会議室:「くば小児科BBS」

低成長時代の経済のモデル化がうまくいっていない

発言者:本田忠

(Date: 1998年 3月 18日 水曜日 16:11:50)


西部さんが好きかどうかは判断するほど読んではいません。
要するに資本家は規制なんか取っ払って、自由に経済競争させろ。
資本の効率を考えたら、それは当然である。
労働者までその尻馬に乗るのはおかしいということです。労働者にとって
大切なのは生活の安定、収入の安定、健康的な生活ができればよい。
そのためには会社は簡単につぶれたら困る、銀行がつぶれたら、困る。
健康保険は安ければ安いほどよい。安心して受診できるようにする。
我々は医療人なので、健康保険に関してはチェックしましょう。
経済分野の規制緩和も行き過ぎて、スクラップ&ビルドやマネーゲームが
行き過ぎないようにしないといけない。
 ところが現在の規制緩和論者の意見は、要するにハイリスクハイリターン
のモデルしか用意できていない。生活の安定と言う、庶民にとってもっとも
大切なことを、充分提出できていないのではないか。
 健康保険も総量抑制のみの話からもってきているわけです。
小さな政府は結構だが、国民の基本的な生活保証の問題をきちんと考える
べきではないのか。だから規制緩和論者は信用できない。


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 19日 木曜日 21:05:54)

あまり規制緩和そのものを目の敵にするのもどうかと思います.
資本家と労働者という分け方もちょっとアナクロな気がしますが...
日本の社会そのものの在り方が変わるのですからある程度痛みはともなわなく
てはいけないでしょう.
今まで甘い汁を吸っていた不透明な世界が明らかになるのですから.
戦後の企業社会,政財官の癒着構造を維持するのなら別ですが,そんなことを
していると国は家族とか言ってるインドネシアみたいに誰にも相手にされなく
なるでしょう.
規制緩和といっても全ての規制をなくすわけではなく,権限を少なくした役所
の主な仕事が国民の生活を守っていくことになればいいのですが...


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 19日 木曜日 23:17:33)

敗れ去った者は、命ある限り、復活を掴み取る努力をしなければならない。
はやりの言葉で言えば、「リベンジ」でしょうか。国はこのことを保証す
ればよい。スクラップ&ビルドと言ってしまえば、目新しいですが、古今
東西これが絶えたことはないと思います。
国民医療費の総量規制は、国民が「医療のお値段はこんなもんやろ」と考
えてるっちゅうことでしょうか。国民さえ「もっと出していいよ」と言え
ば、こんな大騒ぎにはならない。実際、名刺の裏に「よろしくお願いしま
す」とだけ一筆添える時代錯誤の開業医、自分の聞きたいこと以外のこと
を患者しゃべらせない医師免許を持った質問−処方箋発行マシーン、ドナ
ーカードの記入漏れに舌打ちをする医師免許を持った機械論者。今のお値
段でも高いかもしれません。


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 20日 金曜日 12:16:23)

一日一回は本田先生の文を読まないと、何か物足りないですね。
今日の東京は風が強くて、患者さんの足は遠のいています。こ
んな日はなおさらですね。のんびりです。
昨日、九州の方で脱線した電車に乗って、たまに唐津あたりに
出掛けたこともありました。糖尿病のおじいさんが、やっと自
己注射をしてくれるようになって、うれしいです。


本田忠 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 20日 金曜日 13:03:36)

昨日はporoseの講演会でしゃべりまして、その後平賀君とか松田君としたたかに
酔いました。例によって二日酔です。よく考えたら今日は連休前なのですね
外来がやっと終わりました。殺人的です。ふう。
主題に1時間。インターネットの勧めを20分やってしまった。hknへの期待が
ありますね。今日届いた10年度の医師会の予算には入っていない。市と検査セ
ンターのを使うつもりなんでしょうね。


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 20日 金曜日 17:20:33)

標題と関係ありませんが,今日はうちは非常にヒマです.連休前なのにどうし
たのだろうと思ったのですが,一つはこの強風ですね.昨日夕方,近所の方で
「明日は歩いてくるのが大変だから今日来ました」というお母さんがいました
が,大正解でしたね.あとは小学校の卒業式も関係してるかな.しかし,低学
年は休みなので(3連休)受診しやすいはずなんだけど.まあ,いいでしょう.
もう終わってしまってやることがないので,暇つぶしでした.gengenさんの掲
示板で話題になっていた「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング,
TBSブリタニカ)という本が届いたのでこれから読んでみます.
先週は日曜に急病診療所の当番をしたので,今週末はゆっくり過ごすことにし
ます.では,皆さんもよい週末を.


本田忠 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 20日 金曜日 19:50:48)

夜になりすこし回復してきました。5時から男??
システムを作るときは、良いモデル化が必要です。
悪名たかき護送船団方式が癒着でまずいので、規制緩和は必要だ
という論法(これは単純すぎて危険)ではなくて、勤労者の生活の
安定と豊かな生活の要件をまず考える。
たとえば、家の問題。普通の方は一生で一番高い買い物は家です
家を買うだけで一生が終わってしまう。家にお金がかかりすぎて
身動きが取れない。もしも減価償却の終わったうちにすめれば
別なもっと有意義なことにお金が使える。
木造なんて20年もてばよいほうである。これでは各世代で家を
立てることで人生が終わってしまう。たとえば100年保つ家を作れば
4世代は家にお金を使わなくてすむ。
リゾートはどういう風にすべきかとか、そういう視点から考えていく
とおのずとシステムは見えてくる気がする。どうも規制緩和論者の
グローバルスタンダードの毒に当てられている気がします。
非常に正しいことをいっているようだが、その実際の結果はまったく
別である。


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 21日 土曜日 22:31:17)

誘ってくれる人がいて、銀座のクラブ(アクセントはクに置いてくだ
さい)に行ってきました。結論としては、「遊びなれてない」という
のが、誘ってくれた人と私の意見でした。私は、急にトーンダウンし
てしまって、小さな窓から見える銀座の風景を見ていました。


本田忠 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 22日 日曜日 14:15:14)

銀座ならクラブKAJI
http://www2.meshnet.or.jp/~ymmt80/clubkaji.htm
がおすすめです。「遊びなれていない?」先生でも話が合ったと思いますよ。
なにせインターネットでは有名なママですから。
銀座でインターネットで遊べる店はそうはありませんからねえ


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 22日 日曜日 23:35:57)

KAJIですか。今度は寄ってみます。


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 23日 月曜日 15:35:02)

減価償却ですか。でも、維持費は掛ります。これが日本では馬鹿にな
りません。法隆寺は減価償却が終わっているはずだが。

日本が輸出したもの。
日本は効率の良い国ではなかった。むしろ、悪い国だった。本来なら、
労働者やその家族が受け取るべき時間やお金まで、製品に投入して輸
出してしまった。「良いものを作って、輸出して何がいけないのか?」
が一頃の合い言葉でした。やっぱり、良くないですね。今になると良
く分かります。外貨がうず高く積もっても、何の役にも立てられない。
規制と貧乏性が私たちに残っただけです。身から出た錆と言えばそう
ですが。


本田忠 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 23日 月曜日 19:23:07)

      <<生産者優先か消費者優先か>>
グローバルスタンダードがよいのかどうか、日本型護送船団方式が良いのかど
うか。それは市場とはなにか、競争とは何かというあたりの分析が必要。
日本のアメリカ化ではなく、アメリカの日本化により、アメリカは成功している
という説もあり、日本型システムの詳細な分析も必要。
消費者優先にはなっていないとは思いますが、それは日本の市場の未熟性だけで
説明できるのか。市民意識の欠如??。難しい問題です。

        <<家を持つと言うこと>>
住生活ビジョン21(建設省96年)
首都圏の平均的勤労者
マンション購入した場合
 死亡時の資産保有額8100万円
 生涯消費支出   2億7千万円(住居費はのぞく)
借家の場合
 死亡時資産保有額 3300万円
 消費支出     3億1千万円
○東急住生活研究所のアンケート
 土地は持っているほうが得
  92年74.3%
  97年32.8%
持ち家派は減ってきている。
遺産を残すか、ゆとりある生活を選ぶか
どちらが有利かは一概には言えませんが、少子化もあり、親の家も
あてにはできるようである。
また社会の流動性が高まってきているためもあり貸し家派は増加中。


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 24日 火曜日 22:10:05)

難しいことはわかりませんが,日本の場合,本当の民主主義というか個の確立
というのがなかった.社会主義と徹底的な自由主義の間のどこに軟着陸するか
が問題なのでしょうが,日本の場合企業と官僚がからんだ社会主義的体質が本
質であった.それが自由化規制緩和の波の中で個人の自立をはかり成熟した社
会へ脱皮をはかろうとしだしたところで,今度は庶民の生活を守るために改革
に反対(従来型に戻る)との声が大きくなってきている.例えば郵便貯金は生
活に密着しているのだから民営化は断固反対.実際の議論はそこではないのに
妙にまとめ込まれているような気になります.本来規制緩和と生活を守ること
は全く相反するものではないはずだと思うのですが.(以下まとまらず省略)


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 25日 水曜日 10:38:43)

「弱肉強食の『市場万能主義』とばらまき型の『国家福祉主義』の対立概念
を乗り越え,自立した個人が共生する新しい道を創造する」(今朝の新聞の
某政党の理念より) 昨日私が書いたこととほぼ一致しますが,言葉にする
のは簡単ですが,具体的にどうするのかが問題ですね.


本田忠 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 26日 木曜日 13:41:46)

        <<誰のための規制緩和か>>
 現在の規制緩和論者の新自由主義の主たる標的は、福祉国家である。福祉国家の基本は、
生存権や、教育権、労働券など、現代的社会権である。新自由主義の担い手は多国籍大企業
であり、立ち向かう相手は現代福祉国家であるという図式がなりたつ。多国籍大企業にとっ
ては、営業の自由は世界的規模で要求される。グローバルスタンダードという言葉の出現。
また自由な、市場競争の枠組みは、「強者には天国、弱者には地獄」に帰結する。大企業が
勝たねばならないのだから、当然である。
 ではなぜ今ごろ、日本で規制緩和が叫ばれ出したか?
日本の企業が、多国籍企業の形を取り出したのが、バブル後のこの4−5年だからである。
それ以前の日本企業は、輸出指導型の経済政策を取り、海外生産のネットワークを作るまで
はいたらなかった。ジャパンパッシングを契機として、輸出代替型の現地生産をはじめた時
点からであろう。ところが日本の悲劇は、日本は主敵である福祉はまだ根づいていない。
日本での主敵は企業社会+利益政治であった。終身雇用制の元では、社会保障に頼るよりも
企業社会に依存するであろう。
 多国籍企業が強力な企業社会に揺さ振りをかければ、国民生活防衛からは、福祉国家建設
の需要が高まると予想される。
市場原理を透徹するために、規制緩和を持ち出しているが、市場原理を自由放任するという
わけにはいかないのは明らかである。自由で公正な競争が求められ、市場原理と計画原理に
もとずいた、社会的規制、公的な規制が求められる。独占禁止法や労働者保護法は、そのた
めに作り出された制度である。したがって現在必要なのは、規制の廃止撤廃ではなくて、規
制の改革、再編である。法の下の自由競争、法律国家になる。
グローバルスタンダードと言う言葉
 経済システムにはそういう言葉は存在しない。経済とは、各国の歴史的伝統的な基盤の上に
なりたつものである。また世界の需要が、世界の供給に追いつくことはけっしてありえない。
過剰生産力は、結果的に賃金レベルを引き下げる。工場閉鎖の危険に逆らってまで、要求は
できないのだから。

医療の分野において
 一切の規制を取り払い、「誰もが、医療に参入できる」ようにして、自由な競争ができる
ようにすれば、競争が行われ、安かろう悪かろうと言う医療は、自然に淘汰されるだろう。
従って供給者側に価格決定権を持たせ、競争させるべきである。
この論でいけば、最終的には医師、看護婦などの専門職の否定までいたるであろう。
なにせ専門職はコストが高いですから。
 現在の財政危機の主因が、世界トップの公共事業費、したがって、利益誘導型の、政治に
むずびついた、土建国家型財政であり、また国際貢献の名の元になされた、軍事費やODA
の諸費用のためであり、未熟な福祉国家に主因を求めるわけにはいかない。
 現在の規制緩和策は、医療福祉の国庫負担を減らし、福祉国家建設の歯止めをかけること。
第2に、医療の高コスト構造を見直すこと、第3は高まる福祉需要に対する民活の導入に、
ほかならない。
 医療に市場原理を入れ、「地獄のさたも金次第」の制度を作って良いのだろうか。
−−−−−−−−−−
具体的には医療の世界が象徴的だから、医療の世界で提言していくことでしょうね
地獄のさたは金次第は止めるべきである。貧富の差のないように組む
規制緩和がすすめば、法律の重要性が増すので、その法律を生活防衛のために
作成するようにチェックする。


くば さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 26日 木曜日 17:14:14)

これは確か月刊保団連に載っていた論文の要約ですね.丁度話題になっていた
ところだったので,私も一応目は通しました.(個人的な掲示板ではあります
が,できれば出典を明らかにしていただけると原文にあたれますので...)

で,最後の部分ですが,高コスト構造の改善は必須,民活の導入もある程度は
避けがたい(もちろん誰もが参入できるわけでないにせよ).要は第一点がど
うなるか.規制緩和と生活を守るための規制(独占禁止法など)の問題は書か
れている通りですね.それが前に書いたような個人の自立を助けるための規制
という方向だと思います.


本田忠 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 26日 木曜日 18:28:53)

みんな同じ所で引っかかっているから、同じような問題意識になる。
保団連は昨日読んで感心しました。3月号です。失礼しました。ほかの
所では出典を書いているのですが。
 規制緩和が行われれば、カウンターとして、生活防衛が始まる。
終身雇用が崩れれば、福祉国家建設へ向く。会社人間が、いわば地域人間に
なる(地縁血縁で結びついたコミュニテイ)わけでしょうから。
 経済界はいえないようです。首相批判になってしまうから
という判断があるようです。
 ただ新聞及び経済界は不景気だから、規制緩和をはずせという論理ですが
さびしいかぎりです。こういう時にこそ、「天下の情勢」(最近見て印象的な
言葉なんで利用)を見て討論して欲しいものです。


江野川義文 さんからのコメント
( Date: 1998年 3月 27日 金曜日 12:42:17)

さすがの福祉国家も自然の摂理には従わなければならない。市場原理と
言えば近代的で、それらしい。福祉国家の矛盾は、高度の価値(資源・
エネルギー・マンパワー・時間)の消費を目的としていながら、高度の
価値の生産に無頓着なところである。高度の価値の生産には、効率が不
可欠である。技術革新がそれを実現している。技術革新は競争に支えら
れている。福祉国家がより高度の価値の消費を宣言すればするほど、厳
しい現実を生み出すのである。福祉国家は自らの暗黒面を語ろうとしな
い。