■ 病気のときのお風呂
日本人はお風呂好きなのですが,同時にかぜをひくとお風呂を極端にさける方もいるようです.いつお風呂に入っていいかといったことは基本的にはお母さん方の判断に任せていますが,よく聞かれる質問なので大体の目安を書いておきます.

●かぜ

 熱が高く食欲・元気もない時には,入浴は避けたほうがいいでしょう.微熱(37.5℃以下)程度で食欲も出てきたらお風呂を再開していい時期です(普通の経過で2-3日目頃).子供は新陳代謝が激しく,早めに入浴して皮膚を清潔・リフレッシュすることで治りを良くすると勧める人もいます.よく「湯冷め」や「お風呂に入ったのでかぜがぶり返した」,あるいはかぜをひいた事自体も「お風呂に入ったから熱が出た」などと心配する人がいますが,いずれもあまり根拠はありません.また,湯冷めを心配してお湯を熱めにすることがありますが,熱いお風呂は体力を消耗します.少しぬるめにするか,夏場などはシャワーだけですませてしまいましょう.

 また,湯冷めしないようにお風呂からあがったらすぐに布団の中にもぐりこませようとすることがありますが,子供は汗っかきですから,お風呂からあがって体が熱いままお布団にいれるとその熱を発散しようとして汗をかき,かえって寝冷えをさせるのことになります.体のほてりが十分取れてから布団にいれるようにしましょう.

 熱がまだ上がったり下がったりしているときには,調子いい時を見計らって蒸しタオルで拭いてあげて下さい.

 熱は下がり元気も出てきたけれど咳や鼻水がまだ多いという場合に長くお風呂にいれないことがあるようですが,入浴することで気道が加湿され痰が出やすくなる場合もあります.元気や食欲があればお風呂は構いません.

●下痢・嘔吐

 下痢自体はひどくなければ入浴してもかまいませんが,何回も吐いたり,食欲がなくぐったりしている時にはお風呂は控えた方がいいでしょう.また,小さな子供は下痢が続くとオムツカブレがひどくなりやすいですから,早めに入浴を再開するか,あるいはお尻だけでも洗ってあげるようにしましょう(坐浴).

●喘息

 発作のないとき,あるいは咳が少し出るくらいの発作(小発作)の場合は入浴して構いません.ゼーゼーが外から聞こえたり,病院で吸入が必要になる程度の時(中発作)はおさまるまで控えてください.

●アトピー性皮膚炎や湿疹の出やすい子

 湿疹の出やすい子は薬(外用薬=塗り薬)も大事ですが,まずスキンケアを心がけてください.その第一は入浴により皮膚の清潔を保つことです.ところが,かぜをひいてお風呂に入らないために湿疹がひどくなることがよくみられます.入浴の基準は上に書いたものと特に変わりませんが,良くなってきたら早めにお風呂を再開するようにしましょう.

このほかの病気の場合で,よくわからないときはお気軽におたずねください.

1996年4月1日
くば小児科クリニック


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