アトピー性皮膚炎では皮膚の角質内脂質の「セラミド」という物質が減少しており,皮膚の水分が蒸発して乾燥し,そのため皮膚のバリア機能が弱まり外からの刺激物が侵入しやすくなっています.このバリア機能を回復するためにセラミドを配合した保湿剤が最近開発され,大学や病院における臨床テストでも有用であることが確かめられています.
処方することができる「医薬品」ではありませんので,窓口で購入していただくことになります.継続して使用する場合は診察なしで購入していただいても構いませんが,使い始めとその後の経過観察の時には必ず診察を受けるようにして下さい.
● 製品
・バリア機能回復のためのセラミドを0.5%配合
・肌になじんでべたつかず,ローションは乳液状で伸ばしやすいので乳幼児におすすめ
・無香料・無着色料・無鉱物油で,パッチテストでも安全性が確かめられています (肌に合わない場合はお申し出下さい)
○ AKマイルドミルクローションこども用
20ml 400円 500ml 6000円
○ 薬用AKマイルドクリーム
10g 300円 100g 2500円
(--これらの価格は安くて問題になる可能性があるので他言しないで下さいね--)
● 使い方
1日2〜3回(入浴後,朝,その他必要に応じて)お使い下さい.
広い範囲に乾燥肌が広がっている場合はローションの方が使いやすいでしょう.ローションではしっとり感が足りない場合は,クリームにするか,ローションを全体に使った上で部分的にクリームを重ねて使っても構いません.
● 抗炎症薬の外用剤を処方されている場合
保湿剤は赤くなったりジクジクした病変には直接の効果はありませんから,保湿剤を使った上で,指示された外用剤(非ステロイドまたはステロイド軟膏)を病変部に重ね塗りするようにして下さい.
● 他の保湿剤との併用は
ヒルドイドなどの他の保湿剤が処方されている場合,原則としてそれと併用する必要はありませんが,ローションをベースにしてその上に使っても構いません.ヒルドイドとの比較では,塗布直後の保湿効果はヒルドイドの方がやや高いものの,2時間〜24時間後の効果はセラミド含有クリームの方が高い保湿効果が持続するということです.
発行 1999年1月
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