■ 離乳食はゆっくりと 〜 「離乳の基本」が15年ぶりに改定
「離乳の基本」というのは,離乳の指導を行う上での基礎資料として1980年に厚生省が策定したもので,昨年(1995年)末に15年ぶりに見直され改定されました.もともと離乳食は国から指導されてその通りにやらなくてはいけないものではありませんから,改定されようがされまいが構わないのですが,今までのものでは次のような問題がおこっていたのです.
これらの問題点をふまえて,今回は次のようなポイントが主に改定されました.
- 早期離乳〜あたかも離乳食を早めにスタートしてどんどん進めることが発達の目安であるがごとき誤解が生じていた
- 赤ちゃんの消化機能が未熟なうちに離乳食を無理に進めることがアレルギー発症の下地となってきていた
- 従来の12か月で離乳完了というのは咀嚼機能などの面から無理があった
- 離乳期に鉄欠乏性貧血が比較的多く見られ,後の発達に影響を及ぼすおそれが指摘されていた
- 離乳の完了を12〜15か月(遅くとも18か月まで)として幅を持たせた
- 鉄欠乏に配慮してレバーなどで補給するよう勧めている
- アレルギーを引き起こさないように,蛋白質,特に卵,魚,貝やイカエビタコなどについて注意を促した
- 牛乳そのものは腎臓や消化管に負担が大きいので1歳を過ぎてからにする
- ハチミツはボツリヌス菌の中毒症状の可能性があるので1歳までは使わないことにする
付表 離乳の進め方の目安
個人的意見としましては,あまり数字や書いてあることに惑わされずに,離乳食はのんびりと,楽しく,ついでにちょっと楽をして進めていってもらえればと思っています.アレルギーの心配がある場合をのぞけば,市販のベビーフードを上手に利用することは構わないでしょう.その場合は,つなぎの成分などに使われる蛋白質に注意して買って下さい.また,離乳食の進み具合には波があってある時期食べなくなったりするのはよくあることですから,焦らず無理せずに進めてもらえれば結構だと思います.
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