会議室:「くば小児科BBS」

二桁の足し算と引き算

発言者:くば

(Date: 1998年 5月 18日 月曜日 12:03:21)


全然関係のない話題です.先日,小2のこどもが食卓で宿題をやっているのを
みてたら,なんか変なことしてるんですね.二桁の足し算引き算なんですが,

足し算
例)16+7=23
7を足すのに7を4と3に分けて,先に4を足して20,それと3だから23

これは全く問題ないですね

ところが引き算の方はこの逆にならない
例)23−7=16
これを計算するのに,最初に23を20と3に分けて,20から7を引いて13
それに3を足して16となる

これが今のやり方なんだそうです(いつからかは知りませんが)

例題のところに鉛筆の絵が書いてあるのですが,10本ずつの束が2つと3本
の鉛筆があって,そこから7本を売るのに,いきなり1つの束をバラして7本
とり,そこに残りの3本を足しています.でも,普通お店のおばちゃんはこん
な事しませんよね.バラになっている3本と束から4本をとる.つまり,
23-7=23-3-4=16 というのが普通の頭の中の流れだし,足し算の逆になる.
学校の方のやり方だと,
23-7=20-7+3=16 で,20-7と13+3という,本来の流れに逆らった計算を2回し
なくてはいけない.これって変じゃないですか?

こちらを小学校の先生はご覧になっていないかと思いますが,皆さんどう思い
ます.なんであっても計算ができれば良いことは良いのですが,なんか引っか
かりません?


けんくん さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 18日 月曜日 21:43:33)

私の知り合いに小学校の先生(正確にはちょっと違いますが)が
いらっしゃいますので、出前?を頼んでみました。来てくれると
思いますが、来ないときは ごめんなさい m(_ _)m


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 18日 月曜日 23:06:53)

まあ、まず、下の問題でも解いていただいて、憂さ晴らしをして下さい。
私は一番上の一番左のNo.1ドリルは80点でしたよ。えへん。

ドリル


あべたか さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 19日 火曜日 5:09:48)

くばさん、はじめまして。
けんくんの紹介により、顔を出しました。

えっとですね、最近の学校では一応、多様な考えを生かすということが名目にあ
りまして。どのような考え方で答えを出しても、筋がとおっていれば、大丈夫だ
と思います。

……と、これだけでは、ちと冷たいので、引き算のやり方における基本的な考え
方(学校での研究を進めるときの考え方)を紹介しておきます。

引き算には大きく分けて、2つの方法があります。わかりやすくするためにくば
さんがあげた「23−7]で説明させていただきますね。

(1)23−7=23−(3+4)=23−3−4=16
(2)23−7=(10+13)−7=10−7+13=16

です。
(1)が減減法といれて(引いて引いてという順番だから)、
(2)は減加法といわれてます(引いて加えるという順番だから)。

では、指導するときにどうか?ということですが、基本的にどちらでもいいん
です。といいますか、いいはずです。げんに16という答えが出ているし、答え
を出す道筋で間違っていないわけですから。

ただし、ここから、学校やそれを指導する教師の考え方にそれぞれの違いが出て
きます。
私だったら、この減減法や減加法のやり方を子どもたちに導かせることに楽しみ
を覚えて子どもたちと考えていくのですが……、
とにかく計算を間違わないようにきちんと身につけさせるのが第一である。と
思われている先生だったら、やりかたを一つに限定し、それを教師のほうから
与え、有無を言わせずそのやり方で子どもたちに指導するでしょうね。

誤解を与えかねないので、説明を加えますが、このやり方は一方的に悪いとは
言えません。なぜなら、全員が同じやり方で計算をするわけですから、となりで
やり方がわからず悩んでいる友達に教えてあげることができます。
もし、それぞれがそれぞれの方法でやろうとしている場合、相互の助け合いが成
立しにくくなる時もあります。

以上です。

……と、ここで気になるのが「23−7」を20−7+3という考え方の減加法
で指導していることですね。
小学校の場合、10のかたまりを大切にします。そして、私の場合は10−○は
すぐに答えが出せるように毎日練習して行きます。同様にに20以下の数+一桁
の数もすぐに答えが出せるように練習します。
ゆえに、同じ減加法でも、10−7+13というやり方で示す場合が多いです。

最後に、学校では10の大切にするということ、子どもは引き算という考え方が
苦手であるということから、一般的にどちらか一つでそろえて指導しようとする
場合、減加法で指導することが多くなります。

以上。
わかりにくい説明ですみませんでした。

あべたか部屋


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 19日 火曜日 18:46:08)

あべたかさん,いらっしゃい.朝早くからお答えいただいたのに遅くなってす
みません.早速本職の方に答えていただけるとは,ネットのつながりは面白い
というかありがたいものですね>けんくん

詳しく書いていただいたので,大体スッキリしました.
さすがにこういったことは既に研究し尽くされているわけですね.

まだちょっとひっかかるところがないわけではないのですが,肝心の自分がど
のように教えられたかは殆ど覚えていないということに気がつきました.その
後に身についた頭の中での計算の流れから,「減減法」が自然ではないかと思っ
たのと,前にも書いたように引き算は足し算の裏返しだから,それがやり方と
しても目に見える形の方が,次のステップ(二桁同士の引き算とか)に行くと
きにわかりやすいのではないかと思ったのでした.

もちろん,指導するときには統一した方が良いでしょう.わかる子には,仰ら
れるように,いろんなやり方があって良いことを試すのも面白いのでしょうが,
なんせうちの子はのんびりしてるもんで,あまり言うと混乱しそうで...

しかし,こんな風にあれこれ言えるのは今のうちかもしれません.5−6年に
なると下手に口を出すと煙たがられるし,口を出せるほどわからなくなるかも
しれない...こどもの教科書をすこしのぞいてみるのも必要ですね.


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 19日 火曜日 23:09:35)

コツとか要領とかアートとか言われるものの話ですか。重要ですね。
私の生活の中では、他の医師の外来の進行を、自分の患者が途絶え
た時に聞くと、ものすごく参考になります。ああ、ああいうやり方
もあるんだと目から鱗が落ちる思いです。算数にしてもいろいろな
計算方法を知ることは意義深いと思います。
とりあえず、理屈は置いて、丸暗記で対処している内に、ある日気
付いてみると、理屈も分かっていたということもあります。数の概
念を会得する時の訪れ方と言いますか、それが突然なのか、徐々に
なのか。eurekaの瞬間の問題とでも言いましょうか。そういうこと
も興味をひきます。

あべたか先生の部屋は「NEW」のアニメーションがエイリアンの
卵みたいで、興味をひきます。失礼。


あべたか さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 20日 水曜日 5:30:08)

こんにちは。
またまた、顔を出してしまいました。

「減減法」か「減加法」かというのは筋道さえきちんとわかっていれば、教師で
あろうと子どもたちに強制すべきことではないと思います。その子によってわか
りやすい方法があるだろうから。

という上記のことをふまえつつも、私自身「減加法」で教えることが多いのは事
実です。その理由は、後に発展していく筆算に関係すると自分では思っています。

引き算の筆算をやってみてください。学校で教えてもらった通りのことを実現さ
せた場合ですが、となりの位から十をかりてきて、そこから引いた答えをたすと
いうように「減加法」で行うことになります。
筆算に関しては「減減法」を唱える人もあまり異論を口にしないはずです。
ここからすると、最初から「減加法」のやり方に慣れていれば子どもたちはスム
ーズに筆算へ進めるわけです。

p.s.
筆算でも「減減法」のやり方でできると私の掲示板にけんくんが書かれていまし
たが……(^_^;)当然、できることはできますが、筆算を行うのに「減減法」で
解いていくのには毎回戸惑うのではないかと思います。筆算は「速く」「正確に」
「簡単に」行うためにあるのであり、毎回となりから十のかたまりとか百のかた
まりとかをかりてくるというように機械的にやれることに簡易性があるわけです
から。>どうですか?けんくん。

>あべたか先生の部屋は「NEW」のアニメーションがエイリアンの卵みたいで、
>興味をひきます。失礼。

興味を持っていただき、幸いです。(^・^)

あべたか部屋


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 20日 水曜日 11:07:21)

古い話で恐縮です。
私は「水道法」で算数を勉強しました。亡くなった母が水色の
ハードカバーの本を片手に、フォークやナイフをコタツに広げ
たりまとめたりして、教えてくれた記憶があります。私が中学
生になると、母は数学では私に付いて来れなくなりました。無
学な母は、今思うとかなり勉強していたんだろうなと思います。
子供に本当に教えて欲しいのは、ある問題にぶつかったときの
解決しようとする姿勢、解決できない時の乗り越え方みたいな
ものですね。


けんくん さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 20日 水曜日 13:14:58)

こんにちは。
2桁、3桁の引き算を減減法でやろうとすると、慣れていないためか、
苦労します(私も減加法を使っているようです)が、常に10以下の数
字で考えていけるのですよね。慣れれば、便利かなと思う程度です。
最近はすぐ電卓に手が伸びます ^^)



私のHPです


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 20日 水曜日 15:34:46)

筆算の話が出てきて本題に入ってきたようです(^^;).勝手に話を蒸し返します
が,あくまで自分の頭の中の話で,普遍的な教育のやり方の問題ではありませ
んので念のため.

実は先日の話の続きで,うちのカミサンが筆算で隣から10を借りてくるのに,
いまの23を20と3に分けるのでは困るじゃないと言い出したのです.そこ
で私は一喝.何バカなこと言っとるんじゃい.私も子どもの頃,確かに隣りか
ら10を借りてくると言われたことはおぼろげに覚えています.でも,そこで
10−7=3で3を足すということはせず,10借りて13−7を頭の中で行っ
ているのです.減減法ですね.カミサンはあべたか先生のように筆算は10か
ら引くというように習ったようです.もしかしたら,私もそう習ったのに違う
やり方が身についたのかもしれません.とにかくそこで一悶着あった(^^;).

そういえば,繰り下がりの引き算は引く数(7)から引かれる数(3)を引い
た残りを引けばよい(20−4)というのを聞いたことがありますが,子ども
の頃はどういうことか理解できてなかったように思います.

とはいえ,結局はあらゆる繰り下がりの引き算は11−2から18−9まで
の(あるいはその逆の足し算の)パターンでしかないわけで,これを身につけ
れば何桁だろうと同じなわけですから,どうも10−Xの形に揃えるという考
え方(...今回はじめて知った)に引っかかりを持ったのでした.

最初に書いたように,引き算という流れに逆向きの流れが加わることや,繰り
上がりの足し算のちょうど逆にならないという点などは,算数は頭の中できれ
いなイメージが描けるかどうかが決め手だろうという観点からすると,美しく
ないなと思ってしまったのでした.

屁理屈をひとつ 減加法だと 3−4=−1 ができないじゃない,なんてね.
もちろん,負の数を習う頃には数の概念が身についているはずですから,何法
とかにこだわる必要はないんでしょうけど.


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 20日 水曜日 16:23:44)

書き忘れましたが,あべたかさんの部屋と掲示板も少し拝見しました.
思ったよりもお若い先生でした.ボイスメモは私も秘かに欲しいと思っていた
のですが多分診察室で診療の合間に使うには無理があるでしょう.ツインピー
クスのクーパーさんや敬愛する山根さんもマイクロカセットご愛用ですね.
二本松も着々とHPづくりなど進んでいて八戸も見習わなくてはいかん.

>江野川さん
「水道法」名前は聞いたことがあるのですが,詳しくは知りません.お母さま
と幼少の頃の江野川さんの光景が目に浮かぶようです.といっても現在の江野
川さんも存じ上げませんから,想像を重ねているだけではありますが.ところ
でお願いがあるのですが,リンクのページを更新するときに江野川さんのペー
ジも掲載したいのですが,以前の掲示板が吹っ飛んでしまってわからなくなっ
てしまいました.ついでで結構ですので,もう一度教えていただけませんか.


あべたか さんからのコメント
( Date: 1998年 5月 21日 木曜日 4:45:04)

こんにちは。>うーん、いつまでこの話題を引っ張るのか。私。

>とはいえ,結局はあらゆる繰り下がりの引き算は11−2から18−9までの
>(あるいはその逆の足し算の)パターンでしかないわけで,これを身につけ
>れば何桁だろうと同じなわけですから,

そうそう、そういえば、かけ算九九のように、たし算九九、引き算九九というのが
あるのをご存知ですか?
上のくばさんの発言。まさしくその通りです。その部分までを暗記させてしまえば、
計算は大丈夫。という考えですね。
そういう実践書を持っています。が……、かけ算九九と違い、暗記して育ってい
ったという子どもを育てたことはありません……。

水道方式についてですが、昔からある算数(数学)教育の一体系ですね。
タイルを使った指導が有名かと思います。
私の記憶では、分数を使った計算が登場するときに、俄然輝き出す指導法である
と把握しています。

それでは。
p.s.
私のHPまで来てくださった方々、ありがとうございます。m(__)m


あべたか部屋