の夜間救急についての話は次号以降にまわさせて下さい.
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