■ 八戸市医師会HKNプロジェクトチーム(仮称)についての私案 1998年秋に八戸市医師会情報システム委員会に提出し、歴史に埋没した文書を発掘してみました。 ○はじめに 最初にお断りしておきますが,以下の私案は個人的な要望ではありません.本来は医師会の側からある程度の道筋が示されていれば何も言うことはないのですが,9月以来の数回の会議の流れと,来年までに何らかの形でHKNを再スタートさせなくてはいけないことを考え合わせると,このままではまたしても多額の予算を使ってあまり使われない(あるいは検査配信にだけ使われる)システムができあがるのではないかという危惧を拭いきれないでいます. 現状の認識という点では,今の姿は本田先生一人に依存する部分が大きく,他の先生方との解離がややみられてきているのが非常に気になります.このまま一人の先生の犠牲のもとにシステムを構築して維持いくことについては,誰しもそれが望ましい姿であるとはお考えではないと思います. また,検査配信はもちろん優先的に進めることになるとは思いますが,対外的にはこのプロジェクトの一部分であり,三師会や市民に公開されたネットワークの中での市民サービスという観点からみると,他の情報システムの部分の比重も大きくなってきます.つまり,スタート時点では検査配信だけができていて,それ以外は後回しでも良いという考えはあてはまらないと思います. すなわち,全国の医師会のイントラネットによる情報化の流れに即して,使いやすく日常診療に役に立ち,なおかつ全国にも誇れるようなシステムを構築していく必要があると思われます. ここからの意見は,ここに書いたままの姿かどうかはともかく何らかの形で必要なものと思われますが,現実に求められているものとの間に少しずれがある可能性もあります.このプランに固執するつもりはありませんので,たたき台の一つとしてお読みいただければ幸いです. ○八戸市医師会の有能な人材の意見を広く取り入れたシステム構築を これは先日の委員会の時にも申し上げたことですが,情報システム委員会では新システムの枠組みを考え提案することはできますが,その中身はあくまで医師会の様々な活動そのものであり,各委員会などの日常業務の中から,あるいは日常診療の中から必要に応じて生まれてくるものでなくてはいけません. これから先の段階では,医師会の側にこれは情報システム委員会の仕事だからという考えがもしあればそれを改めていただき,医師会全体のプロジェクトとしてとらえ,事務・各委員会・健診や検査など各部門の仕事を有機的に結びつけながら情報化を推し進めていくのだいう合意とその意志表明,および明確なリーダーシップが必要になってくるはずだと思います. 例えば,医師会文書のデジタル化という先日来の議論にしても,情報システム委員会内での議論には限界があるように思われます.医師会からの文書をメールあるいはFAXで配信し,更にデータベースで管理するという,情報化のごく基本的な部分でなおかつ最も大切な部分について考えてみても,医師会の一人の事務員がこれを全てカバーするのは不可能であり,事務員全員が分担して進めていく必要があります.そのためには,医師会の日常業務の見直しとトレーニングが必要になり,我々が口出しできる範囲を越えた仕事になります.各委員会の業務という点でも同様なことが言えます.もちろん,情報化を進めるどのような企業も組織も,その道を通ってきたことであり,医師会とて例外ではありません.そのためには,まず医師会としての意志が明確になってほしいと思います.それがみえてこないと議論はやや空しいものになりかねません. ただし,そのやり方がトップダウンではやはり誰もついてこない可能性があります.そのためには,コンピュータを使えるとか使えないとかいう狭い観点からではなく,各委員会,各科,各関係部門からそれぞれの専門に精通した方々をお誘いいただき,皆さんの意見をとりいれながら一つ一つ積み上げていく必要があると思います.多くの方に使われる実用的なシステムをつくるためには,机上の議論ではなく,それぞれのニーズに基づいて一から考えてシステムに組み込んでいくというステップが必要だということは,どなたも異存のないところだと思います. そのために,ここに示すような組織横断的なプロジェクトチームを提案したいと思います.内容的には本田先生の書かれていた「責任体制」というものと同様のものと思われますが([8-MEDICAL:916] 医師会の活性化),責任という言葉のもつイメージよりももう少し緩やかな勉強会的なイメージを考えています. なお,新HKNに関しての組織論も必要と考えますが,別の稿に簡単に提示してみることにします. ○形式的には 各委員会,各科,勤務医・開業医,その他のグループといった様々な立場をカバーできる方々を,各委員会から1〜数名ずつ任命していただき(重複可),HKNプロジェクトチームをつくる. そのプロジェクトチームの中で,それぞれの先生の興味や委員会・日常診療に関係するテーマ毎に数人の分科会に参加していただき,そのメンバーによる準備会および全員による勉強会を開催し,そこで得られた提言を新システムに取り入れ活用していく. 新HKNが実際にスタートするときには,それぞれの分野でシステムが機能できるように,このメンバーの方々を核として更に能動的な参加者を増やし,それが好循環を生み出すように持っていくことを目標とする.(ちなみに,その逆の悪循環とは,使えないシステムだから使わない,誰も使わないから情報がない,情報がないからアクセスしない,,,というものです.) ○その具体的なプランとしては 新システム構築にむけて当面は2000年スタートの第一歩を踏み出すことが目標になりますが,実際にはコンピュータのシステムづくりや管理者の養成が目標なのではなく,このプロジェクトの活動そのものが医師会における本来的な意味での情報化になることを目指します.あくまで*急がず焦らず*. また,多くの先生方に継続的に参加してもらうためには,ある程度自由なスタンスも確保して,ある時は委員会の代表という立場から離れ,あるいはコンピュータやインターネットを使うという考えから離れて,日常診療の中から,病診連携や診療の質の向上の手段として情報化を考えていただきたいと思います.もちろん,必要な場合は検討事項を各委員会に持ち帰ってはかっていただき,最終的に委員会や理事会で合意が得られるように議論をもっていくことも必要でしょう. ☆具体的な活動としては,
副次的に医師会の組織横断的な若手医師のネットワークといった側面が生まれてくればなお面白いでしょう.また,当初のメンバーも固定的なものにせず,参加者は自由に拡げていければと思います. ○検討すべき項目 思いつくままに書き連ねてみましたが,実際には参加者の意見を取り入れながら計画していくことになるでしょう
○まずは人集めから 当然の事ながら,このプランの要はいかにして広く人材を集め,自らの興味のもとに継続してプロジェクトに参加していってもらえるかにかかっています.そのためには,形式的には各委員会から任命してもらう形になるにせよ,その前にあらかじめ声をかけて誘っておく必要はあるでしょう.しかし,いわゆる「一本釣り」では限界がありますので,その上で組織として任命する形はやはり必要ではないかと思います. ただし,その際にパソコンが使える人を集めるという考えが前面に出るとおそらく上手くいかないだろうと思います.もちろん,最終的には使いこなせるようになって欲しいのですが,あくまでメインは現在の日常診療や委員会活動であり,情報化はその手段(道具)として捉えていただきたいと思います. また,地域医療の要である3病院の情報化と並行して進めていく必要があり,勤務医の先生方の参加も必須と思われます. まずは15〜20人程度を想定しています.それ以外にも自由に参加していただいて増えていけばなお良いのですが. とりあえず,ある年代で区切って医師会員名簿からリストアップしてみました(もちろん本来年齢は問いませんけれども).ここにはアップしませんが,医師会の方に渡しておきますので参考にして下さい. ○市の担当者の直接的な関与も必要になってくるでしょう (この項は重要なポイントなのですがよくわかりませんので記載しないでおきます.) ○おわりに 最後にもう一度おことわりしておきますが,私自身は新しいプロジェクトチームを提案して自分でその組織をリードしたいという気持ちがあるわけではありません.新HKNが実際に動き出すまでは下働きとしてお手伝いすることにやぶさかではありませんが,医師会の組織として情報化を進めシステムを管理していく体制をつくらなければ,このプロジェクトは維持できなくなることが予想されます.長文になりましたが,ご検討の程よろしくお願いいたします. |
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