八戸・妊婦の7割が受動喫煙 (2002年5月26日 デーリー東北)

 喫煙習慣のある女性の約六割が妊娠を機に禁煙しても、妊婦全体の七割以上が、自宅や職場で受動喫煙の状況に置かれていることが、八戸市健康増進課の調査で分かった。身の回りの人が吸うたばこの煙は、本人の喫煙以上に有害。地域の医師や保健師らは、胎児を煙害から守るための「禁煙・分煙・嫌煙」を呼び掛けている。

 たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素は、体内の血管収縮や赤血球の酸欠を引き起こす有害物質。直接吸い込む煙(主流煙)より間接的に吸い込む煙(副流煙)に多く含まれており、妊娠中の喫煙、受動喫煙は低体重児出生や流産、早産、SIDS(乳幼児突然死症候群)などの危険因子とされる。

 調査は昨年度、同課窓口で妊婦連絡票を配布した妊婦二千三百六十七人を対象に実施。生活習慣について尋ねる項目の中で妊娠前と妊娠後の喫煙習慣の有無、同居する人や職場での受動喫煙の状況などを調べた。

 調査によると、妊娠前に喫煙習慣があった女性は全体の約三割に当たる七百四十人。うち妊娠判明後も喫煙を続けた人は約四割の三百三十七人で、残る六割の女性は胎児への影響を考え「妊娠後禁煙した」と回答した。周囲の喫煙状況については「同居人の喫煙」が約七割と高く、「職場など周囲の喫煙」も約二割あった。

 同課の保健師らは窓口に訪れる妊婦や家族らにパンフレットを配布するなどして禁煙を呼び掛けているが、周囲の理解を得るのは困難な状況。市内の産婦人科医で青森県分煙の会代表の小坂康美医師は「胎児を守るには家庭や職場での協力が必要。父親らには女性の妊娠を機に、禁煙補助材料を処方するのも有効」と指摘している。

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