■ くば小児科クリニック 院内報 2006年10・11月号


● 院内版感染症情報 〜2006年39週(9/25〜10/1)


    2006年 第23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39週
インフルエンザ     2  5  6  4 10  2  1  1  0  0  0  0  0  0  0  0  0
咽頭結膜熱         0  0  0  0  0  2  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
A群溶連菌咽頭炎   0  2  0  0  0  0  1  0  1  0  0  0  0  0  1  0  0
感染性胃腸炎       4  4  1  3  4  3  4  4  6  4  6  2 10  4  1  4  4
水痘               3  1  5  1  0  3  1  0  1  1  1  2  0  0  0  0  0
手足口病           0  0  0  2  0  0  1  0  2  1  1  1  1  1  1  0  0
伝染性紅斑         0  1  0  2  0  0  0  0  1  1  1  0  0  0  0  0  0
突発性発疹         0  0  1  0  1  1  0  0  0  0  0  1  1  1  2  0  0
風疹               0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
ヘルパンギーナ     0  0  0  1  2  4  4  3  1  1  1  0  1  1  0  0  0
麻疹               0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0
流行性耳下腺炎     0  1  0  1  0  0  0  0  1  4  3  1  0  0  2  0  2
 残暑が過ぎ去って秋風が吹くようになり、咳や鼻ミズが多くなる一般的なタイプの風邪が増えてきています。その中には咳がひどくなるマイコプラズマも含まれているようです。9月下旬にかけてウイルス性の胃腸炎も増加傾向でしたが、例年10〜11月にノロウイルスを中心とした胃腸炎の流行がみられますので、これから要注意です。

 9月後半から天候の変動などに伴い喘息の発作が増えてきました。1年で一番不安定になる時期ですので、薬によるコントロールと共に、家庭での環境対策(ダニやタバコなど)も進めていくようにしましょう。


● インフルエンザの予防接種が始まっています
 →詳しくは別紙案内をご覧下さい。


● 入学前に麻疹・風疹混合(MR)ワクチンを済ませましょう

 前号にも書きましたが、今年から就学前の5〜6歳児にMRワクチン(II期)を接種することになりました。麻疹または風疹にかかったことがある子は単独ワクチンとなりますが、それ以外の子は入学前にMRワクチンの接種を済ませるようにして下さい。年末はインフルエンザの予防接種が入り、それ以後はインフルエンザや冬場の風邪がはやる季節ですので、MRワクチンはタイミングをみて早めに済ませておきましょう。

 なお、I期は1歳のお誕生日になったらすぐに接種するようにしましょう。2歳を過ぎると公費では受けられなくなります。


● 日本脳炎ワクチンの「積極的ではない勧奨」のススメ (1)

 現在、日本脳炎の予防接種は休止状態にありますが、「接種中止」ではなく「積極的な勧奨を中止する」という状況で、流行の危険性の高い地域や希望者には同意を得た上で接種することができます。昨年6月に急に接種“中止”というニュースが流れた際に、より安全性の高いワクチンが開発されて今年には再開される予定だと説明されました。しかし、最近入手した情報によると、再開までに2〜3年はかかりそうだということなのです。理由は、高い安全性を期待されている新型ワクチンの治験成績で、現在のワクチンよりも副反応の頻度が高く出てしまったからで、今後改良される見込みだとのことです。

 ここで大きな問題が生じてきます。いま、5〜7歳で日本脳炎の接種が途中になっていたり、まだ1回もやっていない子(I期3回の接種に1年1か月かかる)は、新しいワクチンで接種が再開されるのを待っていると、法定の7歳半(90か月)を過ぎてしまい、公費で受けられなくなったり、接種せずに日本脳炎の免疫を持たない世代の子たちが日本中に大量に生まれてしまうのです。  結論としては、納得の上での現行ワクチンの接種をお勧めします。リスクはそれまでと比べて高くなったわけではありません。その理由などは次号に。


● 六ヶ所再処理工場が適用している大気への放射能放出評価方法
 ─フランスは6年も前にやめています─  (発信元:グリーンアクション)

 フランスのラ・アーグ再処理工場では、排気筒から放出された放射能(クリプトン85)は、比較的近い風下で地表に降りてしまうことが、実際測ってわかりました。この地表に降りた放射能の濃度は、当初立てていた計算値より大幅に上回っていることが指摘されました。
 フランスでは、このギャップが公的に認識され議論された結果、それまでの理論を捨て去り、測定事実を優先させる別の方法(Alternative Method)が、政府や事業者であるコジェマ社も含めたグループGRNCにより2000年以後採用されるようになりました。
 GRNCの報告書では、当初の気象指針のモデルは、煙突が高い場合、工場から近いところでは、適用は不適切であると結論づけています(煙突が高いのはフランスも六ヶ所も同様です)。
 六ヶ所再処理工場で、フランスの方式を採用すると、現在日本原燃が公表している「これは超えない」という「約19マイクロシーベルト」の2倍ちかい「35.73マイクロシーベルト」になります。フランスの法的な線量目標値は「30マイクロシーベルト」なので、それも上回っています。

先輩のフランスから民主的な方法を学びましょう

 フランスでは、それまでの理論が実測に合わないことを素直に認め、実測値を重視する方法を採用することをコジェマ社、フランス政府、市民団体を含めた広範囲の人びとの知恵を集めて決めています。

次は六ヶ所の番です

 六ヶ所再処理工場からの大気放出放射能の計算に使われているような気象指針は、フランスでは不採用となっています。日本原燃の安全評価の基礎が誤っていることが明確になった今、従来の安全評価は直ちに見直しましょう。


● 10〜11月の診療日、急病診療所、各種教室、相談外来の予定

 10月から11月にかけて全て暦通りの診療で、臨時休診はありません。急病診療所当番は10月7日(土) 夜と22日(日) 昼の2回で、11月の当番は未定です。
 ぜんそく教室の3回目は10月21日(土)、次の赤ちゃん教室は11月25日(土) になります。育児相談・子どもの心相談(初回のみ無料)、禁煙外来(保険または自費診療)は随時受け付けております。

 メール予約システムをご利用下さい。(ホームページのメニューから入るか、yoyaku@kuba.gr.jp 宛まで)


発行 2006年10月6日  通巻第124号
編集・発行責任者 久芳 康朗
〒031-0823 八戸市湊高台1丁目12-26
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☆ 当院は「敷地内禁煙」です


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