1.毎日体重計に乗る
2.食べる量をコントロールする
3.毎日続けてできる運動をする
4.1〜3をノートにつけて,体重はグラフにする
5.「やせたい」という気持ちを持ちつづける
<解説>
1.自宅にある普通の体重計でかまいません.毎日同じ条件で測って記録することから肥満のコントロールは始まります.
2.正しいカロリーコントロールが肥満の管理の最大のポイントで,これはお母さん方の大切な役割です.食事は生活習慣ですから,家族全員で一緒になって見直していくことが必要です.子どもは成長しますから,厳格な食事制限はせずに標準的なカロリー摂取量でスタートするのが普通です.厳密なカロリー計算は大変なので,「糖尿病のための食品交換表」などを用いておおよその摂取カロリーを把握して,常に意識しながら食べるようにするとだんだんと身についてくるようです.具体的な注意点としては,
・外食やファストフードは減らす
・油料理は減らして,洋食よりも和食中心にする
・料理の味付けは薄くして,砂糖はなるべく使わない
・ジュースやイオン飲料はやめて麦茶にする
・ケーキなどの甘いお菓子は特別なときだけにする
・おやつは決めた量だけにしてダラダラ食いはやめる
・大皿料理はやめておかずは一人分ずつお皿にわける
・ごはんの量を今までより少しだけ減らす(3/4〜4/5くらい)
・足りない分は野菜やきのこや海草などで補うようにする
・時間をかけてよくかんで食べる
・食物繊維の多いものをとるようにする
といったことがあげられますが,どれも一般的に言われているもので特別なものはありませんね.
3.肥満の子に勧められるのは,水泳,ジョギング,速歩,自転車,なわとび,リズムダンスなどの有酸素運動(エアロビクス)です.太っていると体力がなくて膝の負担が大きくなりますので,最初は速歩などの負担の少ないものを選んであげて,1人だけではなくお父さんお母さんや兄弟などが一緒になって,楽しく続けていくことが大切です.苦しいトレーニングを嫌々やっていたのでは長続きしません.その日によって運動の種類や量を変えるなどの工夫をしても良いかと思います.摂取カロリーの10%の運動量がひとつの目標ですが,なかなか達成できないときには,おつかいに行くなど日常生活の中での運動量を増やすように心がけてみましょう.
4.自分自身で記録することで,毎日の生活を自分で意識することができ,体重が減ったときの達成感と継続していくためのやる気が芽生えてきます.低学年の子の場合は,お母さんが一緒につけてあげるようにして下さい.
5.肥満のコントロールはこれから大きくなるまで,あるいは一生つづくもので,食生活を含めた生活習慣をいかに改善していくかにかかっていますので,人から強制されてではなかなか上手くいきません.太ったままでは成人病(生活習慣病)になりやすいこと,体重が減れば運動が苦手でなくなり遊びも楽しくなること,外見上のコンプレックスも少なくなることなどを本人が納得した上で,短い期間での達成感を積み重ねて「やる気」を持続させながら,意識しなくても太らないような生活習慣が身についてくることを目標にしましょう.
1997年7月30日
くば小児科クリニック
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