全国医療情報システム連絡協議会  第15回定例会議  報告

	期日    平成10年12月5日(土)〜6日(日)
	場所    熊本市:ホテルニューオータニ熊本
	主催    全国医療情報システム連絡協議会
	共催    熊本県医師会
	後援    日本医師会  

メインテーマ    「在宅医療を支援する医療情報システム」


プログラム ■第1日目 12月5日(土) ●ケースレポート(事例発表)[1] (1)「高崎市医師会における医師会ネットワークの構築について」 高崎市医師会医療情報システム委員会委員長 岡本克実 (2)「埼玉メディカルネットワークの紹介」 埼玉県医師会情報システム小委員会委員 河本英敏 (3)「行田市介護情報システム」 行田市医師会情報委員 川島 亨 (4)「熊本市医師会におけるネットワーク化について」 熊本市医師会医療情報担当理事 石原 章 ●特別講演[1] 「医療情報システムと情報開示」 医療システム研究委員会委員長 国立大蔵病院院長 開原成允 ●シンポジウム「医療情報システムと地域医療」 (1)「イントラネットによる地域限局型医療情報システム」 鶴岡地区医師会医療情報システム委員長 三原一郎 (2)「新宿区医師会における病診・看護連携システム」 国立国際医療センター情報システム部長 秋山昌範 (3)「岐阜市医療情報システムの構築運用・啓蒙普及と医療応用」 岐阜市医師会理事 河合直樹 (4)「イントラネットを利用しての地域医療をめぐる情報システムの構築」 大阪市城東区医師会医療情報委員会委員長 松岡正巳 (5)「岡山県医療情報システムの構築と運用について」 岡山県医師会副会長 角南 宏 (6)「情報システムの地域医療への実線と問題点 −九州地区の現状」 宮崎県医師会 富田雄二 ■第2日目 12月6日(日) ●ケースレポート(事例発表)[2] (5)「テレビネットワークシステムとその応用」 埼玉県医師会医療情報システム委員 大島譲二 (6)「医師会情報ネットワーク構築における技術的諸問題とその対策」 岐阜市医師会情報処理委員会 越野陽介 (7)「西宮市医師会の独自インターネットサーバー」 西宮市医師会医療情報システム委員会 志水孝久 (8)「熊本市医師会検査センター次期システムについて」 −熊本県下医師会立検査部門との検査システムネットワーク− 熊本市医師会検査センター担当理事 山城和夫 (9)「県医師会のサーバーを利用した医療相談の試み」(紙上発表) 愛媛県医師会医療情報システム研究委員会委員 佐伯光義 ●特別講演[2] 「医療情報システムの国の方針」 厚生省健康政策局研究開発振興課 医療技術情報推進室長補佐 野上耕二郎 (松本義幸室長の代理発表) ●特別講演[3] 「介護ケアプラン作成と情報システム」 国際医療福祉大学医療福祉学部 医療経営管理学科教授 高橋 泰 ●研究発表 「地域ケアと情報システム」 国立循環器病センター研究所疫学部長 稲田 紘 ●「在宅医療情報フォーラム」 (1)「GISシステムを活用した高齢者みまもり事業」 大分県津久見市医師会副会長 加納通人 (2)「在宅医療における携帯情報ツールの活用」 北九州市小倉区医師会訪問看護ステーション 高橋貴子 (3)「在宅医療におけるバイタルセンサーの開発状況」 日本光電ウェルネス株式会社副部長 麻生 茂
★協議会全体の方向性(高槻市医師会高橋徳先生によるまとめ) 1.全国医療情報システム連絡協議会とCOMINESとが合併統合され る見込みとなった. 2.医師会の医療情報はホームページ開示を通り越して,イントラネット の構築に移行し,さらに将来はVPNを介するネットになる方向性が 出てきた. (VPNというのはインターネットを経路として使うが両端に暗号 化装置をつけてデータ交換の安全性をたかめたもの) 3.医師会のイントラネットはその医師会の体力に応じた規模と技術で セキュリティに考慮しながら構築するべきという意見が出た. 4.医師会イントラネットはデータベースとの連携が内容的にも技術的に もこれからのキーポイントとなることが明らかとなった. 5.医師会医療情報の分野に介護・福祉情報関連の情報が入ることは従来 からもこの会で報告されてきたが,今回は介護保険関連でより具体的 になり,聴衆も熱心になった.
★岐阜市医師会にプログラム,写真と発表速報がまとめられています http://www.city.gifu.med.or.jp/kouen/ijs98.html 発表内容速報版メモ(吉村研先生@有田医師会) http://www.city.gifu.med.or.jp/kouen/yoshim.html ★第1日目懇親会に引き続き,広域医療情報研究会も開催されました http://www.bird.or.jp/wami/
■第1日目 12月5日(土) ●ケースレポート(事例発表)[1] #このセッションはまだ到着しておらず,抄録と吉村メモ(MLに掲載) から簡単にまとめてみました.(#印は私のコメントです:久芳) (1)「高崎市医師会における医師会ネットワークの構築について」 高崎市医師会医療情報システム委員会委員長 岡本克実 医師会,地域医療センター,医師会立高看,医師会立准看をつなぐネット. UNIXサーバー,Ethernet LAN. 検体検査システム:WEBブラウザで検索し時系列データを表またはグラフで表示. 医師会グループウェア(文書管理システム,スケジュール管理システムなど)は LOTUS NotesおよびDOMINOサーバーを組み合わせている. セキュリティはISDN発信者番号通知とID・パスワードによる二重化. 端末の普及率は,医療機関の約半数程度になる. このシステムをパッケージ化したものが, 伊藤忠テクノサイエンス メディカルシステム営業部 http://www.ctc-g.co.jp/~MEDICAL/ 「病診連携支援システムMeINS」だとのこと(上記URLには情報なし). #出席してなかったが,詳細についてはこのシステムに学ぶところが多いと思う. ただし,システム構築や管理を企業に任せるためにコスト高になる. (2)「埼玉メディカルネットワークの紹介」 埼玉県医師会情報システム小委員会委員 河本英敏 http://www.saitama.med.or.jp/index-j.htm テレビ会議システム,埼医FAXニュース,健康さいたま,埼玉県医師会HP作成. 各郡市医師会に端末を配布し,県医師会とダイアルアップ接続している. 郵送などの手間が省けるようになった. 埼玉メディカルネットワークは小MLを残しながらも県レベルで統合する方向. e-mailを用いた医療機関同士の情報交換により密度の高い連携が可能となる. #TV会議については2日目のケースレポートにあります. (3)「行田市介護情報システム」 行田市医師会情報委員 川島 亨 http://www.sakitama.or.jp/gma/ 医師会と自治体が足並みを揃えた介護情報ネットワーク. 緊急・災害時にも役立つシステム.データリカバリー機能(ミラーリング). スケジューリングソフト,電子カルテ機能, セキュリティーの強化,FAX送受信エンジン. #行政と医師会の連携が非常に上手くいっている例のようです. (4)「熊本市医師会におけるネットワーク化について」 熊本市医師会医療情報担当理事 石原 章 http://www.city.kumamoto.med.or.jp/ 「新メディネット大樹くまもと」 掲示板・電子メール(インターネットメールと直接受け渡しができない) ファックス送信機能,音声応答機能 病診連携用サーバの構築へ 市民向けホームページ(上記URL) #この後は会場に到着して直接聞いております. ●特別講演[1] 「医療情報システムと情報開示」 医療システム研究委員会委員長 国立大蔵病院院長 開原成允 患者が求める3つの情報 (1)医療機関の情報:休日診療所など アメリカでは病院機能評価まで公表されている 少なくとも医療関係機関相互だけでもオープンにするべき (2)自分の診療情報:医師の説明,カルテの開示 カルテなどの診療情報は開示の方向へ向かうが 医師と共に患者側の義務の認識が前提で,米国型の弊害を回避 (3)医学知識:薬の情報,病気に関する情報 患者もインターネットから情報を得ている 限られた場合では患者の方が知識が豊富になる事もあり得る 情報開示の影響 医療機関の専門化と連携 診療ガイドラインの普及 インフォームドコンセントのためにはEBMに従った診療が必要 ●シンポジウム「医療情報システムと地域医療」 (1)「イントラネットによる地域限局型医療情報システム」 鶴岡地区医師会医療情報システム委員長 三原一郎 http://www2.mwnet.or.jp/~tsurumed/ 鶴岡地区人口約10万人.NT2台とUNIX1台.一人で1年半で構築した. Active Server Pages(ASP)によるデータベースとの連携 行事予定,電子伝言板,医療関係ニュース,日医インターネットニュース 会員情報のデータベース化 在宅患者情報データベース:150名の患者が登録済み(承諾書を得て). 連携医,保健婦などが閲覧可能.往診時に書き込む.指示書印刷. 医療相談:回答医25名.市民向けと医師向け.回答のデータベース化. 臨床検査システム:JAVAで開発中.グラフ化.他の医療機関のデータも参照可能 課題:メインテナンスの煩雑さ,会員数の頭うち,行政サイドとの連携が不十分 (別紙抄録コピー参照) #今回の発表で最も注目を集めたのがこの鶴岡のシステムでした. 八戸のシステム構築の参考になるものと思われます. (2)「新宿区医師会における病診・看護連携システム」 国立国際医療センター情報システム部長 秋山昌範 新宿区医師会 http://www.sjk.tokyo.med.or.jp/ 郵政省・先進的情報通信システムモデル都市構築事業 http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/tsusin/980914j501.html#002 (別紙雑誌記事コピー参照) 新宿区医師会:平均年齢 64歳,ML 80名 医療の標準化のために電子カルテが必要となる. 患者データ Shared Data(検査データ,画像,処方など) Non-shared data 1)病・診・看護支援システム 閲覧権は患者と一緒に移る→医師単位で別の閲覧権 →個々の患者のホームページ(1患者/1カルテ/1地域) 紹介状は「画郵」を利用(キーボード入力なし) 画郵(ニコン) http://www.klt.co.jp/TPRO/GAU/ 2)災害情報システム(国際医療センターにバックアップ,衛星の利用) 3)遠隔教育システム(高齢者と学校) 将来は東京都全体をカバーできるように #「1患者/1カルテ/1地域」という地域医療システムの最先端を行く 壮大な実験で,今後その成果に注目し続けていく必要があります. (3)「岐阜市医療情報システムの構築運用・啓蒙普及と医療応用」 岐阜市医師会理事 河合直樹 http://www.city.gifu.med.or.jp/kouen/kumakawa.html (発表抄録及びスライドが掲載されています) 岐阜市医師会情報システムの構築・運用 普及状況:FAX 97.6%,イントラネット36.6% 複数のメーリングリスト運用(症例相談なども).添付メール(心電図など) 医師会文書を全て電子化(H10.4),FAXで全医療機関に送信 →メールも送信後,HPに掲載. イントラネット構築の意義 プロバイダへの加入不要 #岐阜市医師会の取り組みは郡市医師会の一つの手本と言えます. ただし,担当の医師の技術的能力に依存している部分が大きいという点で 参考にできない部分もあります.2日目に技術的問題に関する発表あり. (4)「イントラネットを利用しての地域医療をめぐる情報システムの構築」 大阪市城東区医師会医療情報委員会委員長 松岡正巳 http://www1a.meshnet.or.jp/joto_ishikai/index77.html 大阪府医療機関のデータベース(ASPで畑先生が作成) 病診連携(症例検討など) MLとBBSの活用,BBSは1000件/月の書き込み(!),イントラは1GBの容量に. 主要な書き込みはテーマ別にリンク #システムは人,人が動けばシステムは本来の価値を発揮する,と感じました. (5)「岡山県医療情報システムの構築と運用について」 岡山県医師会副会長 角南 宏 http://www.okayama.med.or.jp/ 50周年事業により一気に進展.25郡市医師会のホームページを作る事を主目的に. 岡山県医師会に専門家を一名配属した. ネットワーク接続は一般のプロバイダ経由とした. インターネット運営委員会を毎月一回開催.理事の体験講習会を開催. E-mailは郡市医師会が所有し,運用に際しては県医師会で援助. 県医師会が電子メールを使う目的はメーリングリスト. (6)「情報システムの地域医療への実線と問題点 −九州地区の現状」 宮崎県医師会 富田雄二 http://www.miyazaki.med.or.jp/ カードを用いた医療情報システム ICカード 宮崎市,西都市・千代田町,八代市 八代市健康保険被保険者証カード http://www-ya.magma.ne.jp/~yatsui/index.html 光カード 熊本県,大分県津久見市 現在は各地域内に閉じたシステムで,互換性はない カード内の医療情報の検討は無意味 八代の保険証ICカード:新しいカードに更新された 当初は不安感が強く,デジタルデータの二次利用という本来の効果はまだ 現れていない.40%の患者は評価している. 表面に文字情報が書かれている. 画像転送を伴う医療支援システム 大分,長崎,鹿児島でテスト中. 大分:1.5Mb高速回線,他は電話回線(実用にはなっている) 医師の生涯教育への情報システムの応用 ISDN回線を用いたテレビ会議システム.画質は悪い.講証の発行が問題. 『ディスカッション』 秋山 これまでの流れ 医療情報システムと病診連携の2つ インターネットからイントラネットへ HPによる情報公開 イントラネット 医師会広報のOA化 病診連携への応用 ↓今日の話はこの辺まで↓ 経営管理情報の共同利用 2001ビッグバンへ ○システム構築・管理は誰がやるのか,自前でやるのか 今の発表は先進地域.人がいるところは上手くいっている.一般的には? 現状では誰かが犠牲にならざるを得ない(三原) 管理者の負担が過剰になり,管理は外注,コンテンツは事務に(秋山) 岐阜では全て自前,一般的にはコンテンツのみ自前でしょう(河合) 担当医師の転勤が困る(→転勤させない). 医師会からお金が出ていないという点で自由に楽しく(松岡) 県医師会で情報化専門の職員を一人雇い,サーバー管理させている(角南) 宮崎ではサーバーはプロバイダに(富田). この時代に情報化を軽視するようでは,医師会としては心細い. 職員に専門家を雇用するぐらいの認識を持つべき(江崎) (拍手) 情報化が進めば医師会の存在意義が認められるようになるので, ここにいる人達から情報化を進めて行ってほしい(秋山) 日医自体が情報化に対する認識を持たなければならない(上田) 日医の情報化が遅れたのは紛れも無い事実.大いにあおってほしい(安田) 日医の情報化:顔が見えなくなってきている(秋山) ○県医師会と郡市医師会との関連 郡市医師会は自由にやり,県医はコーディネート(角南) 地域の事情によって異なるの(富田) 県医師会から予算が出ればもっと情報化が進むのだが(松岡) 岐阜県では温度差が大きいが,いずれ全県をイントラ化(河合) プロバイダ業務までやるならアウトソーシングに. 県医師会はmed.or.jpが使えるまでの仕事は必ずやってほしい(秋山) 郡市がイントラネット,県はインターネットで結ぶような形がいいか(三原) 宮城ではプロバイダ業務はせずにメールサーバーを置くという方針(安田) 私がお薦めしたいのは宮城方式(秋山) ○ICカードの互換性をどうするか 地域において実際にシステムが動き始めている事は尊重. しかし,この方式に関する評価はきちんとすべき(縄) 同意見だが,現在のシステムが動いている限りはどうしようも無い(富田)
■第2日目 12月6日(日) ●ケースレポート(事例発表)[2] (5)「テレビネットワークシステムとその応用」 埼玉県医師会医療情報システム委員 大島譲二 http://www.saitama.med.or.jp/27tvnet/index.htm (「テレビ会議システムによる地域医療支援」 第21回日本プライマリケア学会シンポジウム) H9より展開しH10に全26郡市医師会への設置終了. 新たに始める場合,月19500円のリース料と通信費用のみ. 時間的・経済的損失を考えると導入効果は非常に大きい. 委員会,講演会,代議員大会や役員選挙中継など/開かれた医師会へ 平均144名参加 デメリットは懇親会ができない,ISDN64Kでは画像が不鮮明など #青森のような県でこそメリットがあり,是非導入して欲しい. (6)「医師会情報ネットワーク構築における技術的諸問題とその対策」 岐阜市医師会情報処理委員会 越野陽介 http://www.city.gifu.med.or.jp/system.html WindowsNT4.0の旧システムでは,サーバー能力不足,頻繁な停止, 周辺機器の不安定性と信頼性不足,インターネット側の容量不足, セキュリティ上の問題があった.数週間に一度〜数日に一度システムが停止. UNIX (Linux) に変更し,モデム・TA→ダイアルアップサーバーを導入. 回線もOCNからDDIの専用線(DION 128Kbps)に変更し,パフォーマンスが向上. ・外注にせよ自前にせよ,「まっとうな管理者」が必要. ・管理業務に関する人的なコストは小さくない→専門の職員・予算を ・ハードウェア/OSは正しい選択を. #ここであげられた問題点は,八戸でも無視できないものばかりです. (7)「西宮市医師会の独自インターネットサーバー」 西宮市医師会医療情報システム委員会 志水孝久 http://www.nishinomiya-med.or.jp/ マッキントッシュを用いたFAX,ML,WWW,DBサーバ 事務局のスタッフが独自で管理運営にあたる シンプルでメンテナンスフリーを目指した WWWはデータベース(ファイルメーカーPro)をメインに 初期投資は200万程度 #私のところのシステムと同じような構成です(うちは中古を使っているので ずっと安くすんでますが).通常の業務を過不足なくこなして,管理の手間や コストパフォーマンスを考えると,特に小さな郡市医師会ではお勧めできるシ ステムだと思います. (8)「熊本市医師会検査センター次期システムについて」 −熊本県下医師会立検査部門との検査システムネットワーク− 熊本市医師会検査センター担当理事 山城和夫 県医師会検査センターと郡市医師会立検査センターを結ぶ構想(将来) 民間と提携 (9)「県医師会のサーバーを利用した医療相談の試み」(紙上発表) 愛媛県医師会医療情報システム研究委員会委員 佐伯光義 愛媛県医師会 http://www.ncc.go.jp/shikoku/ishikai/public.html 愛媛のお医者さん http://www.ecomnet.or.jp/~ehimedoc/index.html 相談内容と回答をイントラ内のMLに流してチェックする 1年3か月で193通の相談:内19.7,皮13.5,産婦13.5,小9.3,精神7.8% 医療機関未受診が48.3%,セカンドオピニオン33.2% 回答は平文のメールなので,今後暗号化も必要か #ネット上の医療相談には問題点も多く,HKNでは取り扱わない予定になって いるが,このような試みが今後どう発展していくかについても注目が必要. ●特別講演[2] 「医療情報システムの国の方針」 厚生省健康政策局研究開発振興課 医療技術情報推進室長補佐 野上耕二郎 (松本義幸室長の代理発表) http://www.mhw.go.jp/search/docj/sosiki/4.html ○医療を取り巻く環境の変化:少子高齢化,情報化,規制緩和 ○厚生省の取り組み 保険医療情報システム検討会中間報告(平成6年7月) 21世紀における医療供給体制について(平成8年11月) →ICカード,レセ電算システムなど 遠隔医療モデル事業(平成9年)→各地でモデル事業の実施 ○電子カルテの効果 コスト削減/ペーパーメディアの保存場所不要/重複医療が避けられる 医療の質の標準化/協同診療も可能 データの二次利用も可能 ○開発状況 標準化/用語・コードの標準化→MEDISから販売中 医療情報言語規約(MML等)の開発 セキュリティー/実証実験中 ケアマップエディターを作成中 ○情報化を推進する上での問題点 電子カルテ運用上の法的整備 規制緩和推進3ヶ年計画:診療録の電子媒体記録を認める. カルテ等の診療情報の活用に関する検討会議(平成10年6月) :医師法第24条の『記載』は電子媒体でもかまわないという方針 病名などのコードが統一化されていない ハードウェアの共通化の遅れ→DICOM,HL7など ソフトウェア,初期投資の費用 情報化を推進する上での職員の意識 ○セキュリティー 保存時のセキュリティー/電送時のセキュリティー ○電子保存の通達 国税庁は国税関係の帳簿類の電子保存を認めている ○個人情報の保護 米国における動き;医療情報プライバシー法案(仮称)審議中 個人情報保護,自己情報の伝搬コントロール ○医療情報システムの今後 医療における情報化は必然的方向/ICカード化の推進 平成10年度予算 →高度情報通信網対応型医療情報システムの開発, 医療機関内情報統合システムの開発 ○与党医療保険制度改革協議会(平成9年8月) 21世紀の国民医療 家族それぞれがカードを持ち個人カードとする.保険証をICカードとする. 病歴や診療歴なども入れて活用すればどうかという案. →ICカード(CPU搭載可能),光カード(改竄不可),ハイブリッドカード型 ○熊本県八代市 医療保険カード 医療保険における情報化処理技術の活用の新たな試み上の保険証のカード化 平成10年10月から全国で使用可能に(保険証として) ○ICカード 通産省が主となって進めて行く予定 セキュリティ機能の向上/互換性が無い/多目的使用 ○光カード ○保健医療情報の国際標準化の動き ISO/TC215 国際標準化として厚生省としても注目している Working Group on messaging and communication working group on Securityなど G7 GHAP 地球規模の保健医療への応用事業 →サブプロジェクト(健康情報ネット,ガン予防等) 関係各国においてもプロジェクトが進んでいる ○2000年問題(Y2K) 平成10年9月高度情報通信社会推進本部 「コンピュータ2000年問題に関する行動計画」 →医療分野も含まれている. **厚生省としては事故がなどが起こらないように 自己点検して頂きたいと思っている** 厚生省ホームページ(http://www.mhw.go.jp/)に掲載されているので参考にしてほしい. Q:保険証のICカード化に関する質問. フォーマットは自由にしてもいいという話を聞いている. しかし,互換性が無い,地域限定などの問題がある. 保険証の代わりにするのなら今の紙のままでもいいのでは無いか? A:管轄が社会保険庁なので少し違うが,分かる範囲でお答えする. カードには現在,IC,光,ハイブリッドの3種類があり互換性が無いのが問題 という認識はある.カードの互換性を持たせるように進めている.内容をどう するかは利用者の問題.将来的には全国統一の用語等で使えるようになると考 える.リーダー/ライターが無ければ使えないというのが現状. 裏面には保険証として使えるように印刷している(厚生省). A:八代ではカードは個人個人に渡されている. セキュリティー,プライバシーの問題に関しても検討しているところである. Q:遠隔診療と無診療についての法的問題点 A:病状が十分安定している限りは遠隔診療は問題無いという通知を出している. 不十分だと考える状態であれば対面診療を行ってほしい. #このセッションは吉村メモをそのまま掲載しました. ●特別講演[3] 「介護ケアプラン作成と情報システム」 国際医療福祉大学医療福祉学部 医療経営管理学科教授 高橋 泰 ケアマネージャーの仕事は思った以上にハードで高い能力が必要とされる. このままでは,予算内で効率のいいケアが作れない,書類作成に時間がかかり現場 に行けない,採算が合わないのでケアマネのなり手がいない,その結果としてワン パターンの押し着せメニューの横行が予想される. 解決策として必要な条件は, 「逆引き辞典」「シミュレーション・マシン」「業務支援システム」 その一つとして,TAI(Typology of the Aged with Illustrations)とコンピュ ータによるシミュレーションソフトの「ケアマネくん」が紹介された. 参考資料 高橋泰ら:TAI高齢者ケアプランビジュアル作成,日経BP出版局(1987) http://www2.nikkeibp.co.jp/books/healthbooks_f.html 明治生命 「ケアマネくん」の介護コーナー http://www.meiji-life.co.jp/oshirase/kaigo/index.htm #この講演は非常に実際的で出席の先生方の興味をひいたようです.関係の方は 実際にTAIと「ケアマネくん」を体験されてはいかがでしょうか. ●研究発表 「地域ケアと情報システム」 国立循環器病センター研究所疫学部長 稲田 紘 宮城県田尻町の総合的な福祉情報システムの紹介 http://www.pref.miyagi.jp/tajiri/FUKUSHI/FUKUSHI.HTM #帰りの飛行機の時間のため,このあとのセッションは聞いておりません. ●「在宅医療情報フォーラム」 (1)「GISシステムを活用した高齢者みまもり事業」 大分県津久見市医師会副会長 加納通人 GIS:Geographic Information System(地理情報システム) 様々な地図上に展開,表示可能な図形データとそれに関係する数値や文字等の属性 データ(すなわち空間データ)を効率よく管理し諸機能を持たせたコンピュータシ ステムをいう. #とのことですが,抄録を見てもどのようなものか理解できませんでした(光カー ドを用いた情報システムのようですが). (2)「在宅医療における携帯情報ツールの活用」 北九州市小倉区医師会訪問看護ステーション 高橋貴子 http://www1.sphere.ne.jp/shoui/ ザウルスを利用.画像の活用.情報の共有化. (3)「在宅医療におけるバイタルセンサーの開発状況」 日本光電ウェルネス株式会社副部長 麻生 茂 http://www.nk-hart.co.jp/ 救急車/在宅医療における健康管理/疾病管理 (財)医療機器センタの「新医療技術開発研究」 −在宅患者のための生態情報収集・解析システムの研究開発−より
■ 展示 ケアネットTV メディカルCh. http://www.carenet.co.jp/tvtop.htm 北海道,宮城,静岡,石川,滋賀,兵庫,岡山,広島,福岡,長崎の各県では 「ケアネットTV・メディカルCh.」の医師会員への推薦をいただいております. (パンフレットより引用) #思ったよりも充実しており,生涯教育の手段の一つとして有用だと感じました.
■ 次回(第16回)の全国医療情報システム連絡協議会は 平成11年7月24日(土)〜25日(日) 岡山市 地域医療情報ネットワーク研究会(COMINES)と全医協の「合同開催」 (すぐには合併統合とまではいかなかったようです) (参考)昨年(平成10年)のCOMINESの参加報告(鳥取・安倍先生) http://www.yuragi.tottori.tottori.jp/comines.html

特別付録 くば小児科ホームページ