■ おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
● おたふくかぜとは

 耳の下(耳下腺)が腫れて痛がります.たいてい左右とも腫れますが,片側だけのこともあります.腫れは約1週間でひき,熱は3〜4日でおちつきます.頭痛,嘔吐,全身倦怠感などを伴うことも多く,顎の下(顎下腺)が一緒に腫れることもあります.幼児〜小学校低学年が流行しやすい年齢です.不顕性感染(症状がはっきりしないで感染すること)が約30〜40%にみられます.潜伏期は2〜3週間(平均18日)です.

● 原因

 ムンプスウイルスの唾液を介した飛沫感染により感染します.

● 合併症

 無菌性髄膜炎(約10%〜),脳炎(まれ)
 片側性の難聴(数百〜2万人に1例程度:不顕性感染でもなりうる)
 睾丸炎・卵巣炎(不妊の原因となることはまれです),膵炎,関節痛

● 治療

 熱や痛みをおさえる薬(解熱鎮痛剤)を処方します.痛いときは冷湿布も良いでしょう.

● 家庭で気をつけること

1)食べ物:すっぱいものや,よくかまなくてはいけない食べ物は避けましょう.よけいに痛くなります.痛みが強いときは,かまずに飲みこめるものを与えます.牛乳やみそ汁,ポタージュスープ,プリン,ゼリー,おかゆ,とうふ,グラタンなどが良いでしょう.
2)入浴:高い熱のあるときや痛みが強いとき以外は,構いません.

● 保育所・学校

 腫れが外から見てわからなくなるまでは他の子にうつりますので,約1週間は休ませましょう.

● こんなときはもう一度診察を

1)1週間たっても腫れがひかないとき
2)熱が5日以上続くとき.
3)耳の下の腫れが赤くなったとき.
4)睾丸を痛がるとき.
5)頭痛,嘔吐,腹痛がひどいとき

● 予防

 1歳以上の子は任意接種でおたふくかぜワクチンを接種することができます.90〜95%に効果が認められます.ワクチンによる耳下腺の腫脹は1〜2%,無菌性髄膜炎の頻度は数千〜1万人に1例程度で,自然感染(約10%以上)に比べればかなり低いレベルにあります.


■ 反復性耳下腺炎


● おたふくかぜに何度もかかった?

 耳下腺の腫れる病気は,おたふくかぜだけではありません.反復性耳下腺炎は,おたふくかぜにとてもよく似ていますが,次の点が少し違います.

1)片方だけ腫れる.
2)熱は出ない.
3)痛みはかるく,2〜3日で治る.
4)うつらない.
5)何度もくり返す.

 耳下腺の腫れはじめに,反復性耳下腺炎かおたふくかぜかを判断できない場合が多いので,何日かあとにもう一度診察を受けてください.

● 原因

 感染症やアレルギーの関与などが考えられていますがはっきりしません.殆どの子は大きくなるにつれてくり返すことはなくなっていきます.

● 治療

 特にありません.痛みが強いときはくすりを処方します.

● 家庭で気をつけること

1)食べ物:痛みが強いときはすっぱいものは避けたほうがいいでしょう.たいてい痛みは軽いので,何を食べてもかまいません.
2)入浴:入ってかまいません.

● 保育所・学校

 はじめはおたふくかぜと区別がつかないので,一応おたふくかぜと考えて休んで様子を見ます.血液検査でおたふくかぜの免疫があるとわかれば,次に腫れたときは休まなくてすみます.

発行 1997年1月6日
くば小児科クリニック


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