●赤ちゃんの鼻づまり
生後1〜2か月ごろ,熱も咳もないのに鼻をつまらせたり,寝苦しそうにすることがあります.赤ちゃんの鼻の穴は小さく,鼻の粘膜が敏感なので,ちょっとした気温の変化などの刺激で鼻みずが出ます.また暖房で部屋が乾燥すると鼻みずがねばっこくなったり,鼻クソになって鼻をつまらせてしまいます.赤ちゃんは口で呼吸することが下手で,特に生後3か月頃までは口で息をすることができないので,鼻がつまるとお乳が飲みにくくなり,機嫌がわるくなります.
○鼻づまりを治すためのヒント
1)暖房で部屋が乾燥しないように,加湿器などを使う.
2)鼻みずをスポイトや専用の器具などですいとったり,綿棒で鼻をそうじする.ただし,十分にとれないことが多いので,鼻の中を傷つけないよう,ほどほどに.お母さんが口で吸ってあげるのは効果的なので一度お試し下さい.
3)お風呂の湯気は鼻の粘膜を湿らせてくれるでしょうし,お風呂であたたまると鼻の粘膜のはれもひくでしょう.
○こんなときはもう一度診察を
水ばながいっぱい出るようになった,お乳の量がふだんの半分ぐらいに減った,咳が出てきた,ゼイゼイしている,などのときはもう一度診察を受けてください.
●咳込んで吐いてしまうとき
小さい子の場合,痰からみの咳になってくると上手く痰が切れないので咳込んで吐いてしまうことがよくあります.そのような場合,去痰剤(痰を切る薬)や抗生物質などで咳や痰の治療していきますが,治ってくるまで何日もかかるのが普通です.吐くのが1日1回程度で機嫌や食欲があり熱もなければ大丈夫ですが,咳込んだときは体を起こして抱っこしてあげ,手のひらで背中を叩いて痰を切るのを助けてあげて下さい.咳で吐いて食事が十分にとれないときには少量ずつ水分やお腹にもたれないものをとらせるようにしましょう.吐く回数が多かったり夜眠れないようなときには早めに受診して下さい.
●夜寝つくまでに咳込んでしまう
「布団に入って横になると咳がひどい」というのはよくある訴えですが,これをすぐに止めるのは難しいのです.横になって寝つくときに咳が多くなるのは,
1)横になると痰が移動して咳が誘発される
2)体が温まると咳が出やすくなる
3)ホコリや布団のダニなどが影響している(アレルギーのある場合)
といった理由が考えられます.1)が一番多い原因かと思われますが,ある程度咳をして痰を切ることも体の反応として必要なものです.ただし,咳込んで寝つけなかったり苦しくなるような場合は対処も必要になってきます.対処法は上に書いたのと大体同じです.
●クループ(喉頭炎)
かぜでノドの声帯の近くが腫れてくると夜中に急に咳込んだりゼーゼーしたりすることがあり,時として入院が必要な程苦しくなる場合もあります.吸入で一時的に楽になるのですが,帰宅後は寝室の加湿を十分にするようにして下さい.苦しくて泣いてしまうと更にのどが狭くなり苦しくなりますので,抱っこして寝かしつけるなどして手をかけてあげて下さい.
●気管支喘息や喘息性気管支炎
痰がからんで上手く切れずにつらいときには,少量ずつ水分補給をし,体を起こして痰を切るようにしましょう.腹式呼吸も効果的です.自宅で吸入の指示が出ている場合や発作の時に使う薬を持っている場合は指示に従って施行して下さい.市販のノドの吸入器で水の吸入をすると逆に呼吸が苦しくなりますのでやってはいけません.以上のようなことをしても良くならないときはあまり我慢せず早めに受診しましょう.
●咳がひどくなってもう一度熱がぶり返したら
最初の熱はおさまったけれど,その後に何日も咳がつづきだんだんとひどくなり,もう1回熱が出たような場合は,気管支炎や肺炎になりかけている事がありますので早めの受診が必要です.
1996年6月1日
くば小児科クリニック
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